アタシ達がホールに行きプリンを買って食べていたら予鈴が鳴ったので、プリンを急いで口にかきこんだ。
「急がないとヤバいね、中庭通っていく?」
『うん、そうしよ』
予鈴が鳴ったから中庭には、お弁当食べている人も、ボールで遊んでる人も、誰もいなかった。
「あっ…」
そんな中庭で、しーちゃんが何かを見つけたのか、アタシの腕をとり草むらに引っ張り込んだ。
『ちょっ、痛い痛い!木に髪絡まって、ふがっ!』
そして口を手で塞がれた。息出来な…い…苦…しい…。
「あ、ゴメンゴメン」
やっと、口が解放されて早々空気を吸う。死ぬかと思った…。
肺一杯に酸素が行き渡り、呼吸を整えると同時に、しーちゃんが何故このような行動をとったのか分かる現場を見てしまった。
「私、入学当時から栄口くんの事が好きでした!その、良かったら付き合ってくれませんか?」
田上さんの告白現場だ。いや、てかなんで、中庭でするのさ、授業までに間に合わないよ…。
とは、思いつつも、告白現場を見るのなんて初めてで、内心ちょっとドキドキしているアタシがいる。
「……」
栄口、なんか言えよ!!
少しの沈黙も長く感じてしまう。
「……あのさ、田上さんはオレの何処が好きなの?」
そして、栄口言った言葉は、返事ではなく質問だった。
いや、そんなんどうでもいいじゃん。どうせOKするんでしょ?もう何、焦らしてんのよ。
「え、好きな所?そ、それは、栄口くんの幸せそうに笑う所かな」
わー、田上さん照れてる!めちゃくちゃ可愛いーし!!
「……田上さん、あの気持ちは嬉しいんだけど、気持ちには答えられない。ごめん…」
は?えっ、何言ってんの彼奴?田上さんの告白断りやがったよ。あっ、しーちゃんも吃驚してる。
「え?何で?…好きな子とかいるの?」
田上さんもまさか、断られるとは思ってなかったみたいだ。かなり驚いている。
「田上さんには関係ないよ」
「……そっかごめん。じゃあもう授業始まるから教室に戻るね…」
それだけ言って田上さんは、去っていった。田上さんは、今にも泣きそうな顔だった。