▽tukn→OP+Drrr→OP |
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OPの世界に来てしまった元審神者がロシナンテと恋に落ち、その娘は実はDrrrからの転生(しかもゲームの刀剣とプレイ済み)でひょんなことから麦わらの一味に入りローと再会する。という複雑すぎる設定の話。 元々ロシナンテ×元審神者の話とDrrr転生主の話は別々の物語の予定だったので前者が第一部、後者が第二部という感じで捉えて頂けると助かります。 ※夢主が刀剣男士に恋心を抱いている、刀剣男士が夢主に恋心を抱いている描写があります。 ▼海賊世界における刀剣設定 ・破壊さえされなければ審神者の手入れで全快状態に戻すことが可能 ・お守りの効果は反映される ・刀剣の能力がそのまま審神者に反映される ・刀剣を複数本所持している場合は能力の合計値が反映される 美濃国の審神者。秘書刀は初期刀でもある加州清光。 本来は十八歳以上でなければ審神者には成れない規則だが、元々審神者の家系であったことと先代審神者であった祖父が病で急死したため急遽引き継ぐことになった。両親は審神者としての霊力が無く隔世遺伝で膨大な霊力を持つ彼女に白羽の矢が立った。 ひょんなことより時の政府が秘匿していたことを知ってしまった故に時の政府に殺されかけ、たまたま手入れ途中であった刀剣数振りを抱え命からがら逃げた先が異世界だった。 衰弱しきって行き倒れているところをロシナンテ(当時17歳)に拾われ海軍本部で保護される。 異世界の人間であることを伏せ、命からがら逃げてきたこと、身寄りがないこと等を曖昧にだが説明する。 ワノ国のそこそこの名家の娘だったのだと都合よく解釈したセンゴクの計らいにより衣食住を保証する代わりに雑用を熟すよう言われる。 年齢も近く命の恩人ということもありロシナンテとはすぐに打ち解け、徐々に親密な関係に。 センゴク直属の雑用係となり、持ち前の器量の良さで仕事を熟していく。端麗な容姿と気立ての良さで半年もしないうちにマドンナと呼ばれ海兵たちの人気者になってしまう。 それに危機感を感じたロシナンテは告白する。 両想いではあったが彼女はそれを断り、嘘を吐いていたことを告げ、ロシナンテに真実を告げる。 全てを話した彼女は海軍本部から去ろうとし、ロシナンテに引き留められ、そこで彼の生い立ちを初めて聞かされる。 お互いがお互いの全てを知り、刀剣たちの気持ちを組んだ上でロシナンテもう一度告白、晴れて両想いに。 一年後に第一子誕生。ロシナンテ18歳、元審神者17歳。 ▽コラソン(ロシナンテ)娘主 ナマエ (本名:ドンキホーテ・名前) 海軍本部薬剤師兼隠密監査。おつるの直属。階級は少将。薬剤師のしての腕は一流。19歳→21歳。 drrrの世界から転生した闇薬剤師。異世界での薬剤に関する知識や技術を持っている為この世界に存在しない薬を調剤することも可能。 前世からの変わらぬ日本刀偏愛を発揮し剣術では海軍でも随一の腕となる。 父親譲りの金髪茶眼と母親譲りの端麗な容姿。服装は主に七歩袖ニットと短パンとパーカーとブーツ、右側の腰に自己調合した薬品を収納するためのウエストポーチが付いている。 腰には日本刀を二振り、打刀をベルトに差し、そのベルトに帯紐を着けて太刀を帯刀。パーカーの内側には短刀を隠し持っている。 自分以外は全員他人、という超現実主義。本人的には海軍すらどうでもいい。自分本位に生きている。故に父親が命を懸けて守り抜いた人間にふと興味を抱き単身海へ、んで何やかんやあって麦わらの一味に同行(仲間ではない)することに。正式に仲間になるのは(多分)司法の島か戦争編あたり。 手配書についた異名は“闇薬剤師”。懸賞金は2億1500万ベリー(海軍本部の内部事情等々を知っていることも考慮しての額)。 