私は、ここ最近毎週決まって木曜日の昼休みに図書室に向かう。
でも、別に本が好きなわけでもないし、勉強しに行くわけでもない。
そんな私が、大事な昼休みを割いて木曜日に図書室に行く理由はただひとつ。
『あっ…あの!本返しに来たんですけど…』
「はい、ありがとー」
木曜日は、私が片思いしている西広くんが本の貸し出しの当番だから。
西広くんの事は、名前と一年生、という事しか知らない。
なんせ、初めて西広くんを見たのは、1ヶ月前の図書室で。
私が、科学のテスト勉強している時。
けど、きっと西広くんは私の事なんて覚えてないだろう。
『はぁー』
1つ溜め息をつき、私は適当に本を選んで、カウンターに向かった。
カウンターでは、西広くんが本を読んでいた。
私が来たのにも気付いてないようだ。
『す…すいません』
「……」
うーん…。気付いてくれないなー。
……よく見ると西広くんって、意外と肌焼けてるなぁー。
「真田さん?」
『…ん…んぁ?』重たい瞼をゆっくり開けると、
『に、に、に、西広くん!?』
「あっ、起きた」
目の前に静かに微笑んでいる西広くんがいた。
どうやら、西広くんを眺めているうちに寝てしまったようだ…。
最悪だ…。西広くんに、不細工な寝顔を見られてしまった…。
『…ご、ごめん』
「なんで謝るの?…真田さんて、面白いねー」
『…えっ、面白い!?いや、それよりも名前知ってるの!?』
「知ってるよ。1ヶ月頃前、図書室で俺に科学聞きに来たよね?」
『う、うん』
私ヤバい。西広くんが、私の名前を覚えてくれたってだけで胸がいっぱいになる。しかも、あの時の事まで…。
『に、に、西広くん!あのねっ、私……』
「?」
ちょっ、私、胸がいっぱいだからって何告ろうとしてんの!?
このままだと不自然すぎるし、何か言わなきゃ!
『あのー、えっと……あっ、今度勉強教えて…くれない?』
「…」
やっぱり、苦しいか…。
『ごめん!今のは、気にしな「いいよ」』『…へっ?』
…今なん…て?
「今日の放課後でもいい?」
『…ほんとに、い…いの?』
「もちろん」
『−っ!あ、ありがとう!!』
早く、放課後にならないかな!!
end
(じゃ、じゃあ放課後ーー!
(あれっ、真田さん本忘れてるー!
(あっ、ごめん!ありがとうーー!
(やっぱり、真田さんて面白いな。(…真田さん寝顔可愛かったな)
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初、西広先生!