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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -

▼アンリマユと召喚士(FGO×FEH)
 ※FGO未プレイ時に書いたものを手直ししたやつかつ。書きたいとこだけ。ご留意を。


・出会い

 大英雄として召喚された召喚師の名前。その日は新たな召喚イベントが開催されており、伝家の宝刀“魔法のカード”で目的の英雄を呼び出そうと精を出していた。
 星五排出率が二桁パーセントを超えたあたりでそれは起こった。

「あいよー! 最弱英霊アヴェンジャー、お呼びと聞いて即参上!」
「……どうしよう、バグった」

 ただでさえ星三と四が続いていたのにここに来てとうとう星が一つも付いていない英雄を召喚してしまい、しかも全身真っ黒ときたものだから名前の思考は軽く停止してしまった。

「名前さん? 名前さんしっかりして下さい!」
「ひひひ、ビックリしすぎてマスター固まっちまったな」

 必死に名前の肩を揺らすシャロンを余所にその英雄は呑気に笑っている。真っ黒い中にはっきりと見える白目を歪ませながら。
 一緒に召喚の儀を見守っていた伝書梟のフェーも、突然のことに頭が混乱してた。こんな英雄、実装された報告は聞いていない。

「……ハッ。一瞬気を失ってた」
「良かった、気が付いたんですね!」
「で、これはどういうことなの? フェーちゃん」
「ハッ。ど、どういうことなのか聞いてきますねっ」

 同じく一瞬気が遠くなっていたフェーは気を持ち直すとそそくさと飛んで行った。小さくなっていく白い塊を見詰める名前は一体誰に聞いてくるんだという質問を呑み込んだ。そういう細かいことを気にしてはいけないのが大人の事情と暗黙のルール。
 フェーが戻ってくるまでの手持ち無沙汰をどうすべきか、今し方召喚した英雄を観察しながら思案する。

「……うん。とりあえず召喚の続きしよっか」
「えーっ!」
「オレは放置なワケ!?」
「だって伝承英雄欲しいし……」

 案外強かな名前であった。
 名前が召喚を続ける間も真っ黒い英雄は彼女の後ろで大人しくしていたのでそれも彼女の召喚欲を煽っていたのかもしれない。



 幸いなことに真っ黒い英雄は星が無かったからか星五排出率は二桁パーセントのままであり、その後無事に目的の英雄を召喚した名前たちの下へ何かしらの情報を仕入れたであろうフェーが戻ってきた。
 フェーが戻ってきたタイミングで先程召喚した伝承英雄はシャロンに任せて広間へ行かせたのでこの場には名前とフェーと真っ黒い英雄の二人と一羽だけとなる。

「で、どうだったの?」
「はい、どうやら書き手がFGO知らないくせにたまたま見た夢漫画でアンリマユに一目惚れして何とか夢小説が無いものかと探したけどあまりの数の少なさにそれならば自分で書いてやろうと意気込んだもののFGOの世界観分からないので開き直って知ってるソシャゲに無理矢理アンリマユを出したようです!」
「わぁ。メタい説明をありがとう」

 結局バグってるんじゃん、は思ったが口には出さず。英雄もとい英霊の名前も分かったところでこれからのことを考えねばならない。
 横目でアンリマユと呼ばれた真っ黒い青年を見やれば、黒くて分りにくいが目じりがとろんと下がっており若干眠そうだ。

「何はともあれ、召喚しちゃったものは仕方ないから、育てよう」
「フェ!? 育てちゃうんですか!?」
「えっ、まじで? 言っちゃあなんだけどオレ最弱よ? 戦う意味ある?」

 まさか自分が戦場に出るとは思っていなかったのかアンリマユの眠気はどこかへ吹き飛んでこれでもかと唯一の白い部分を大きくする。

「それぞれ適材適所と言うものがあるの。だから貴方も力を発揮できる場は絶対あるわ」
「……その心は?」
「有償オーブ使って引いたからには意地でも使いたい。具体的には英雄値がカンストするまで」
「……ま、マスターがオレを戦わせたいってんなら戦いますよ」
「これからよろしく、アンリマユ」