海軍艦に密航したのは良いものの父親譲りのドジっ子のせいで北の海へ行くはずが何故か東の海に。そこで出会った麦わらの一味の厚意に甘えて同行することになった。 超人系悪魔の実「ナギナギの実」の能力者。触れた者や周囲の雑音を遮断する「無音人間」。その能力故に偵察や隠密、奇襲に長けた能力を持つ。 主な戦闘手段は日本刀と自己調合薬、覇気は修行で得た武装色と覚醒見聞色。主に使用する愛刀は太刀「三日月宗近」と、打刀「山姥切国広」。 三日月宗近は母親の形見であり異世界製の特別な刀剣であるためどんなに損傷しようと専用の道具で手入れをすれば元の状態に戻すことが可能。その価値は最上大業物以上。 山姥切国広はこちらの世界に在った物だが記憶も経験も彼女の所有物及びゲームデータが反映されている。こちらも専用の道具での手入れによる損傷修復が可能。業物。 後に短刀「小夜左文字」を購入。こちらも山姥切国広同様彼女の所持していた記憶とゲームデータが反映されており、専用の道具による損傷修復も可能。 ▼前世 国立大学薬学部卒業後、大手製薬会社に勤務。闇医者を生業としている双子の弟に誘われ闇薬剤師を始めた。 物心ついた頃から刃物類が好きで五歳の誕生日に父親に日本刀を買ってもらった事をきっかけに日本刀偏愛に目覚める。以降日本刀を収集するようになる。 ちなみに初めて買い与えられたのは小夜左文字。それから初めて自分で購入したのが山姥切国広。故にこの二振りは特に思い入れがある。その後も正規販売に始まり果ては闇オークションにまで手を出し、かなりの本数を所持していた模様。 平たく言えば新羅の実妹の闇薬剤師。日本刀フェチ。遊馬崎や狩沢と仲が良いのである程度オタク知識を植え付けられた&刀剣乱舞をお勧めされた。 ・思いついた言わせたいセリフ 「おお。絵理華に勧められたから始めてみたけれど私の待ってる子もいるんですねー」 「罪歌……“全ての人間を愛する”なんて、詭弁ね」 「私は貴女に愛されたくない」 小さい頃から刃物に興味を持っていた。 ワンピースは読んだことがあるのに、その内容はさっぱり思い出せない。興味がなかったから。 “個人主義な正義”故に平気で海賊に手を貸すし、地方海兵の悪行を本部に報告する。自分は至って普通の人間だと思っている。ツッコミでもボケでもない。どちらの味方でもない海軍本部に情報を送るし、地方海兵の悪行を本部に報告する。 かなり“グレー”な人間。敢えて言うならば、“私”と“私が愛を注ぐ物”以外に興味はないのだ。 双子の弟は自分の事を棚に上げて、私のこの愛を“日本刀偏愛(ジャパニーズソードフェティシズム)”と表現した。 前世の私とは似ても似つかない色合いの髪と目。母親似であるとされる顔の造形も前世の私とは全く違う。 この世界での母は、私が物心ついていないと思っていたのかまだ一歳の私に、貴女には分からないでしょうけど、と前置きをして自身の身の上を語り始めた。 言ってしまえば私はその時にはすでに物心もついていたし何より生まれ変わったという自覚もあった。つまり、その当時の私には母の言っていることが全て理解出来たのだ。 母が審神者と呼ばれる職業に従事していた事は確かだ。 ウォーカーとそのような都市伝説まがいのまとめスレを見てしまったからだ。絶対そうだ。 だって、ゲームの中での話なのだから、あり得ない 艦これや刀剣乱舞はプログラミングされた世界なんだ。あり得ないよ、艦娘が闇落ちした姿が深海棲艦だなんて……刀剣男士が闇落ちした姿が遡行軍の彼だなんて。 いつもどこから拾ってきてたんだったっけ、敵方刀剣を破壊した骸の所に、確か、それが。 母は私達がただ淡々とこなしていた“作業”を、死と隣合わせの本丸の中から指示を出していたのだろう。 想像という名の妄想で敵方刀剣の中から新たな刀剣を拾う彼らのその淀んだ霊力を感じて、いつか真実にたどり着いてしまった。 