−ピンポーン…ピンポーンピンポーンピンポーン
「…」
朝から、鳴り止まないチャイムで俺は目が覚めた。
今日は、クラブが久々の休みだっていうのに…
「ゆっくり寝させてくれよなー」
1人呟く。
俺以外の家族は皆買い物に行っているので俺は居留守を使うことにした。が、
『あっずさくーん、遊びましょ〜』
「ぶっ!?」
−タッタッタッ バンッ!
急いで玄関を俺は開けた。
「…お前なー、その呼び方で呼ぶなつったろ!」
玄関にいたのは、『へへへ』と笑う幼なじみの咲だった。
***
『お邪魔しまーす』
と言い、さっさと俺の部屋に行き椅子に座る咲。
「…んで、何しに来たんだよ?」
俺の質問に、待ってましたといわんばかりに咲は答える。
『あのね、私好きな人いるのー!』
「…好きな…人?」
『うん!』
いきなりの事に俺は驚いた。
それよりも何だか胸がもやもやする…。何だコレ?
そんな事をよそに咲が続ける。
『聞いて聞いて!その人ね、ちょー格好いいの!しかも優しいし、あと野球してる姿とかヤバイ!』
「(…野球?)」
野球という単語が気になる。
「それって俺の知ってる奴か?」
『そだよー』
咲はキョトンとした顔で答える。
「そうか」と答える俺の頭では、咲の好きな奴が誰なのかフル回転で探す。
「(泉か?いや、アイツは優しくない。沖かな?でも咲と接点無いしな…。あっ、栄口か!咲と同じクラスだし)」
俺の中で答えがでた。
「(栄口かー、勝てる気がしねー)」
って、何考えてんだ俺!?自分に突っ込んでいると、
『私ねー今日その人に告白するの!』
「はっ!?」
咲から本日2度目の衝撃の告白。
「(マジかよ…)」
咲が告白したら、きっと栄口はOKするだろう。そしたら、こうやって休みの日も遊んだりしないんだろーな…
何だろ、咲が栄口に告白して付き合うことになったら嫌だ!って思う。
……そうか、咲の好きな奴がいるって聞いてモヤモヤするのも、栄口と咲が付き合うことになるのが嫌なのも 咲が好きだからか…今更気付いたってどうにもならないことぐらいわかってる。それに、どうする気もない。俺が今咲に告っても咲を困らすだけだ。
けどせめて、幼なじみとして咲の隣に居させてくれ。
「なぁ、ところで何で俺に話すんだ?」
『だって好きな人って梓だから』
「・・・ はいーーー!?」
咲が[今日の夕飯カレーよ]ぐらいのノリで言うから、つい大きい声が出てしまった。
「えっ、ちょっ待て。お前が好きな奴って栄口だろ!?」
『栄口くん?栄口くんは友達として好きだよ。ってか何で栄口くんが出てくるわけ?私が好きなのは梓だって!』
あーもー頭がついていかない。どういう事だ?
俺は咲が好き。咲も俺が好き?
自覚した途端顔が熱くなる。
『あっ、梓照れてるー』
「うるせっ!」
指をさして笑う咲。
告白した奴の態度か!?
俺は咲の方に向き直る。
「……咲」
『うん?』
「好きだよ」
俺の言葉でみるみる赤くなっていく咲は今までの中で一番可愛かった。
これからも君の隣で
――――――
一応、花井夢です。花井さん難しいですわ。
ここまで読んでいただきありがとうございましたー。