▽多重トリップ男主(色々混合/化物語/nrt) |
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現実→FA→ホリック→化物語→HxH→nrt 梟に休まれた少年 壱原名前(偽名)。男。 念能力で具現化した密閉型ヘッドセットと、ワンレンズ型のサングラスを常に着用している。服装の指定は特になし。 左腕は義手、といっても念で具現化された物なので見た目も機能も本物とさして変わりない。 平和主義者であるが己の平穏の為ならば武力介入も辞さない。 リア充大学生、不慮の事故で死亡→前世の記憶を有しFAへ転生、若くして国家錬金術師になりそれなりの地位へ就く、興味本位で真理を見て知識欲が高まる、その際左腕を持っていかれ左腕を機械鎧にする→更には通行料を払い扉を通ってホリックの世界へ、侑子の弟として生き壱原名前の偽名を得る、また前世(大学生だった頃)の記憶を対価に永遠に忘れぬ記憶力を得る、銀時計を対価に別世界へ→化物語の世界で梟の怪異に休まれ、周りの心の声が聞こえるようになる、別世界へ→HxHの世界でプロハンターとなり裏で情報屋を営む、彼に恨みを持つ者達により幼くさせられ異世界に飛ばされる→nrtの世界で密かに情報屋を営みながら忍になる←今ここ □各世界での異名、通り名 現実:(特になし) FA:智識の錬金術師(階級は少将) ホリック:魔女の弟、知識の魔法使い 化物語:直江津高校生徒会長、会長くん HxH:情報ハンター nrt: 普通の世界で大学生として生きていたが交通事故で死亡、前世の記憶を持ったまま鋼錬の世界へ転生。 当時の両親から錬金術を学び、興味本位で真理を見て左腕を持っていかれる。真理を見たことにより知識欲が高まり、以降様々な知識を取り込んでゆく。 左腕を機械鎧にし、若くして国家錬金術師に成り、数々の功績を上げ少将の地位を得る。当時の部下にマスタングらがいた。 あらゆる知識を知り尽くし知識欲を満たしたので扉を通ってみることに。後の消息は不明で殉職扱い、本人は知らないが二階級特進で大将になっている。 扉を通った際に通行料として今まで育った時間の半分を持って行かれ高校生くらいの容姿となる。扉の先はホリックの世界で侑子のミセに辿り着く。 そこで世話になることとなり壱原名前という偽名を与えられ侑子の弟として生活していた。程なくして、前世(大学生だった頃)の記憶を対価に永遠に忘れぬ記憶力を得る。 数年でその世界での知識を知り尽くしたので、銀時計を対価に別世界へ。 化物語の世界では直江津高校の生徒会長として過ごしながらも裏では情報屋を営んでいた。 ある時木菟の怪異「神梟」にとり憑かれてしまうが、その怪異を気に入ってしまう。簡単に言うと周りの心の声などが勝手に頭の中に流れ込んでくるという怪異。 知らないことはないと云われている情報屋。対価を払えばどんな情報でも渡すことで有名。 念能力は特質系、ホリックの世界で微量ながら魔力を手に入れていたため勝手の良い能力に仕上げることができた。 一度覚えたことを忘れない記憶力を得る対価として現実世界での記憶全てを失うが「前世の記憶が消えた」という認識はしっかりと記憶している。 前世の記憶を対価にトリップしたHxHの世界では、培った魔力を駆使し便利な念能力を身につる。 プロハンター(ダブル)兼情報屋を生業に悠々自適に生きていたが彼に恨みを持つ者によりnrtの世界へ飛ばされてしまう。 「聞き耳頭巾(タッピング)」 能力者の周りにいる不特定多数の思考が聞こえてくるヘッドホン。サングラスは映像を流すための媒体にもなる。 密閉型ヘッドホンは左耳部分にマイクが収納されており伸縮自在、音量調節も自在で普通のヘッドホンとして音楽を聴く事も可能。 イヤホン端子を対象に差し込み対象の過去から現在に至るまでの記憶を読み取ったり知りたい情報を強制的に引き出す事ができる。