たどり着いてしまったがゆえに、殺された。否、殺されかけた。 時の政府は歴史修正主義者の一部を己のために動かし、強襲という形で本丸を襲わせ証拠を隠滅するのだ。 知り過ぎてしまった者には、それ相応の罰を。 その時丁度手入れをしていた二振りを抱えて、信頼している彼らの声に導かれ、急かされるがままに別の場所へと亡命した。信頼していた彼らの断末魔を聞きながら。 気がつけばこの世界にいたのだ。母の世界にはワンピースなんて漫画は存在しなかったから単純に異世界。 私の世界にはワンピースという漫画も、刀剣乱舞というゲームも存在していた。けれども母のいた本丸の世界は知らない。ゲームと現実ではかなり違っている。 もはやそれは同一ではない。 じゃあ、私のいた世界は誰か知ってくれている? ・幼少期、ローとの出会い 「珀鉛病は伝染らないって知ってるから」 “白い町フレバンス”という本を海軍本部の図書室で読んだことがある。 フレバンスは童話に出てくる雪国のようにすべてが真っ白く幻想的で、その白さの源である珀鉛という鉛が国の地層から発見された百年ほど前から、この鉱物によってフレバンスは裕福な国へと発展していった。 珀鉛は食器は勿論のこと塗料や甘味料、化粧品、果ては武器にまで加工が出来、世界政府も参入する程大規模な産業となった。 (珀鉛病の説明) 止む終えず町を焼き払いフレバンスは滅亡したと本には書いてあったが、私の見立てでは十中八九世界政府側は黒だ。 人間は欲に塗れた汚い生き物だと、生まれ変わっても思い知らされる。だからこそ愛し甲斐があるだなんてどこぞのペテン師ならば言いそうだけど私は人間に愛する価値を見出だせない。 まさか生き残りがいたなんて。 あの本の内容から察するに珀鉛病というのは私の前世の世界でいうところの鉛中毒に類似する病のようだ。 進行具合から見て完治は無理にしろ一応鉛中毒に効果があるキレーション療法を試して損はない。 「効果があったとしても症状が進行しすぎてるから延命措置にしかならないけどね」 「それでもいい! あの実が手に入るまでローが生きながらえりゃあ!!」 「流石だ名前! 我が娘ながら天才だぁ……!!」 「他でもないお父さんの頼みだからね」 それに前世での知識がこの世界で通用するのか気になっていたところでもある。 「俺はあやゆる医学書を隅々まで読み込んだがあんな治療法初めて知った」 「世の中には君の知らないことはまだまだ沢山あるってことだよ」 「お前本当に七歳かよ」 「その言葉そっくり君に返すよ」 ・傷口から薬物を仕込む戦法も出来る 「少しでも傷が出来れば私の勝ちです」 「神経毒を仕込みましたので、しばらくは動けないですよ」 「お母さん、これからお父さんのところに行ってくるからお留守番していられる?」 「うん。クザンおじの所で待ってるね」 「いい子ね。……名前」 「なぁに? お母さん」 「……貴女、この刀欲しがっていたわよね」 「もしかしてくれるの!?」 目を輝かせる私を見ると、母は太刀の緒を解きその刀を目で見つめた。 「三日月さん……良い、ですよね」 そう呟くとゆっくりと私の目の前にその刀を差し出し、こう言ったのだ。 「名は三日月宗近。この時より貴女の刀です。よろしく頼みます」 三日月宗近。その名前を私は知っている。遠い遠い過去のはずなのに、まるで昨日の話のよう。 でもこれは私のじゃあない。“母の”形見だ。 「それじゃあ行ってくるわね」 「いってらっしゃい」 思い出した、刀剣乱舞だ。 私の本丸にはいなかった刀剣が、こんな形で手に入るとは思わなんだ。 「三日月さん、聞いてくれる?」 「私もね、生まれる前は審神者をやってたのよ。まぁ、審神者と言ってもゲームの話なんだけどね。それでもそのゲームの中に三日月さんがいたの。