 向こうの世界の情報をある程度仕入れて来たフェーが言うには彼の姿をはっきりさせるには“れいきさいりん”というやつをしなけれざならないそうだ。そしてそれはいつも通りある程度のレベル上げと英雄の翼を用いての“覚醒”で代替可能らしい。
 他にも“ほうぐ”はこちらで謂う奥義だったり、“絆レベル”は召喚士との支援だったりと大体が代替されているとフェーに聞かされ、このままでは話も進まないのでとりあえず育ててみようと結論を出してから名前の行動は早かった。

「武器は剣か……剣の技量クロム踊り子伝承アクア壁ヒーラー10凸アサマでレベリングマップ周回してくるから、アルフォンス、フィヨルムあとはよろしくね」
「ああ、行ってらっしゃい」
「お気をつけて」

 例外中の例外を召喚しても変わらぬ名前の強かさにアルフォンスとフィヨルムは顔を見合わせて苦笑した。




「な、オレ弱いだろ?」

 ぼろぼろになりながらも口元に笑みを浮かべるアンリマユに、名前は何だか切ない気持ちでいっぱいになってしまった。
 そんなこと、どうして笑って言えるのか。気付けば感情に任せて彼の真っ黒い頭を抱き寄せ力一杯抱きしめていた。

「マスター……?」
「強い弱いなんて人の勝手よ」

 スキル継承や支援や祝福などのシステムが充実した現在ならば誰にでも活躍のチャンスがある。名前は戦いたい英雄にはなるべく応えてあげたいと思っている。

「貴方は十分強い。自信を持っていい」
「……」
「ちゃんとスキル継承もするし聖印付けてあげるから安心して!」
「……オレの感動を返してくれ」




・覚醒してみよう!

「アンリマユのレベルも40になったし、英雄の翼も在庫がまだある。覚醒しよう!」
「オレを育てるなんてあんたも物好きだよなぁ」
「育ててみないと実力が分からないし」

 ステータス配分と個体値によってはスキルの継承を行い即戦力となる場合もあるので名前は、どんな英雄であろうといつか必要となる時の為に一応、とりあえずは育ててみる派である。

 余談ではあるがアンリマユと同時期に召喚した伝承英雄は適切なスキルを継承し直して、レベル上げもスキル習得も完璧に済ませてある。

「……スキル無し合計値136って嘘だよ……」
「そりゃーまあ、星ゼロですし?」
「覚醒したからもう星5だよ」
「オレが星5とか……大災害起きるぞ」
「それ何か本当に起こりそうだから止めて」




・令呪について

「令呪?」
「サーヴァントがマスターに逆らえないようにする謂わば“首輪”みたいなもんですよ」
「首輪……」
「もしかして変な想像してます?」
「違うの?」
「多分違う! オレも詳しくは分んないけどこう……手の甲とかにあるんじゃね」

 手の甲と聞いて名前はそっと手袋を外してみればそこには赤い何かのマークのようなものが浮かんでおり、アンリマユに見せればそれが令呪なのだと言う。
 この世界に召喚されてからどんどん人から遠ざかっているような気がしてならない。




FEH版アンリマユスキル妄想
☆5時点
属性:赤剣
移動:歩行
武器:双剣(攻撃8 二回攻撃 速さ−5)
補助:なし
奥義:復讐
パッシブA:速さ3
パッシブB:キャンセル3
パッシブC:なし

HP:38
攻撃:35
速さ:37
守備:14
魔防:12

 本家のスキル的にAは飛燕の一撃3でも良かったけどそれだと強くなりすぎるので速さ3で。
 ステータスは本家がどの程度なのか分からないので何とも言えない。けど、ナバールやロイドと似たようなステしてそう。剣士系ステ。回避のないFEHだと剣士キャラは不遇よね……。
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