ガタンガタンと音をたてて、私の知らない景色を通り過ぎる電車。
やっと止まったと思ったら、やっぱり知らない景色が広がっていた。

私はポケットから小さなメモを取り出しながら、駅を後にした。

えーと、この道を右に曲がって…次は左?かな。おっ、人がいる、あの人に聞いてみよ。


『すみません。ここら辺に"三橋"さんちってありますか?』


近くで見ると、私と同い年くらいの男の子だった。鼻の辺りにそばかすをつけている。


「おー知ってるぜ!こっち!!」


その男の子はそう言って、どんどん進んで行く。
男の子の後ろをついて行くと、めちゃくちゃ大きい家が見えてきた。
男の子は、その大きい家の前で足を止めた。


「ここだぜ」


『あ、ありがとう!』


「別にいーよ。じゃあなー(ニカッ」


そう言い残し、男の子は帰っていった。

私はさっきと反対のポケットから携帯を取り出し電話をかけた。


「[も、しもし?]」


『もしもし、レン?私だよー。咲!』


「[え、咲…?]」


レン、この対応からするときっとケー番登録してなかったなー。


『うん、そー。ねぇレン、外見てみて』


「[う、うん]」


少し待つと、窓がガラッと開きひよこ頭がひょっこりと出てきた。
あっ、レンだ…。変わってないなー。


「[咲、外み、たよ?]」


『じゃあ、そのまま玄関見てごらん』


私がそう言うと、レンはすぐに玄関の方を見る。すると必然的に目が会う。


『レン、久しぶり!』


レンは、吃驚しているらしく口をパクパクとさせていた。


***


『レン、大きくなった?』


「そ、そうかな?」


レンの家に上がり、只今お茶してます。
それにしてもレン近くで見ると、大きくなったかな?成長期だもんね。


『ところでレン、今日はクラブ休みなの?』


「う、ん。休みだ、よ」


『そっかぁ。じゃあ、キャッチボールしない?』


「いい、よ」


私達はグローブを持って外に出た。


***


『レンー、クラブ楽しいー?』

「楽し、いよー」


そっか、よかった…。中学の時はいろいろあって、レン野球止めるって言ってたからな…。

ちっさい頃は、レンと瑠里と修ちゃんと私で良くキャッチボールしたっけ。あの頃のレンはよく笑ってたよなー。でもよく泣いてたっけ。
懐かしいなー。


***

「咲、暗くな、って来た、よ?そ、ろそろ、帰らな、いの?」


『あっほんとだ。暗くなってきたねー。帰ろっか』


***


『じゃあ、次の電車で私帰るね』


「き、気をつけてね」


『「……」』


ねぇレン。レンは、瑠理や修ちゃんや私と離れ離れになったとき寂しくなかったの?

あれっ、目からなんか出てきた。なんだろコレ?


「!?。咲、な、何で、泣いて、るの!?オ、オレ、何かし、た!?」


あ、私泣いてるのか。


『大丈夫、大丈夫。目にゴミが入っただけだから気にしないで』


そっか、泣いてるんだ…。

あっ、電車来ちゃった。


『じゃあ私行くね』


クルッとレンに背を向け電車に乗り込む。プシューと音を出し扉が閉まる。


『!?』


いきなり私は手を引かれ、バランスを崩し倒れそうになる。
ヤバい倒れる!!って思った瞬間、レンに支えられた。


「咲、ど、どうし、たの?や、やっぱりオ、レ、何かし、た?何か、し、たんならオレ、あ、謝るか、ら。だから、泣、かない、で?」


優しい声で言ってくれるレン。私は糸が切れたかのように泣き出してしまう。

『じゃあ、レン、三星に戻ってきてよ!また、4人でキャッチボールしようよ!!私は、レンが埼玉行ってからずっと悲しかった!寂しかった!ずっと、一緒にいたかった!』


わがままなんて分かってる。レン、せっかく西浦で上手くやってるのに、そんな事言いながら泣いても、レンを困らせるだけなのに…。
分かってるんだけど、涙は止まらない。


「…咲。オレ、また咲、に、会い、に行、く。そ、そんで、オ、オレが18歳になったら、け、け、結婚して!!」


『…え?』


結婚?えっと、結婚?えっ、そんな簡単に決めていいの?
私はレンの事好きだから嬉しいけど、


『レンは、い…いの?』


「オオオ、オレ、ずっとずっと前から咲の事が、好き、だった。今も。これからも!」


『…ほんと?』


「う、ん!約束!!」


さっき止まった涙が、また出てくる。


***


次の電車が来た。私は電車に乗り込む。


『レン、お正月帰って来るよね?』


「うん!」


『じゃあ、お正月に会おうね。またね!!』


私は、レンが見えなくなるまで手を振り続けた。


end


・おまけ・

田「みっはしー、昨日三橋ん家に女の子行かなかったー?」


三「来た、よ!幼なじみの咲だ、よ」


田「へー、あの子咲っていうんだー。可愛かったなー」


三「う、ん。咲は、可愛い、よ!」


栄「何の話しー?」


田「おっ、栄口。今、三橋ん家に来た子の話ししてたんだー」

栄「どんな子なの?」


三橋、写メ見せる。


栄「うわっ!めちゃくちゃ可愛いじゃん!」


三「オ、オレのお嫁さんだよ」

田・栄「へー、そうなんだー………え?えぇぇぇぇえ!!!」


三橋のカミングアウト(笑)


――――――――
三橋、口調がわからない…。




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