山姥切国広とか今剣とか、加州清光とか、みんながいたの。でも私は始めたばかりだから三日月さんとか小狐丸とかはいなかったんだけどね」 『そうか』 「だからこうして三日月さんがゲームの中のデータとしてじゃなくて、本物の三日月宗近として私の手元にいるのが不思議なの」 「あんなに熱い抱擁をされては爺のじじいも元気になってしまうというもの……」 「まだまだ現役って、爺のじじいは爺じゃないですね!」 「とある海賊を探していまして……北の海出身の海賊なんですけど……」 「北の海(ノースブルー)? あんた、ここ東の海(イーストブルー)よ」 「やや! それはそれは……あまりに最悪な結論なのであまり考えたくないのですが、どうやらその結論が最適解のようですね」 「何言ってんだ?」 「どうやら私は乗り込む船を間違えたようですね」 「まぁ仕方ありません。ドジっ子なのは父親譲りです」 「はい。海軍艦に忍び込みまして、ここまで来ました」 「なっ、海軍の船……グランドラインからここまで気づかれずに密航してきたっていうの!?」 「ええ。そういうのは得意ですから」 「そうですね……ナマエと呼んで下さい」 「お前面白いな! 仲間になれよ!」 「いやー、立場上海賊になるのは憚られるんですよねー。そうですね……まぁ、“仮”ということでしたら構いませんか」 「仲間が増えたぞー!!」 「“仮”なので正確には仲間じゃないです」 ・ココヤシ村にて 「あまつさえあんな三下海賊に買収されようとは……とんだ海軍の面汚しですね」 「あ、センゴクさんですか」 『名前! お前あんな置き手紙一つで家出しおって! 今どこにいる!!』 「……家出という表現は語弊が生じます。置き手紙にもある通り私は人探しをしているんですよ」 『お前が探している人物なんて限られているだろう! そんなのここにいても……!』 「それより東の海(イーストブルー)はココヤシ村支部のネズミ大佐、賄賂罪です」 『む……お前東の海(イーストブルー)にいるのか』 「しまった。私としたことがついうっかり。いやぁドジっ子ドジっ子」 ・ローグタウン刀屋にて 「これは……!」 「?」 「この刀、どこで手に入れたんですか!?」 「どこって……」 「こんなに美しい刀が存在していたなんて……どんな本にも載っていなかったし、きっと最近作られた名立たる名工の作に違いない!」 刃零れ一つない刀身を様々な角度から眺めては打除けの多さや反りの高さやらぶつぶつと呟きつつ手帳と刀を交互に見ている。 そりゃあそうだ、天下五剣が一口、最も美しい刀と謳われた三日月宗近なのだから。 「へー」 「最上大業物……いえそれ以上かもしれません! 何れにせよ誰もが喉から手が出るほど欲しがる一品ですよ!」 「……生憎、母の形見ですので入手の経緯は分かりませんが、この刀が天下の宝刀であることは承知しています」 「お母様の……そうでしたか。そんな大事なものを……はしゃいでしまってすみません」 「いえ。この刀の価値が分かる方がこの世にいることを嬉しく思います」 「そんなに良い刀を持っているのに何故ここに?」 「もう一本欲しいと思いまして。扱いやすい打刀か脇差あたりを」 「そうだったんですか。貴女ならきっと良い刀を選ぶのでしょうね」 「それに、刀はいくつあっても困らないですし」 「……この子を下さい」 「ああ、それなら三十万ベリーだ」 「良業物を選ぶなんて、流石です!」 「この刀は知っていたので。“小夜左文字”、復讐に使われた悲しくも美しい刀」 「それにしても三本だなんてまるで“海賊狩り”のようですね」 「裏切りだなんて、ひどいですね。まるで私が海軍に忠義を示していたみたいじゃあないですか。心外です」 「今も昔も、私は私だけの味方ですよ」 ・ドラム島 「ケスチア熱」 「初期症状時用の応急処置は施しましたが進行具合から見てもここにある薬品だけで完治は無理ですね。