その際サングラスに記憶の映像が映し出される仕組みとなっている。これは人間や動物だけではなく意志を持たない物も対象に含まれる。 また、マイク端子を相手に差し込み、ヘッドホンに収納されているマイクを伸ばし話しかけることで対象の精神へ干渉することも可能。 「第三の眼(スカウター)」 普段は普通のサングラス。凝と併用することにより見たものの健康状態、オーラの流れなどが表示され、暗視スコープにもなる。 また、あらかじめ念で印を付けていた相手の現在位置を表示させられる。印はハンター文字の「と」のような模様をしており触れることでマーキングできる。マーキングは同時に五人まで、それ以降は古い順に消される。能力者が触ることで印を消すことも可能。 他にもマーキングした者が現在見ている視界を勝手に共有することも出来る。 「人類活動記録帳(アカシックレコード)」 具現化された巻物に知りたいことを書くと自動的に教えてくれる能力。具現化と特質の能力。 名前と生年月日を書けばその人の経歴や身体能力、対象の未来を変えないという誓約の元、対象の半年後までの情報を自動的に表示させる。 他人の名前と生年月日を質問してはいけない。能力者以外の質問には答えてくれない上、抽象的な質問にも答えてくれない。能力者以外に巻物の内容は読めない。それらが制約と誓約。 ▼→nrt ・フォーマンセル結成 「一族の仇討ちなんて立派じゃないか。何も知らない割にはだけど」 「……何が言いたい」 「別に。何も」 「壱原名前、趣味はキノコ狩りで好きなものは蒼い空、嫌いなのは月曜日、将来の夢は登山家かな」 にこにこと当たり障りのない笑顔で言う。僕はそんなつもりこれっぽっちもないのだが、四月一日曰わく胡散臭い笑顔、らしい。 制約と言う名の対価として僕は他人に自分のことをあまり話さない。なので今言ったことは全て嘘偽りである。はたけ氏のようにはぐらかすことも出来たのだが、情報屋は信用第一。適当なことを言って手っ取り早く薄い信頼を得る方向へ、脳がそう出来上がっている。 ・鈴取り合戦 「落ちこぼれ」 「勘違いしないでほしい。僕は授業に付いていけなかったからサボっていたのではなく、授業を受ける必要が無かったから行かなかっただけさ」 「授業で教わるような知識も技術も、既にあの頃には備わっていたからね」 前世の記憶は失ったが前世に関わる記憶だけは残っていた。侑子さんの所にきてから感じたりした前世について朧気な記憶だけは残っている。 例えば本名、過去に一度だけ侑子さんに名前を呼ばれたことがあった。その一度だけが俺が唯一持っている前世に関する記憶。 侑子さんは俺が前世の記憶を捨てると分かっていたのだろう、その一度のお陰で俺は本名を忘れることはなくなった。 「どんなに個々人の能力が優れていてもチームワークが成っていなければ班の意味がない。そもそも同じ学校に通っていたとはいえ昨日今日組まされた班でチームワークを、と言うのが無理難題なんだ。ましてや、意図的とはいえ人数分用意されていない鈴の取り合いなんて、まず無理でしょう」 「特に、思春期の男女なら尚更チームワークは望めない。自尊心、羞恥心、劣等感、全てが邪魔をする」 「しかし忍は任務の内容により赤の他人同士がチームを組まなければならない事だって当たり前にある。どんな状況においても忍者は己の感情より任務遂行を優先すべきである。彼ら三人の選択は失敗であったというわけだ、もちろん僕の選択も」 「百点満点の回答だ」 「どうも」 しかし、僕はそれでよい。もちろん彼らを説き伏せて強制的に協力させることも可能だが、それでは意味がない。僕は全ての世界において傍観者を決め込んでいるのだから。 僕というイレギュラーを無理やり組み込まれた世界は少なからず本来成るべき道筋から逸れてしまう。最初は微々たる齟齬でも放っておけばどんな相違になってしまうか。大きく逸れた結末は、僕の望む所ではない。