隣の席の真田は、良く分からない人物だ。無口で、昼休みも弁当を食べ終わったらすぐ、どこかに消える。誰かと一緒にいるとこなんて見たことないし、笑ってる所なんてクラスの誰一人見たことないと思う。オレは、そんな真田が苦手だった。


けど、不運にも週に一度の実習で真田と、ペアになってしまった。


「うおっ、イッチャンついてるな」

「はぁ?どこがだよ?」

「真田ってさ、他のクラスで可愛いって人気だぞ?」

「じゃあ、沢変わらねー?」

「いや、オレは見てるだけで良いや。実習が実習だし」

「だよなー……はぁ」


今回の実習は、夏野菜のトマトを育てるというものだ。苗植から収穫まで一通り行う。すげー長い時間一緒にいることになる。ぶっちゃけ、凄く気まずかった。

だがしかし!!今日は収穫の日。これで、やっと気まずい空気から解放される!
オレはテンションが上がり、ルンルンで畑に向かった。すると、もうそこには真田がいた。


「『………』」


オレ達は、一言も喋らず黙々と収穫作業を始める。


八割ぐらい収穫して、ふと周りのグループに目を移す。
よく見ると、オレ達の畑には雑草が全くと言って良いほど生えていない。それに、一回りぐらいトマトが大きい。艶もあり、凄く美味しそうだ。

なんでだ?オレ達のだけ先生が世話をしてくれたとは思えない。ない頭でいろいろ考える。
……そういや、5限目になると真田から微かながら土の匂いがしていた気がする。
もしかして真田が?


未だにトマトを収穫している真田に目を移す。


「!?」




もし君が笑っていたら
(おーい、イッチャン収穫どうだったー)
(…って、どうしたその顔)
(べ、別になんでもねー!)
(はは、トマトみてーな顔)




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