応急処置と私の薬で多少痛みは和らぎ熱も少し下がってはいるでしょうが、歴とした外科医の処置が必要です」 「ケスチア自体百年も前に絶滅したと云われていたので実際に見るのも初めてですし勿論抗生剤なんて持っていません……抗生剤は、作るのは簡単ですが生憎今の手持ちでは作れないので何れにせよ医師のいる島へ行かねばいけませんね」 「あまり悠長なことは言っていられませんよ。ケスチア熱は別名五日病と言われていて、その別称通り発症してから五日後には死に至る病気です」 「それはつまり……」 「はい。このまま放っておけば彼女は四日後に死にます」 「!!」 「お前医者じゃねぇのかよ!? 治してくれよ!!」 「医者だなんて一言も言っていませんよ。私はあくまで薬剤師です。本分は薬を調剤することであり、医療的処置は専門外です」 「ドラム王国には優秀な医師が沢山いたはずですから、あそこへ行けば抗生剤乃至材料があるはず」 「万が一に備えて私もドラムロッキーの頂上を目指します。医師がいなくとも薬品さえあれば抗生剤を作れますからね。でもあなたたちとドラムロッキーを登るには、私は足手まといですから、別のルートを探して頂上を目指します」 「医師に会ったらこれを渡して下さい。彼女の容態と、万が一に備えて抗生剤の作り方を詳しく書いておきましたので」 「おうわかった!」 ・ローと再会、シャボンディ諸島? 「安心してください。別にあなたの為に両親が殺されたからといってあなたを恨んだりしていませんから」 「恨むのはお門違いですから」 「恨むべきは我が叔父、なんでしょうね」 「ただどんな人物か見たかっただけです。父と母が命を賭してまで守りたかった人間を」 「は? お前の両親が命を賭してまでって……! まさかお前コラさんの」 「コラさん……そう呼ばれていたそうですね、我が父は」 「父も母も私が幼かったからなんでしょうね、色々と教えてくれましたよ。伯父のことも、この世界のことも」 「というか。会ったことありますよね、私たち」 「……! あの時の女!」 「ようやく思い出しましか」 「“罪滅ぼし”?」 「貴方は何の罪を犯し、償おうとしているのですか?」 「どうせならば被験体になって下さい。試したい新薬がいくつかあるんですよ」 「万が一があっても貴方の能力ならば大丈夫でしょう?」 「ん、俺か? 俺はそうだな……名前の守護霊みたいなものだな」 はっはっはと笑う美丈夫。 「元々は由緒ある刀なのだがな、訳あって名前の母に尽力し今は名前に尽力している」 「いや何、俺にとって名前は孫みたいなものだ」 ・夢の中で刀剣と会話 そこにいたのは前世で友人に勧められて始めた某ブラウザゲームの山姥切国広だった。 刃物に人の形など見ていなかったから某ブラウザゲームでの知識が先入観となってそうさせているのか、それとも本当に山姥切国広はこの姿なのか。 「貴方は私の……岸谷名前の山姥切国広?」 「! やはりお前は……」 「いいから、質問に答えて」 「あ、ああ。俺はお前が……岸谷名前が買った山姥切国広そのものだ。山姥切の写しであることには変わりないがな」 ゲームでは卑屈な性格だったがまさか私が買った山姥切国広もそういう性格だったとは。これもゲームからの知識が夢に反映しているのか。 しかし、当たり前な話だけれど、ゲームでの数枚しかないイラストとは違って目の前の山姥切国広は表情が豊かだ。 「そう。じゃあ小夜左文字も?」 「ああ、俺の感じる限りでは……」 「そう、良かった」 「私が愛してるのは“私の日本刀”だけだから。貴方たちが私の日本刀で良かった」 「これからもずっとずっと一緒よ」 「私だけの山姥切国広」 これは歪んだ愛の物語。 「“AliveOnly”……捜索願と勘違いしてますね、これ」 センゴクさんもおつるさんも私を家出少女か何かと勘違いしているのではなかろうか。 