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▽水月の暫定嫁(水月/nrt)
 元々はこいうい夢小説を書いて夢絵に発展させようとしていたやつ。夢絵のみが独り歩きしちゃった。


名前 ナマエ
出身地 不明
誕生日 不明(17歳)
身長 175cm(普段はブーツを履いているため178cmくらい)
体重 59.2kg 血液型 O型
性格 自称ツンデレ
好きな食べ物 ところてん、しゃぶしゃぶ
嫌いな食べ物 こってりしたもの
戦ってみたい相手 自分から水月を奪う者全て
好きな言葉 朝雲暮雨
趣味 水月を翻弄すること
呼び名 (無類の)結界師

 忍者ではないがチャクラを扱い忍術も使用する。土遁と雷遁を得意とする。
 能力に関しては結界師のオマージュです。




 彼女の手が優しく水月の背に触れた刹那、微弱な電気が彼の背から全身へ流れわたる。

「雷遁・静電気」
「うわあぁぁ!?」

 ぴりぴりと痺れが残る体に眉をひそめている水月に対し彼女は、自身の両頬に手を添えとろけるような表情を浮かべる。

「はふぅ……苦しんでる水月かわいい」
「愛されてるのは嬉しいけど愛され方が歪んでるんだよ!」

 蛇内では既に日常と化している光景なので誰も構う人間はいなく、完全に二人の世界だ。二人の、と言うより彼女から一方的に展開される寵愛の世界。
 最近では水月も、諦めの要素も含まれているだろうが、満更でもないと思い始めているのだから愛というものは恐ろしい。


「お前は元々土遁使いだろ、相性的には土遁の方が……」

 そこまで言ってサスケは察した。何故に彼女が自前の土遁ではなく雷遁を使っているのかを。
 彼の考えを肯定するように、いつもの調子で、染めた頬に手を添えうっとりとした表情で答える。

「ちょっとずつ弱っていくのが好き」
「こんなに嬉しくない愛の告白は初めてだよ!」
「……あら、嬉しくないの?」

 途端にナマエの表情が曇り、彼女の機嫌を損ねたのかと冷や汗を流す水月。

「違う! そうじゃなくて、えっと……あーもう!」

「愛されて嬉しいに決まってるだろ!」
「うふふ! 水月愛してるわ」




・水月の身体はひんやりしている

「夏は水月ね」

「ヤりたい」
「暑いから却下」


「冬は重吾」
「ちょっとナマエ」

 ぺしん。伸ばした手は弾かれ虚しく宙で彷徨う。

「触らないで、寒い」
「!?」




・サスケとの邂逅

「あたしはオロチマちゃんの部下でもなければ実験体でもないのよ。第一あたしの能力を欲している国や組織は山ほどあるし?」

 彼女の結界術をもってすれば外部から国を守るなんて朝飯前。その気になればどんな生き物であろうと生け捕りにできるし、過去に尾獣を封印した実績も持っている。
 大国から小国まで、喉から手が出るほどに欲しい存在。だが彼女は一国に収まる気なんぞこれっぱかしも持ち合わせていない。所謂自由人なのである。



「ただあたしの欲しいものがオロチマちゃんの所にあっただけ」


「ある取り引きをしたからここにいるの」
「取り引き?」
「そ、あたしの力を貸す代わりにあるものを貰う約束をしてたの」
「あるもの……?」


「知りたい?」
「……」

 彼女の問いにサスケは黙り込むが、沈黙は肯定を表している。

「教えてあげない」




「貴方がオロチマちゃんを取り込んだのならあたしとオロチマちゃんの契約はあたしと貴方に移行されたってことで良いのよね?」
「……そう考えて構わない」

 彼女は結界術や拘束術の類に長けており、かの呪印の製作にも一役買っている。各所にあるアジトが人目に付かぬよう隠している結界も彼女の術によるものだ。
 大蛇丸と共に行動しては呪印の制御ができず暴れ出した実験体を拘束したり、実験体が逃げ出さぬよう結界を張るのが彼女の役目となっている。
 そのため重吾とは幾度となく顔を合わせていたのだ。

