私と花井くんはつい最近、付き合って半年を迎えました。
…が、未だにキスなるものをしたことがありません。
私は"お付き合い"ということ自体が初めてなものでわからないんですが普通半年たったらキスの一つや二つしてるもんじゃないの!?
友達に相談したところ、
「はぁ!?まだキスしてないの!?」
「半年たってキスまだって…攻めてけ咲!」
ということで、真田咲!今日のデートでキ、キ、キスします!!
まぁいきなり外でのキスは恥ずかしいので、今日はお家デートです。
いざ出陣!!
インターフォンを押すと、花井くんが迎入れてくれた。親御さんと飛鳥ちゃん達はどうやら出掛けているようだった。
花井くんの部屋に入るとりんごジュースとお菓子を出していただいて、たわいのない会話をした。…そして、会話が盛り上がりすぎて、時間が過ぎてしまった。
どうしよ!?全然キスするような空気にならなかったよ!?私のばか!てか、何で花井くんはキスしてくれないんだろう…私のこと嫌いなのかな…?しょうがないから付き合ってくれてるのかな?告白したのだって私からだし、手繋ぎにいったのだって私からだし…。
「そろそろ帰るか?暗いし送るよ」
『……』
「咲?」
『花井くんは私のこと好き?』
「えっ?何でそんなこと」
『だって、私達もう付き合って半年だよ?なんで…キ、キスしてくれないの!?』
なんか自分が哀れすぎて泣けてきた。泣くとか私すごくうっとしい。でも止まんないよー。
花井くんはあわあわしてるし、飛鳥ちゃん達はちょうど帰ってきたし…。
「咲」
『な、なに?』
「キ、キスしていいのか?」
『へ?』
「…俺さ、キスとか嫌で、嫌われたらどうしようかと思ってさ」
『嫌じゃないよ!!だって、花井くんのこと好きだもん!』
その時の花井くんは凄く顔が赤かったと思う。
「『……』」
「じゃあ、するぞ?」
『…うん』
ファーストキスは、りんごジュースの味だった。
ファーストキスはりんご味
(レモンの味じゃなかったね)
(そうだなー)
((お兄ちゃん、ファーストキスおめでとう!))
(飛鳥、遥!?お前ら、なんで!?)
((花井くんもキス初めてだったんだ…))
―――――――
甘を目指したがみごと撃沈。