「−今日は夕方から明日にかけ、雨が降るでしょう。お出掛けさいには傘をお忘れなく」


***

ザー


『……最悪』


ぽつりと私は靴箱で1人呟いた。
私が、クラブを終え靴箱に向かう途中にいきなり雨が降ってきたのだ。
それも、ざざ降り。

確かに、天気予報では雨が降ると言っていた。
けどっ!、朝は快晴だった。これでもか!というぐらい、日が照っていたじゃないかっ!


『うーん、どうしよう。駅まで走って行っても濡れたまま電車に乗るのもなぁ…』


と、1人ブツブツ言っていると、


「真田さん?」


ふいに、後ろから名前を呼ばれたので振り向く。


『あ、栄口くん』


そこには、同じクラスの(クラス以外でも)人気者、スーパー爽やか少年の栄口くんがいた。
同じクラスとはいえ、あまり栄口くんとは話したことはない。

『えっと、何でしょう?』


「いやー、外見て1人ブツブツ言ってるから。どうかしたの?」


『えーっと、(変な人に見えたのかな!?)傘を忘れてしまってそのゴニョゴニョ…』
と、最後の言葉を濁しながら言う。すると、

「傘忘れたの?じゃあ、俺の傘使いなよ」


と、あのすんばらしい爽やか笑顔で言ってくれた。


『(いい人!)えっでも、そんな悪いよー。栄口くんの方が濡れちゃうし』


と、断った。
が、栄口くんは「うーん…」と唸り、何を思いついたのか、何故か頬を染めていた。


「じゃあさ、真田さんがイヤじゃなかったら、…駅まで一緒に…帰らない?」


『えっ、いいの!?私は全然いいけど、栄口くんはいいの?』


「もちろんだよ」


そうして、私と栄口くんは駅まで一緒に帰る事になった。


***


『私さー、栄口くんがモテるの分かる気がするー。』


「えっ!?何いきなり?」


帰り道、私のいきなりの発言に栄口くんは驚いていた。
私は話を続ける。


『だって、めちゃくちゃ優しいじゃん!しかも、誰にでも!』

「そんな事無いよ」

『いやっ、あるの!だってさー、あんまり話した事無い私を、傘に入れてくれるんだよ?そんな人いないよ?』


「…別に誰にでも、優しいわけじゃないよ。」

『えっ?何か言った?』

「ううん。何でもないよ」

そういった栄口くんは、少し顔が赤かった。

『あっ、もう駅に着いちゃった…』


話してる内にいつの間にか駅に着いた。


『今日は本当にありがとう。また明日!』


私は、栄口くんにお礼を言って改札口に向かった。


「真田さん!」


栄口くんに呼び止められた私は、反射的に振り返る。


「あっ…あのさっ、明日話しあるから!」


『?。うん、わかった』


「じゃあ、また明日っ!」


そう言い走って帰る栄口くんの後ろ姿から私は、なぜか目が離せなかった。




雨のち……恋?


end



おまけ
〜翌日の放課後


『えっと…、話しって?』

「真田さん、俺と付き合ってください!」

『?。別にいいよ』

「えっ!本当に!?」

『うん。てか、どこに?』

「………」


おしまい。

―――――
なんか、最後のおまけいらないかもですね。
このあと栄口の気持ちはキチンと伝わりました。
ここまで読んでいただきありがとうございました。




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