だからこそ、理想通りの結果へ導くためには成る可くそのぶれ幅を短くするに限る。 ・鳴門大橋編 僕に取り憑いている梟は誰彼かまわず声を聞かせる。人間や動物例外なく。 「忍者対決なんてしないよ」 「そうそう、タズナさんが嘘をついてランク設定を下げたなんてあり得ないよ。タズナさんの造る橋によって物資の交通や輸送云々でどこぞのカンパニーの社長が忍者を仕掛けてくるなんてないない」 影分身をその場に残し僕は一人、絶で気配を絶ち木の上から二人の忍の戦いを観戦していた。梟が流し込んでくれる二人分の意識がぶつかり合っている様は耳触りがとてもよい。 「うさぎくん、ご苦労様」 「あなたは……いえ、何でもないです」 「おそらく、ではなく間違いなく仮死状態だよ。でも首筋のツボにあの状態なら一週間は体が痺れて動けないはずだ。まあ、斬不再なら一週間もせず動けるようになるだろうけどね」 今頃リハビリでもしてるんじゃないかな。 僕の体は異世界へゆく度、その世界の秩序に順応してゆく。例えば体に纏う念と呼ばれるオーラを自在に使うことのできる世界ならば念能力の素質が、魔女が存在し魔力と呼ばれるエネルギーがある世界ならばその素質が備わる。この世界で言うところのチャクラという素質も、この世界に来た際備わった。念同様自在にコントロール出来る状態だ。 カカシさんの冗談だが、冗談でも、火影になる気はさらさらない。そもそも木の葉の里に留まっているつもりすらないのだから。 「また会ったね、うさぎくん」 「……貴方は何者なんです」 「ただのしがない下忍だよ」 「これ、ガトーの金庫の番号です。中身は好きにして下さい」 これくらいの介入は大丈夫だろう。もとより彼らのものも含まれているし、遅かれ早かれ金庫の中身は彼らに渡る。 「いつの間にそんなの調べたのよ」 「調べたというか、ガトーが教えてくれたと言うべきか……。まあ、どうでもいいよ」 サクラは知る必要のないことだ。 ・中忍試験 その場にいた試験官全ての名前をフルネームで、生年月日と趣味特技、更には好きな食べ物や嫌いな食べ物までをもおまけに付けて、答案用紙いっぱいに書き綴ってやった。これで僕の情報収集能力がどれだけ長けているか解るだろう。拷問なんぞナンセンスだ。僕ならば相手に触れることなく情報を引き出せる。 ・暁 「ああ、君がオビトくんか」 「……お前、何者だ」 「壱原名前。偽名だけどね」 ・どこの話か忘れた文章たち 「べ、別にあんたの好物だからあげるんじゃないんだからねっ。お腹いっぱいだから仕方なくなんだから!」 「なんだよそのツンデレ」 侑子さんと生活しているとツッコミ体質になるかと思いきや四月一日というツッコミ人間の存在により、半年後には僕も見事なボケ体質へと変貌していた。 四月一日君尋という存在は実に愉快な奴だ。彼の素朴で壮大な人生を語るのはプライバシー保護の観点から割愛するが。僕は無闇に個人情報を漏洩するような人間ではないからね。単純で、壮絶な、僕の人生の一部を創った存在の本名を晒すことくらいは許容の範囲なので良しとする。 「知ることは罪ではない。知った後にどう行動するかで罪は決まる」 ▼化物語編 嘘物語、名前オウル ・ひたぎクラブ 「会長君、この部屋を密閉空間に出来るかい? 怪異を逃がさないようにしたいんだ」 「それはあの二人が来てからという事ですよね。わかりました」 「おお、やっぱり出来るんだね。頼もしい限りだよ」 二人が教室に入ったのを確認して、ぱちんと手を合わせ廃墟の一部を分解し、教室内を覆う様に壁を練成する。数十秒のうちに密閉空間に仕上げる。 僕がいた世界がまさか漫画になっていたとは、当時の僕もそれは思い浮かばなんだ。これだから知りたがりは止められない。 「壱原くん、これが終わったら聞きたいことがあるの。いいかしら?」 「ああ、僕は構わないよ」 この後件の漫画のファンである戦場ヶ原さんに錬金術師時代の話を根掘り葉掘り聞かれたのは言うまでもない。 ・名前オウル 品行方正、頭脳明晰、容姿まあまあ。規律を守り、困っている人あらば手をさしのべ生徒全員を纏め上げ、常に生徒の模範となる。羽川翼が委員長の中の委員長ならば、壱原名前は生徒会長の中の生徒会長。それが、周りから見た僕の評価だ。 それは如何なる事情事件が起ころうとも変動しない。例え裏で情報を売買していても、真面目な生徒会長がそんなことする訳がない。あ、売っているだけだから売買と言うのは語弊があるな。 むしろそのくらいの人間で居なければ釣り合いは取れないだろう。品行方正な生徒会長と、他人の情報を高値で売る闇商人。必要悪ならぬ必要善。 この世界に来てからはほぼ毎日、図書館で書物を読み漁った。日曜日だけは、利用者が少ないと言う理由で閉館されているのでタクシーを利用しわざわざ首都まで出向き、田舎町には置いていない書籍を読み耽る。 それの繰り返しであっという間に三年が経たった。もうこの世界で知らないことは、ない。 知識というものは有ればあるほど、知れば知るほど、邪魔にはならない。 これは、色んな世界を行き渡ってきた僕のご都合主義とも言える、嘘のような本当の話。 「阿良々木くん、僕の名前を知っているかい?」 「何を言ってるんだ、もちろん知ってるさ。壱原名前、だろ?」 「確かにそうだね。壱原名前というのは僕が常用している、表向きの名前だ」 本名よりも常用しているけれど、壱原名前という名に意味はない。僕個人を呼ぶために付けている単なる記号にすぎない。名前を書くだけで人を殺せるノートがあったとしても、この名前では僕は殺せない。 羽川さんの頭脳や推理力を持ってしても僕の本名を知ることは不可能だろう。 「知っているかい? 阿良々木暦くん。名前を知られるというのは相手に魂の端を掴まれるも同然なんだ。多分、似たようなことを忍野さんから聞かされた事があるだろうけど。日本では言霊なんてものがあるくらい、名前というものは大事なんだ。それと同じく、生まれた日を知らせることは、来し方行く末の道筋を掴ませるようなものだよ」 「羽川さんの明晰な頭脳を持ってしても壱原名前という人間は暴けない。けれども勘違いしないでほしい、羽川さんが劣っていると言いたい訳ではないんだ。羽川さんはとても、言葉で言い表すのが烏滸がましい程に優秀だ。しかし、ただ、僕が羽川さんの頭脳をかいくぐっていた。それだけのことだよ」 「羽川翼の知識は“知ってることだけ”。壱原名前の知識は“限りがない”。それだけのことさ」 百聞は一見にしかずとはよく言ったもので、いくら図書館に入り浸っても、書物を読み込もうと、経験に勝る知識はない。しかし僕は、百聞あってこその一見が大事だと考える。群盲巨像をなでる、という諺も存在する。海外旅行へ行ってもどこを見て回れば良いのか分からなければ意味がない。とどのつまり、何事にも前知識は必要ということ。 忍野さんの元に通っては怪異に関する知識を講じて頂いた。対価として授業料を少しばかりと旬なフルーツを携え、随分と前に廃墟となった学習塾へ。手土産にミスタードーナツも忘れずに。 何を隠そう、たまたまあの廃墟へ辿り着いた際に忍野さんとお近づきになったのだ。結界が張られ普通に歩いていては辿り着けないように成っている廃墟に、普段優等生をしている人間が辿り着くなんて。たまたま、辿り着いたなんて。普通なら起こり得ない話。 必然という名目の、たまたま。怪異を調べる中で忍野メメという人物に行き当たらなかったわけではない。沢山の怪異関係者の名が調べ上げられたその中に忍野メメという名前があり、彼がこの町に滞在していることを知っていたから。だから、彼を選んだ。 お陰で怪異についての知識を、怪異に接触した経験のある人間から聞くことが出来た。今の僕は百聞どころか千聞もの知識を有している。だから、今こそ一見をすべきときなのだ。この町に集中して起きている怪奇現象、否、怪異現象を。 