「重吾ったら、また暴走しているの?」

「しようのない子ね……」

「ナマエ、か……?」
「そうよ。落ち着いた?」




「その水槽、壊れないでしょう?」

 あたし特製の結界だからね。そう言うと愛おしげに水槽を一撫でした。
 どんな術者であろうと破るのは不可能と言わしめるこの結界、大人しく

 一般的な結界術は、術者が絶命すれば術も解ける。しかし彼女の結界は彼女が何れの理由によって他界した場合はより強固となるように施されているのだ。

「お前は確か、よく大蛇丸と行動を共にしていた……ナマエ、だったな」
「大正解」

 水槽の上からふわりと飛び降り、手早く片手で印を結ぶ。彼女独特の術。

「“解”」

 すると、ガラスケースに施された結界は解かれ、中に溜められていた水が重力に従い溢れ出す。

「やっと出られた……」

「ああ、ずっとこうしたかった」
「ああ、水月。好きよ」

「水月がサスケについて行くのならあたしも一緒に行くわ」



「あら、重吾。もしかしてだけど、あたしを殺すつもりなの?」

 重吾が動き出すのとほぼ同時、す、と彼女の目が細められた。

「しようのない子」


「“縛”!」

 彼女の右手から飛び出した五本のチャクラ糸に絡め取られ縛り付けられる。呪印状態にあるにも関わらず指一つ動かすことが出来なくなってしまった。これがひなぎの実力の一部である。



「オレはもう人を殺したくないんだよ!」
「重吾、大丈夫よ。貴方はもう誰も殺さない。だから落ち着きなさい」

 彼に向けるは聖母の眼差し。包み込むは聖女の慈愛。
 

「貴方が誰かを殺そうとする前にあたしが貴方を止めてあげるわ。だから、安心なさい」

「それにね……彼、うちはサスケは君麻呂が命を掛けて守り抜いた子なのよ。言わば君麻呂の忘れ形見よ」



「香燐、止めなさい」

 刹那、香燐の動きが止まる。
 

「これ以上水月に手を出すことはあたしが赦さないわ」
「っ、……チッ、わかったっての。お前を相手するほど馬鹿じゃねぇ」




 いつも通りの五人で歩いている時、その手紙は彼女の元へと届けられた。

 森を抜け何キロも先が見渡せるほど茫洋とした草原に出た五人を追うように、一羽の鳥が飛んできていた。
 五人の中で最初にそれに気付いたのは感知能力に秀でた香燐。次にサスケとナマエ。目的こそ定かではないが鳥がこちらに向かってきているのは明らかだ。
 明確な目的があるのか、何者の思惑によるものなのかは不明瞭。考え得るのは伝書鳥か、抜け忍であるサスケを探査しにきた忍鳥のどちらか。

 鳥を殺すことは容易ではあるが鳥類を愛する重吾がそれを許さないだろう。何よりナマエがその鳥のものと思わしき名前を呟いたのを、四人は聞き漏らさなかった。
 彼女の声に反応するように、鳥は彼女の頭上で数回旋回した後、ゆっくりと水月の肩に留まった。
 鳥。タカ目ハヤブサ科ハヤブサ属に分類される鳥類の一種、チゴハヤブサ。名前の由来通りハヤブサよりも小型ではあるが立派な猛禽類である。

「痛たたたっ、爪が食い込んで、痛い、痛いって! しかも重いし痛い!」

 今にも肩を貫かん鋭い爪に耐える水月。いつものナマエならばここで恍惚の表情を浮かべ彼が苦しみもがき続ける様を見つめるのだが、今日は違った。
 微かに眉を寄せて鳥を見つめる様にはいつもの余裕が見られない。


 鳥に背負わされた荷物。長方形の小さな箱と鳥を括っている紐を、慣れた手付きで外す。鳥も、それを望んでいるのか大人しい。

 ナマエの扱う能力が彼女固有のものなのか。それとも、血族のみが扱えるものなのか。はたまた生まれ育った里、もしくは村特有のものなのか。
 それらの疑問を、彼女の正体を、明るみにする。そうすれば、最良で彼女以外の手ごろな結界術使いを手元に置くことができ、最低でも彼女を知ることが出来る。
 無論、彼女を手中に収めようとする影並びに大名各位は、彼女の身元を調べに調べた。尾獣をも捕らえる力量を持つ少女。まさにどんな手をも使おうとした。

