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▽不滅夢
 気がついたらこの世界に存在していた普通の生き物より回復力が格段に高い不老の人間。不老であって不死ではない。
 しかし寿命は人間の数百倍かそれ以上に長い。フシとは違い誰が生み出したのかも分からない。この世界に存在してからずっと姿は変わらず、使っている名前は最初に夢主を拾って色々教えてくれた親切な人が付けてくれた。
 姿が変わらないため一つの場所に留まれず、それから色んな場所を転々としていた。ヤバい人に捕まって実験体にされたこともあり、自分がどれだけ死なないかも分かっている。死にたくても死ねない。痛覚が鈍くなり痛みに対する耐性もついた。
 空腹や病気にはならなず、異常とも言える超常的回復力が致命傷も一瞬で修復するため死のうと思っても簡単にに死ねない。寿命の有無は不明瞭だが“いつか駆らなず死ぬ”という感覚だけは在り、しかしそれがいつなのかは分からない。
 多分、黒いのとは別の黒いのに造られ、そして忘れられていた存在。




 心臓にナイフを突き立てても首を切り取っても痛みと意識ははっきりと存在し生命機能の全てが正常に動いているのだ。

「貴方は他のものに姿を変えたり物を作り出すことが出来るけど、私には何も無いし何も出来ない」

「私は不死じゃない」

「愛にも色々あるけれど」
「その人の為に何かしてあげたいと思う気持ちが愛なのだと、私は思う」
「でも、“その人の為”と言って我儘を押し付けるのは愛じゃないわ。ただの“エゴ”よ」

「私はフシじゃない」

 前世編の終わりは名前は皆の最期を看取ると安楽死したマーチを膝に乗せてフシの隣で永い眠りについた。
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