▽オッタク山本夢(odtx) |
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ウサギ。27歳の小児科医。山本の彼女でヤノとは幼馴染(本人たち曰く腐れ縁)。自由人。 「山本さんのどこが好きなのー?」 「声と顔。背の高い所でしょー。血なまぐさいの苦手なとこも可愛いし、あと体の相性がさいこ……」 「わー! わーっ! そこまで! それ以上は言うな!」 「こういうとこも可愛いの」 「ドヤ顔ウッゼ」 ・山本との出会い 「ねぇ君。アイドルとかって興味ない?」 「えっ、私?」 当時の俺は25歳で彼女は18歳。それが俺達の出会いだった。 「私がアイドル? そんなに可愛い?」 「まぁ、可愛いと思ったから声をかけたんだけど」 「お兄さんみたいなかっこいい人に言われると照れちゃう〜っ!」 顔や声もそうだが仕草までが可愛らしい。まさにアイドルになるべくして生まれたような女の子だった。 俺から名刺を受け取った彼女は嬉しそう微笑む。 「医者目指してるから残念ながらアイドルは無理だけど、これでさようならは寂しいからどこかでゆっくりお話でもしない?」 「おは、なし……?」 「あっ、でも山本さんお仕事中だよね。無理言ってごめんなさい」 「あー……いや。少しくらいなら……」 スカウト理由の可愛いというのも世間一般から見てそうだろうという俺の主観込みであり、それはつまり俺自身も可愛いと、俺の好みに合っていると。故に下心が無いかと問われれば正直あった。 「君、年齢は?」 「ん? 18だよ」 だからこそそんな甘言に乗ってしまい、まんまと騙された。 「17歳!?」 「いや〜、ホテル入る時にそういや誕生日まだじゃーんって気が付いたんだけど今更水差すのもあれだから黙ってた」 「事後報告!!」 「事後だけにってか〜?」 「ちげーよ」 ピロートークで告げられた衝撃の事実に俺は思考が停止した。ぺろりと舌を出して差し出されたのは有名な私立高校の学生証。生年月日を確認すれば俺の七つ下だった。 「で、どうする〜? 淫行条例違反さん」 額に手を当て項垂れる俺の首に彼女が後ろから抱きつきながら、とてつもなく甘ったるい声で恐ろしいことを言う。とんだウサギの皮を被ったオオカミだったわけだ。そもそも医者目指してる奴がこういうことするか普通。 条例違反は俺が罰を受ければ済むことだが未成年の女の子に手を出したという事実が露呈すれば世界一のアイドルを育てるという夢が絶たれてしまう。 「……どうしてほしいんだ」 金なら出す。山本が言外にそう伝えると彼女は少し考えてから花が咲くような笑顔を向ける。 「ん−。じゃあ恋人になって!」 ・ヤノとは幼馴染的な腐れ縁的な関係 「やーん。何か小さいのがうるさい〜」 「私に手を出したらあんたのだーい好きなボスからの信用は一気に消えて無くなるけどね〜」 「……チッ」 「やっぱりやれよ才能あるぜ美人局♪」 ・小児科医やってる話 「人によってはお金貰いませんよ」 「……友達とか?」 「それはちゃんともらいます。寧ろふんだくったりします。それが私なりの友情価格です」 「あんたの友情末恐ろしいよ」 「あははは〜。お金貰わないのは身寄りのない子とかですよ」 「……」 「うちの病院そいういうNPOと提携してて、そういう子たちの治療を担当してるんです」 ・小戸川とお話 「タクシーで思い出したんですけど」 「唐突だな」 「ある夜、一人の女の子が話し合いの為に別の女の子を呼び出したんです」 秘密の相談があるとから、自分と会うことは誰にも内緒でこっそり家を出てきてほしいと。その子はその指示通りこっそり家を出て待ち合わせの場所まで向かった。 深夜だったし待ち合わせ場所は人通りの少ない場所だったこともあって目撃者は誰もいない。故にそのまま帰宅すれば翌朝にその子の遺体が見つかっても誰も彼女が殺したとは分からない。完璧な計画だった。 「……何でその話をタクシーで思い出したんだよ」 「この話にはオチがあってですね」 「……」 「誰も彼女が現場に行ったことを知らない。ただ一人、彼女を乗せた個人タクシーの運転手以外は」 「……」 「そのことに気づいた彼女は小さく呟いた。『あのタクシー、早く見つけないと』」 「こわ……」 |
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