▼バビロニアという人(APH×FGO) |
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彼女の名はメソポタミア。長い歴史に幕を閉じただの土地となった彼女がナマエという人の名を名乗るようになってから随分と長い歴史を過ごした。しかし彼女は神聖ローマやゲルマンのように消えることなく存在し続けている。 何故かと問われると彼女は決まって言う。民がいる限り国は国で在り続けるのだ、と。 「どこに国民がいるというのです?」 その話を聞いた者は必ずそう言って首を傾げるので、彼女は静かに微笑んで答えるのだ。 「未来に」 そんなやりとりを繰り返し様々な国を転々とし、来たる2016年。人類史はあっさりと無に還った。 しかし何も無いまっさらな世界に彼らはいた。 唯一焼却を免れた施設、カルデアに所属する魔術師と非魔術師の祖国たちと、そして彼女だけがその場に残っていた。 「……民がいる限り国は国で在り続ける、か」 いつかの彼女の言葉を懐かしむようにフランスが呟く。その脳裏には黒化してしまった少女の姿。 彼以外にもこの現象に思う所のある国は数名おり、ついに始まってしまったのだと悟る。そんな彼らの感傷を遮るように彼女が口を開いた。 「さぁ皆さん、行きましょうか。“人理継続保障機関フィニス・カルデア”へ」 長いこと歩いてようやく辿り着いたのは南極大陸にある標高六千メートルに位置する施設だった。寒さを感じるが死ぬことはない身の為寒さに震え、時には眠りそうになった者を叩き起こしいつもの賑わいを見せつつ、やっとの思いで雪山を登りきったのだ。 「貴方たちは!」 彼らを迎えたカルデアの職員たちは最初こそ人類史の生き残りだと考えたがそうでは無かった。ダ・ヴィンチがその中の男性の一人に深々を頭を下げる姿を見て、その後の言葉を聞いて、彼らの正体を知る。 「久しぶりだね。我が祖国」 「ヴェー……オレたち知り合いだった? 君みたいなベッラと知り合いなら忘れるはずないんだけどなぁ」 「君は相変わらずだね。私だよ、レオナルド・ダ・ヴィンチさ」 「レオナルド?……レオナルド!? えぇ〜! 君男じゃなかったっけ!?」 「それより過去の人間がいることに驚くべきだろう」 「まぁまぁ。状況が状況ですから……」 サーヴァントに関する知識に乏しいイタリアにツッコミを入れるのはドイツ、それを諌める日本。最早見慣れた光景である。 魔術協会の在るイギリス、加えて御三家と深い関係のあるドイツと日本に関してはサーヴァントへの造詣も深く、現在では未だ修正されていないが過去に特異点の舞台となった国はその記憶を有しており、サーヴァント及びカルデアの存在も認知している。 話はスムーズに進み、人理が修復されるまでの間カルデアで保護されることとなった。 「ナマエさん。初めまして、マシュ・キリエライトです。こちらはマスターの藤丸立香先輩です!」 「ここでは初めましてね」 「ここでは?……俺たち、どこかで出会うんですか?」 「ふふ……その時が来れば分かるわ」 特異点修復の結末を知っているからこそそれに関しては沈黙を貫いた。彼らの言葉が過去にどんな影響を与えてしまうか分からないのだ。 「ギルガメッシュ。久しいですね」 「お前はあの頃と変わらんな」 「貴方は……少しやつれました?」 「過労死などせん!」 「働きすぎなのでは……」 ・バビロニア編 「カルデアの者たちよ。ようこそ」 「私はメソポタミアそのにょものでふ……私はメソポタミアそのものです」 「言い直した!」 「……けれど、メソポタミアは何れ歴史の一片となって消えてしまうんですよね……」 「終わりを嘆いてはいけません。終わりがなくては始まりは訪れないのですから。……けれども、私のことを思ってくれる貴女の優しさに感謝します。ありがとうマシュ」 ・バビロニア修復後 「ナマエさん!」 彼女の名を呼んだのはメソポタミアはウルクの民である藤丸とマシュである。 あの時、特異点となりビーストと化した原初の神ティアマトからウルクひいてはメソポタミアを護った彼らとの再会にナマエも顔をほころばせる。 |
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