昼休み、咲が泣きながら帰ってきた。
教室にいる奴らは、みんな咲を見て、どうしたのかと慌てふためいている。
無理もないだろう、咲はクラスでは人気者で、笑顔を絶やさない奴だ。そんな奴がいきなり泣きながら帰ってきたんだ。そりゃあ慌てる。
俺は、咲が泣いている理由の予想がだいだいついていた。
ガタンと音をたてて俺は席を立つ。そのまま、泣いている咲の前まで行った。
「…おい、咲」
咲に呼びかけると、咲は涙を拭って俺の顔を見てきた。俺と咲は、身長差が結構あるから自然に咲は上目使いになる。
やべー。めっちゃ可愛い…。
『ふぇ?隆也…?』
「こっち来い」
『えっ、ちょっと〜?』
俺は、咲の手を引いて誰もいないであろう屋上に向かった。
***
予想通り、屋上には誰も居なかった。咲と俺の2人だけ。
「……咲…泉と何かあった?」
『……う…ん』
俺が咲に問いかけると、また咲は泣き出した。
「…ちょっと座れよ」
『あっ、うん。…ごめん』
「別にいーよ」
俺達は、壁にもたれるように座った。
「…で、泉と喧嘩でもしたのかよ?」
咲は、泉が好きなくせに、よく喧嘩する。だから、また喧嘩したんだろうと思っていた。そしたら、予想していなかった返事が返ってきた。
『………フラれた…』
それはもう、消えて無くなってしまいそうな声で。
てか、フラれたってどういうことだ?もしかして、
「…泉に告白した?」
『うん…』
で、フラれたのか……。
『ご、ごめん。涙止まんないみたい。情けないよね、フラれただけでこんなに涙がでるなんてね』
咲は、隣で、出てくる涙を必死で拭っている。
「……」
俺は、情け無くなんかないと思う。俺だって、咲が泉の事が好きだって聞いた時、ヤバかった……。
「…泣きたいだけ、泣いたらいーよ。一緒にいてやるから」
『はは、隆也が優しいよ。これゃー雪降るかな』
「…うっせーよ」
これが、
今の俺にできること
end
―――――――
ちょっと、暗めかな(焦)
阿部っぽくないし…orz