「“切界”」

 片手で未の印を結び箱を切るように手を動かせば箱を覆っていた結界が消え、麻の葉が象られた美しい模様の箱だけが残る。
 箱は寄木細工で出来ており、これだけでも芸術的価値がある。しかし、受取人であるナマエにとって最も価値があるのは中身だ。箱はそれを保護するための単なる入れ物に過ぎない。

 元々の開け方を知っているのか組木により複雑に密閉された箱を器用に、かつ手早く解体してゆく。

「……手紙、か?」

 香燐が呟く。ナマエの手中には箱と、幾重にもくるまれ上下の端を折り畳まれた和紙。まさしく、文と呼ぶのに相応しい形態をしている。
 文にはしっかりとナマエの名前が書かれており、彼女もその筆跡をよく知っている。
 忘れようにも忘れられない大切だった人から。彼女の母親から、彼女へ宛てた手紙。それを運んできた鳥も、彼女の母親のものだ。

 鳥は、彼女が返事を寄越すまで帰る気はないらしい。生憎彼女は、と言うより他の四人もだが、筆記具を持ち合わせていない。
 その旨を鳥に伝えれば、ならば飼えばいいと重吾を介して伝えてくる。鳥はいつの間にやら水月から重吾の肩へ移動していた。

「殺したら重吾が怒るか」




「故郷が恋しい?」
「……もう、帰る道だって覚えてないわ」

 恋しくなんてない。
 否、彼女は覚えている。ありありと。まざまざと、はっきりと、くっきりと。どの道を通りどの結界を通りどの道順で歩きどの森を通り過ぎどの結界を何回潜ればよいのか。全て。
 本人は気付いていないが、彼女には癖があった。自分の本心を知られたくないとき、つまり故意的に嘘を吐かざる得ない場合、相手の目を決して見ない。
 今の言葉も、誰とも目を合わせなかった。つまりは、そういうこと。彼女が嘘を吐いていることは容易に気付けたが、何故嘘を吐くのか、空言を言う理由が解らなかった。彼らには言いえぬ、思うところとやらがあったのだろう。




「さ、サスケ……背中流してやるよ」

「あれ、香燐なんでここにいるの?」
「ここは男湯なのよ」
「そうそう……って、え?」

 本来ならば隣の湯にいるはずの少女の声がし、水月からは間抜けな声が飛び出す。

「ななな何でナマエが堂々とこっちにいんだよ!?」
 
 体にタオルを巻いてはいるが湯に浸かっているためあまり意味を成していない。濡れたタオルは彼女の柔肌に吸い付き体のラインを浮き出している。
 たわわな胸に引き締まったウエスト、程よいサイズの臀部。濡れたことによりやや透けて見える扇情的な体つきに水月だけではなくサスケや重吾、同性の香燐に至るまでもが頬を赤らめた。

「チームワークを高めるためにみんなで入る?」

 妖艶な笑みを浮かべ、水月の左腕に抱きつく。




・ちょっとえっちなやつ

「舐めたい?」
「うん、舐めたい」


「えっちしたい」
「だめ」


「ボクのこんなになってるのに?」
「んっ、」




・こういう設定もありました

「あたしが生まれた村は狂気に溢れてたのよ。男の子を産んだ時点で女は夫となる男をその手で殺す習慣があったの」




・鷹と暁

「お前は、例の結界師か、噂に聞いている」
「そうだけど、何?」
「お前には別の任務を与える、角都と共に行け」
「えー」



「水月、離れていても貴方の心はあたしのものよ」
「ナマエの心も、ボクのもの」
「嬉しい。……でもあたしのこれは、貴方には早すぎるわ」

 そう言って水月の手を自らの胸に乗せるナマエ。当然水月は顔を赤くさせるが彼女の意図している


「あの十尾、貴女なら無傷で捕まえられるんじゃないかしら?」
「ええ、それは可能よ。やらないけれど」

「だって、疲れるじゃない」




・フルパワー忍伝ネタ

「下敷きの静電気で弱る水月かわいい……!」

 両手を頬に添え恍惚の表情を浮かべるナマエ。

「何ですか、このちょっとアブナイ女王さま的な方は!?」





▼基本ド下ネタがエロしかない現パロの学パロ

・バカップル

名字ナマエ
 ヒロインちゃん。恋人の水月と二人暮らし。下ネタ変態プレイどんと来いの変態女。どちらかというとボケタイプ。泳ぎはあまり得意ではないが水泳部のマネージャー。甘いものが好き。