確かに彼らからしてみれば孫が海賊に唆されているようにも見えなくもないが、私はもう成人しているし精神年齢で言えば彼らとそう変わらない。 生きて帰れば更生の余地があるだなんて甘い考えの人たちだったとは。まぁ、殉職した部下の娘なのだから無理もないか。 「海軍にいると“何かと都合が良かった”ので。それももう終わりです。今までお世話になりました」 「お前の死んだ両親が知ったらどう思うか……!」 「笑って許してくれますよ。なんたって私の親ですから」 ▼二年後 「“数珠丸恒次”です」 「三日月宗近は女子部屋の床の間に他の子たちと一緒に飾ってあります。あれは“母の形見”ですのであまり使いたいとは思えないので」 「私にはこの“山姥切国広”と“小夜左文字”、そして“数珠丸恒次”がいれば当面は満足です」 ・ドレスローザ 「あなたたち言い争いしてる暇があるのなら体力を温存しておいた方が賢明ですよ。因みに私も13年前からです」 もっと言うならば“私”が生まれた時から彼との因果は結ばれていたのだろう。“血”という決して消えることのない因縁が。 付け足すならば私は両親の仇でもある。 「一応、聞いておこうか……二人共ここに何をしに来た?」 「お前をぶっ飛ばしにだ!!」 「同じだ」 「失望したよ」 「私のこと、忘れてもらっては困りますね」 「お前は……」 「名前!?」 「ドフラミンゴ伯父さん、初めまして。ドンキホーテ・名前です」 私のフルネームにその場にいたロー以外の全員が動きを止めて私に注視した。それもそうだ、この世にドンキホーテ姓を持つ者はドフラミンゴただ一人と信じて疑わなかったのだろうか 「あなたの姪です」 その言葉で全てを察したドフラミンゴは静かに笑った。 「……そうか、ロシナンテの奴ガキなんて作ってやがったか……」 「隅に置けませんよね」 「私の両親はとても慈悲深い人たちだった。血筋なのか、育ってきた環境なのかは分からないけれど……」 「そのせいでしょうね。私の中にあった冷めた部分も少しだけ温いんです。これが情ってやつなんでしょう」 「お前ら人間と俺とは違う!!」 「“人間”ですよ」 「ドフィ伯父さん。私たちは“人間”なんです」 「ドフィ……悲しい人。壊すことでしか自己を肯定できないんですね」 「仇討ち完了、とでも言っておくべきなんでしょうね」 この世界での両親の仇は返した。親であるという意識はあまり無かったが一応、ある程度まで育ててくれたし、母には三日月宗近も貰ったので。これが、私が出来得る最初で最後の親孝行だ。 「さようなら、ドフィ伯父さん」 ・フィルムゴールド、スルスルのタカナと戦う 「ここは私に任せて下さい」 「煩いですね……“サイレント”」 自分を中心に広範囲の防音壁を張れば辺りは途端に無音となり、周りの喧騒すら聞こえない。 その場に正座し目を瞑り精神を研ぎ澄ませばあとは見聞色で奴の居場所が手に取るように分かる。 「! どうなってんだ音が……消えた!?」 タナカさんが何かを叫んでいるがこの防音壁の中では私とタナカさん以外の全ての音が意味を成さない。 「……そろそろ効いてくる頃だと思いますが、どうです? 体の調子は」 「か、体の調子だと? そんなの良いに決まって…、っ!?」 「地面や壁に散布しておいたんです。普通に立ってるだけならば吸い込むことはないでしょうが、あなたのように喋りながら壁や地面をすり抜けていれば確実に吸い込んでいるはずですよ」 「な、何を、吸わせ、た……!?」 「ちょっとした筋弛緩剤ですよ、私特製の。致死性は無いのでご安心を」 「そう簡単に死なれては面白味に欠けますからね」 |
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