太陽が照りつける昼間も昼間、僕は一羽の梟を見た。梟は夜行性の生き物なので動物園以外で、昼間に飛んでいる姿を見ることはまずない。 梟に休まれた。 所謂逆サトラレという奴らしく、常人ならば精神に異常を来すのがこの怪異の結末らしい。 梟に休まれたね。忍野さんがそう言ったので僕の自信は即座、確信に変わった。 この怪異は「心木菟」とも呼ばれており、木菟の語源である「耳付く」もしくは「耳突く」の通り、心に耳が付いてしまったのだ。心に付いた耳は他人の心を聞き取る。 心を読み取り万物を理解する者をある種の人間は神と呼び崇める。この怪異がまだ知られていない時代、神梟に取り憑かれた者は神とされ、それ故にフクロウは知識の神の使いとされている。僕に取り憑いている怪異が、「神梟」と呼ばれる由縁とも成った逸話である。 それらが僕に取り憑いている怪異の成り立ちであり、正体でもある。 この怪異の恐ろしさは誰彼構わずに心の声を読み取ってしまう所にある。知らぬ間に取り憑かれ聞きたくない声、聞こえるはずの無い声を聞かせてくる。その声に耐え切れない人間はやがて精神に異常を来たし最悪の場合自らの命を絶つことも少なくない。 だからこそ、その異常に耐え抜いた者が神と呼ばれるようになったのかもしれない。ある有名な医師がこの怪異を精神病の一種と診断せざるを得ない位に、精神に異常をきたすケースが多いらしい。 だが僕には意味を成さない。むしろ好都合な怪異であると言っていい。知識欲の塊のような僕にとってはチートとも言える怪異だ。素晴らしい。 物事を客観的に捉えられない人間程この怪異に飲まれやすい。 「大正解だよ会長くん。これで僕が君に教えることは無くなった。実質、今の君は僕以上に怪異の専門家だよ」 「ところで会長くん、君はその怪異をどうするつもりだい? 君なら対処法も退治法も知っているだろ?」 「勿論飼い慣らしますよ」 「人間や動物に対して生物成らざる物が怪異と呼ばれるのならば、会長くんはこの世界にとっての怪異なのかもしれないねぇ」 「ははっ。忍野さんは相変わらず面白いことを言いますね」 それ以来僕は梟に休まれ続けている。 「そうだ、羽川さんにこれを。僕からの餞別みたいな物だよ、要らなかったら捨てるなり寄付するなり好きにしてくれ」 そう言って手渡したのは札束が大量に入ったボストンバッグ、勿論裏の仕事である情報屋で稼いだ金だ。不正をして稼いだ訳ではないので羽川さんに胸を張って渡すことが出来る。 中身を確認した羽川さんはいつもの穏やかに見える血相を変えて、バッグを突き返そうとする。 横から見ていた阿良々木くんも中身を確認すると驚きを余すことなく顔全体で表現してくれた。これだから彼らは面白い。 「こんな大量のお札受け取れないよ!」 「そうは言っても僕にも必要ない物だからなぁ」 実際、この世界を出てゆく僕には必要のない物だから、羽川さんのような人の手に渡るのが最善なのだ。善用するにも悪用するにも賢い人に賢く使用して貰いたい。 授業料として忍野さんにも渡したり、学校の施設を整えるのに匿名で寄付したりしていたが十分すぎる量が余ってしまったのだ。 ならば何故裏家業でそんなに稼ぐ必要があったのか、という疑問が挙げられる。答えは単純明快、金銭が対価として分かり易かった為。インターネットを介してのやり取りだったが故に、相手方にも用意しやすく支払いやすい物が金銭だっただけだ。 「ああそうだ、じゃあ三枚だけ返してくれるかな?」 羽川さんに断って札束の中から三枚だけ抜き取り阿良々木くんに手渡す。 「阿良々木くん、これは君に」 「え……?」 「大分早いけどご祝儀だよ。将来君が、戦場ヶ原さんかそれとも別の誰かと結婚する時に僕はいないから。別に今すぐに使ってくれても構わないし、然るべき時まで使わなくても君の自由だ」 |
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