その後の涙が滑稽さ

※性的描写あり































「ぅあっ、あ、んぅ、」


手の甲で口を押さえようとしても、震えて開いた隙間からどうしても漏れ出てキショい声が耳に入ってくる。ああもうやだ今すぐこいつ死ねばいいのに。
身を捩って執拗に胸をしゃぶる本田から逃げようとすれば、腰を抱き上げられて奴の胡座に座らせられた。さっきよりも密着してるんですけど。もうやだ。
お互いのベルトを外し終えた手が後頭部に添えられて、半開きだった口を塞いで上顎をなぞりながら舌に絡んできた。そちらに思わず意識を集中していると、手際よく下着まで脱がされてムカついたので本田の着たままの服の上から爪を立ててやった。


「……は、なに、よゆうないね?」

「嬉しくて、つい」


ふふ、と気持ち悪い含み笑いを漏らしながら耳を囓られ、低音が直接吹き込まれると寒気なのか何なのか背筋がぶるりと震えた。


「足立さん」


こういう時の呼び掛けは意味がないので、無視してまた胸を弄られる感覚に堪える。荒い鼻息が肌をかすめて気持ち悪い。あとこの状況も自分の口から出る声も気持ち悪い。


「まえがみ、あたってかゆい、」

「じゃあ押さえて」


妙に艶のある声で促され、引っ張られるままに本田の額に手を乗せて髪を掻き揚げる。体を支えていた腕が一本減った事で体勢は不安定になったが、押し倒されてその問題はすぐに解決した。
下半身の言いたくもない部分を擦り合わされ、どうしようもなく感じてしまって押さえるのが面倒になってきた声を垂れ流していれば不意に動きが止んだ。閉じていた瞼を開いてみれば、甘ったるく笑う本田と目が合う。


「…なに、はやくしてほしいんだけど、」

「いえ、可愛いなって思って」


前髪を押さえていた手はいつの間にか本田の襟元を縋るように掴んでいて、舌打ちしながら腕を降ろそうとするも掴まれて手のひらを舐められた。肩が大袈裟に跳ねてしまい笑われたのを手のひらで感じ取る。
太腿を抱え直した腕が奥までつたい、なんだか分からないものをひだに塗り込まれる感触がする。薄々分かってはいたけど、やっぱり本番までいたしていまうようだった。下に堂島さんも菜々子ちゃんもいるのにちょっと誘ったぐらいで流されるなんて馬鹿じゃないの。明日僕仕事あるし。君だって学校あるくせに。勢いに任せて良い結果が出る事なんてほとんどないのに、正真正銘の馬鹿である。
また足立さん、と無駄に名前を呼んだ本田はそれが免罪符だと言わんばかりに指を挿れて内壁を擦りだした。


「ア、ひ、」

「力抜いて、」

「い、やだ」

「でも入りませんよ」

「しらな…、ん、ん」


ぐるりと広げるような動きが痛くて目で訴えるが、むしろ奥を執拗に広げられて苦しくなる。ああ、君そっちだったの。

噂に聞く前頭線らしきところを執拗にいじくられたせいでフェラやら足の指を舐め回すやらなんやら……言いたくも思い出したくもない行為をあまり記憶せずに済んだが結局致してしまった事には変わりはなく、気持ち悪くでれでれしたやつが「風呂まで抱き上げて運びましょうか、あ、一緒に入りましょうか」とうなじをさする手に本気で鳥肌が立ったのでやつの股間を思いきり蹴ってやった。フニャリとした生暖かい感触は足の裏を布団に擦り付けて誤魔化す。
ぼそりと「たっちゃいました」と涙声で呟いているのは無視した。



10.10.28(qufa)


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