鬼灯水月
 主人公くん。恋人のナマエと二人暮らし。下ネタ変態プレイどんと来いのド変態で毎日彼女との変態プレイに勤しんでいる。色んな意味でツッコミタイプ。水泳部期待のエース。


・クラスメイト(一年生)
サスケ:バカップルの友人。クールで女子の人気者。真顔で下ネタを言う。剣道部。
香燐:バカップルの友人。主にツッコミ役。サスケが好き。
重吾:バカップルの友人。年上だが留年してるので同じクラス。お兄ちゃん的存在。
ナルト:サクラが好き。サスケのライバルでもあり親友的存在でもある。エロいことの興味津々な思春期男子。
サクラ:ナマエの友人。サスケが好き。ちっぱい。ちょっとうぶ。
いの:ナマエの友人。サスケが好き。イケメン大好き。下ネタ女子。
サイ:年上だが編入してきたので同じクラス。真顔で下ネタを言う人。ある意味思春期。
シカマル:めんどくさがりだがエロい事には興味あり。頭の使いどころが残念。
チョウジ:色気より食い気。
ヒナタ:ナマエの友人。ナルトが好き。乳でかい。下ネタ耐性なし。
キバ:エロいことに興味津々な健全思春期男子。ナルトとよくつるんでいる。そこらへんにいる男子高生と変わらん。
シノ:影が薄い。真顔で下ネタを言う人。

・先輩(二年生)
テンテン:ツッコミ役。下ネタ耐性有り。
リー:サクラが好き。熱血青春フルパワー全開。思春期男子。
ネジ:ツッコミ役。色々と不憫な人。脳内思春期。むっつりスケベ。イトコン。
カブト:化学部部長。大蛇丸先生とよくいることが多い。ある意味変態。

・先輩(三年生)
鬼鮫:水泳部部長。噂では生殖器が二本あるとかないとか。お母さんのような存在。
イタチ:サスケの兄。真顔で下ネタを言う。変態という名の紳士。
サソリ:水月たちのマンションの隣の部屋に住んでいる。おっさんのような下ネタを言う。美術部所属。ヤリチン。
デイダラ:童貞。ナマエが好き。美術部所属。
トビ:ぐるぐる仮面。欲求不満な思春期健全男子。人にちょっかいかけるのが好き。
ゼツ:謎多き双子。影が薄い。
角都:生徒会会計。守銭奴。達観した変態。何かとじじい。
飛段:健全思春期男子。巨乳派。下ネタ大好き。頭はよろしくない。
ペイン:生徒会長。真顔で下ネタを言う人。脳内思春期。むっつりスケベ。
長門:ナマエの従兄。生徒会の一人。むっつりスケベ。
小南:生徒会副会長。ナマエが大好き。

・教師
カカシ:担任の先生。国語担当。堂々と官能小説を読む下ネタの塊。
ガイ:熱血青春体育教師。自称カカシのライバルでありカカシの唯一の友人。
アスマ:隣のクラスの担任。剣道部顧問。紅の恋人。バカップルのラブラブ具合がちょっと羨ましい。
紅:大人の女。アスマの恋人。英語教師。
大蛇丸:生物化学担当教師。化学部顧問。カブトとサスケがお気に入り。
イルカ:数学教師、ナルトの親代わり、バカップルには手を焼いている
綱手:理事長、ババアと言うと怒る、バカップルについては一定の成績を修めているし学内で目立った行為がないため(単に上手く隠れながらヤっているだけ)容認している

