今日もいつものように時間が流れている。朝練に行って、授業を受けて、友達とくだんねー事話して、クラブに行く。
でも、今日はなんか授業受けるのがダルくてサボることにした。この学校のサボりスポットは、主に屋上。けど、みんな考える事は同じだろうから、屋上には数人もう来ているだろう。
俺は、人に邪魔されずゆっくりしたかったので、知る人ぞ知る穴場の"万葉の庭"に足を進めた。
万葉の庭は、紅葉やイチョウが色づき始めていた。秋だなと、実感した。
木ばかり見ていて気づかなかったけど、奥に人影があるのに気づいた。
「『あっ』」
その人と目があった。それは俺の知ってる奴だった。つまり、向こうも俺の事を知っている事になる。
『…阿部、授業サボんなよ』
「…お前に言われたくねーよ」
なぁ真田何で、泣いてんだよ?何かあったのか?聞きたいけど、俺が聞いても良いことなんだろうか?
俺は何も言わず、真田の隣に腰を下ろした。
風が吹き紅葉が落ちていく。
『ねぇ阿部、もしさーもしだよ?』
「おう」
いきなり真田が喋りかけてきた。もしなんだよ。やっぱり何かあったのか?いつもは、うっさいぐらい元気な真田が泣くぐらいだ。相当な事があったんだろう。
『もし、阿部が…弁当忘れたらどうする?』
「・・・はぁ!?」
弁当
(弁当忘れたとか死ぬー!)
(知らねーよ!ホール行け!)
(財布も忘れたー!)