もう何度も言い聞かせた (眠い…。) さっきからずっと心の中で呟いている言葉。特に忙しくもないから休もうと思えば休める。だが、なんとなく寝てられない気分なのだ。血が騒ぐと言うのだろうか…?何故かもう一人の自分が何処かへ駆り出そうと悶えている。 「どうしたの?なんか気だるそうだけど…。」 総司の手が額へと当たる。冷たくて気持ちが良い。そんな総司のが首筋に降りてきたので目を瞑って擦り寄ってみた。 「熱いね。風邪かな…?」 頬に添えられた手がじんわりと熱さを消していく。頬が緩むと総司も笑っていた。 「ゴホゴホ。…眠い。」 「ん。此処にいてあげるから、眠るといいよ。」 総司の膝枕、何年振りだ?と心で問いかけて見るも、体の気だるさと眠さに意識を闇に落とした。最後におやすみと言う声が聞こえた気がした。 *** ――…・・・もう深夜だろうか? 現のなかでそんなことを考えた。何処か落ち着く匂いが鼻を掠めて目を薄っすらとあけた。目の前には男らしい胸板。 「目が覚めた…?」 「…総司?」 ぼぅっとする頭を使おうとすると鈍い痛みに顔を顰めた。 「大人しくしておいた方が良いよ。山崎君が2、3日安静だってさ。」 「そうか、」 寒気に隣の総司に擦り寄る。頭の後ろに添えられていた手がぐっと引き寄せられた。 「そういえば、昔はよくこうやって一緒に寝てたよね。その度に近藤さん怒ってたっけ?」 「そうだな。俺はもっと恥じらいを持てとか、説教を食らったこともあるよ。…まぁ、今は関係ないけどな。」 「なんか刹って男の子みたい。」 「それでいいのさ。」 「「…ぷっ。あははっ!」」 決まり文句のような会話に笑う。総司といると何故か嫌なことを忘れていく気がした。 *** ――明朝。熱の下がっていた俺は外へと顔を出した。 何故かこの場所がおかしいように感じた。いつもと違うような…。 はっきりとは言えないが、着実に何かが変わってきている。それは人、空気、元々の俺達の居場所。少しずつ少しずつ何かが変わっていく。それに脅える俺は、目の前が真っ暗になりような感覚に飲まれそうになった。 「大丈夫だよ。」 「……総司。」 握られた手から伝わるものに、仕方が無いと言い聞かせられた。それもこれも総司のおかげだろうか…。昔から変わらない人、ずっと傍にいてくれる大事な兄のような人。 「もうすぐ、変わるな。此処も人も…。」 風景を見ているこの瞳(メ)はしっかりと前を向けているだろうか…? 「うん、変わる。だけど僕達は変わらない。だから言い聞かせて、自分は一人じゃないと」 「そうだな。」 仕方ないと笑う自分に、大丈夫といい聞かせた。 2010/11/21 一応そろそろ試衛館を終らせて行きたくて、こんなのが出来ました。 でも、安定するまでのお話をあと何本か書きたいなぁ…。 雪子さん、大丈夫でしょうか? よろしくお願いします!! 執筆者⇒芹 戻る |