木ノ葉丸たちは中等部。エビスは中等部の教師。他の人たちも居るけれど割愛。




 ちゅんちゅんとベランダに留まったスズメがさえずる中、水月は目を覚ました。じっとりと汗ばむ身体を起こし隣で寝ている少女に視線を移す。

「ナマエ、朝だよ」

 彼の方を向き寝ているナマエを起こすためにシーツから出ている白い肩を軽く揺する。

「んー」

 彼女はまだ寝かせろと言わんばかりに小さく声を漏らし、彼の手を除けるよう身をよじる。もう少し寝かせてやりたいのは山々だが生憎昨夜は情事の後にそのまま寝てしまったので早々にシャワーを浴びねばならないのだ。
 事後の臭いが残る部屋で、水月はちらりと時計を見やる。シャワーを浴びて朝食を取るならばあまり時間に余裕はない。弁当のおかずはあらかじめ前日に作って詰めてあるので炊き上がった白米を詰めるだけでいい。
 もう一度彼女の体を揺らすも反応は薄い。
 
 シャワーヘッドをフックから外し秘所へ手を伸ばせば昨夜出した精液と混ざった愛液でぬるりと滑りがよくなっていた。

「んっ」
「ここもちゃんと洗わないとね」



「風呂場でイチャついてたら遅れました!」
「ましたー」

 水月が遅刻した理由を告げながら教室の扉を開けたので、当然クラス中の注目を集めた。風呂場で、という単語からいかがわしい想像をし顔を赤らめている生徒もいる。
 お咎めの言葉がくるかと身構えていた二人に掛けられたのは担任の声ではなく、クラスメイトであるナルトの声だった。

「カカシ先生ってばまだ来てねぇってばよ!」

 集まる視線の中に担任の物はなく、教壇にも誰もいない。胸をなで下ろす。

「ラッキー、今のうちに席着いちゃえ」

 いたずらが成功した子供のような笑みを浮かべて足早に席につく。




 熟れた苺を摘んでナマエの目の前に差し出せば彼女は
 人差し指と中指を突っ込んで適当に動かす。歯の裏を撫でたり舌を挟んでみたり、時にはゆっくりと、時には激しく、緩急をつけてみたり。もはや苺は原型を留めておらず唾液と混ざっている。始めこそ驚いていた表情は見る見るうちにとろけてゆき、まるで情事の際男性のものを加えている時のように指を舐っている。




 授業が終わり各部活が活動を開始する時間となった。いつものように先に着替えを終えた部員たちがプールサイドで準備運動をしている所へボードとストップウォッチを持ったナマエが遅れて現れた。
 制服姿では水泳部のマネージャー業はこなせないため彼女はジャージに着替えるのだが、今日は少し違っていた。それに気付いた鬼鮫が彼女に声をかける。

「おや、ナマエさん今日は水着なんですね」
「少し泳ごうかと思いまして」

 ふわりと微笑むナマエ。鬼鮫の言うとおり彼女の格好はジャージの上に短パンといういつものスタイルではなく、プール授業の際にも着ていた白のビキニ水着にジャージの上着のみを着込んだ姿である。
 普段ならば中にTシャツを着ているため上着のチャックは全開だが、今回は水着を着用していることもあり上着は胸の辺りまで閉められている。今のナマエの格好は豊満な胸元を晒し、上着の丈の関係で股上数センチ程がぎりぎり見えている状態だった。
 その光景に男子部員のみならず女子部員の視線をも集めていた。当然水月はそれを良しとせず。一目散に更衣室へと駆け込み、胸元に鬼灯と小さく刺繍されているジャージの上着を握りナマエの元へと駆け寄った。

「ナマエっ! やっぱボクの着て!」
「もー、減るもんじゃないんだからぁ」
「ボクが嫌なの!」

 普段ならば喜んで着るところだが蒸し暑い室内プールではちょっとでも涼しい格好をしたいのが彼女の本音だ。しかし水月の最後の言葉に胸を高鳴らせ、嬉々として頷くナマエ。
 すぐさま自分の上着を着せ、股下十数センチまでを隠すことに成功した水月。しかしそれが、思春期の妄想力を助長することには気付いてはいなかったのだ。

「これでいい?」
「! (裸ジャージみたいになってる!?)」

 これはこれでやばい、そう思い水月が再び着替えを促そうとするも遅く、ナマエは顧問に呼ばれて行ってしまった。伸ばした手は空しく宙を掴む。

「あっ、ナマエまっ……!」
「……あなたたち、人前で色々としている割りに意外と初々しい所もあるんですね」

 やきもきさせている水月に対して鬼鮫は呆れたように言う。確かに人前で恥ずかしいことを平気で行う彼らにしては珍しい。まあやきもちを妬く程に好いているということだろう。
 未だ落ち着かない様子でいる水泳部のエースを、鬼鮫は容赦なくプールへ突き落とした。頭を冷やして少しは冷静になれとでも言いたいのだろう。

「ぶあっ! いきなり何なんだよ!?」
「みなさん、ウォーミングアップはしっかりして下さいね」
「無視すんなー!」



「もう少しだけ残って練習してもいいですか? 水抜いて帰るんで」
「構いませんが、くれぐれも神聖なプールでいかがわしい行為はしないように」
「……そんなわけないじゃないですか〜」

 図星を突かれ一瞬固まったがすぐに笑みを浮べて誤魔化した。

 図星を突かれてしまい思わずストップウォッチを落としそうなるナマエ。しっかりとストップウォッチの感触を確かめながら薄ら笑いを浮べた。




 思い出したようにいのが口を開いた。

「うちの学校って何で男子だけ指定水着なのかしらね?」
「確かに」
「女子は水着が自由っていうのは嬉しいけど」


 彼女達の通う学校は男女混合のプール授業があり、その際学校指定の水着を着用するのは男子生徒のみ。女子生徒だけは自分の好きな水着を着用できる。なんとも可笑しな決まりごとだ。


「水泳部のマネージャーだからって水泳が得意と思ったら大間違いなんだからね!」
「いやっ、堂々と言うことじゃないでしょ!」




「ナマエ、いつものやってー」
「ん、座って」

 彼を自分の席に座らせるとその後ろに立って彼の頭に先ほどまで自分が使っていたタオルを被せ、彼の髪に吸い付いている水分を拭い始める。
 これが家で、風呂上りならばドライヤーで乾かしているところ。しかし生憎ここは学校でプールから上がっただけなのでドライヤーもなければ後でシャワーを浴びなければいけないので完全に乾かす意味もない。
 よくやっているのか彼女は慣れた手つきで彼の髪から水分を拭ってゆく。彼女の優しい手つきに、水月も気持ちよさそうに目を細める。
 あまりにも自然に行われている行為に思わず見入っている者もいれば、気にすることなく自らの髪を拭っている者もいる。香燐に至ってはサスケに同じ事をしようとして軽くいなされていた。

 ある程度水分をタオルに染み込ませると今度は胸ポケットから櫛を取り出し彼の髪を梳かし始める。色素の薄い髪は多少の水分を含んでいても櫛通りは悪くなく、すんなりとナマエの左手へと束ねられてゆく。
 そして水月がまどろみから睡眠へ移行しようかという時には、藤色のシュシュで綺麗に結われていた。どうやらナマエの藤色の髪を束ねている、水色のシュシュと色違いのようだ。
 綺麗に結われているのを確認したナマエは、露わになっているうなじへキスを一つ。ちゅうと音を立てるそれに、遠巻きに見ていた女子は小さく歓声をあげる。いのやサクラといった彼女達をよく理解している者たちは、またやっている程度にしか思わないが他のお年頃な女子には刺激的だ。

「サスケ見て見てー、ナマエとお揃い!」
「ああ、そうだな」

 ナマエも水月と同じ位置で髪を結っているので、髪型と色違いのシュシュがお揃いであることを見せびらかしたいのだろう。
 動くたびにぴょこぴょこと揺れる尻尾を嬉しそうに見せる水月に対してサスケは適当に相槌を打つだけ。特に興味はないようだ。

「重吾も見てよ、最近部活上がりにやってもらってるんだー」
「犬の尻尾みたいで可愛いな」
「香燐ー」
「だーっ! おめえしつけーんだよ!」
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