魂を焦がす熱い想い 「後悔、…そんな念、俺にはないよ。」 頬から流れている鮮血を一舐めして、怪しく笑う。睨みを効かせると尋常ではない程の殺気と共に相手の目も鋭くなった。 「いい眼だな。――…食い殺したくなる。」 その言葉と共に一瞬のような速さで、突っ込んでくる慧に刹は上手く交わし一気に攻め押す。 「何をそんなに怒っているのかは知りませんが、やはり横暴すぎます。認めない、名を呼ぶな、西条さんにとって私達の何が不愉快なのか。理由も伝えずに拒絶する、私からしたら子供の我が儘です。」 クナイで刀を弾いて、少しの距離を置くように戦う。そんな慧に刹の瞳が今までよりも殺気を孕んだ。 「認めないのはあんた達が部外者だから、名を呼ばせないのは仲間と認めていないから。理由なんてこんなものでいいよな?」 所詮、部外者。そんなものに空ける場所と此処で築いたものを外から来た他の奴等に壊されるのも変えられるのも、すべてが嫌ですべてが憎かった。だから、許せない。許したくも認めたくも無い。否、認めるつもりも無い!! 金属が混じる音が一つ、一つ、また一つと火花を散らしていく。止まらぬ殺気と凶器のぶつけ合いに傷を増やしていく刹と慧にぞろぞろと周りに集まりだした隊士達。 途中、彼方が俺を呼ぶ声が聞こえた気がしたがこうなればもう、止められない。ただただ意地と憎しみをぶつけるだけ。 ―――キーンッ。 突然、刀が何かと共鳴したかと思えば、総司が俺の一太刀を受けていた。 「そこまでだよ。これ以上人が寄って来たらあとで大変なことになっちゃうよ?」 総司が外に眼をむけて、合図したところでやっと状況が分かった。大人しく鞘に刀をしまった。 「悪かったな、」 苦い顔をする刹に沖田は笑った。 「気にすることは無いよ。戦闘狂を止められるのは戦闘狂ってね?」 総司の気遣いにふっと笑って日向慧の方へ視線を移した。同じように彼方に止められていた姿を見て、踵を翻す。 「お待ちください。」 俺を呼び止めるその声に、またざわりと心が騒ぐ。必死に押し殺して、なんとか後ろを振り向く。 「…貴方が私にとって害のある人物なら、どうなるかわかりますよね。」 いつもよりも低い声、そんなことはどうでも良い。気になったのは、相手の言葉。部外者があの人を侮辱したような気になった。 「そうなる前に、俺があんたを殺してやるよ。」 静かな闘志を胸に俺は、傷だらけの体を引きずった。 「堪忍したってな。刹は気持ちに従順やねん。だから厳しい性格やけど、本当は優しい子やから。」 そういって、彼方は刹の後姿を追って走っていった。 「沖田さんは行かれないんですか?」 隣にいた沖田に話しかける慧。沖田はただ笑った。 「あとで行くよ?……それより、君があの子の大切な人に手を出すなら、僕も容赦はしないよ?あの子にとっても僕にとっても大切な人は一緒だからね。」 物騒なことを言って歩き出す沖田に慧はただその背中を見送った。 *** 「いってぇな!!」 刹は医療部屋で手当てを受けていた。 「じっとしてください!!手当てが出来ません!!」 ぐっと押さえつけられる腕にまた痛みが増す。じっとしろと言われても痛いものは痛いんだ。 「全く、貴方はいつもいつも。大きな怪我では痛がらないくせに、こんな傷で痛がるんですから。」 丁寧に巻かれていく包帯をまじまじと見る刹に山崎君は溜息を吐いた。 「仕方ないよ。大きな傷はあの人の為だ。そんなの痛くも痒くもない。自分勝手に作った傷の方が痛いのは当たり前だろ。」 「はぁ…。まぁ、貴方の言うこと、俺はわかりますよ。俺も貴方と同じ気持ちですから。」 そう言って、顔にも手当てを施す山崎に笑いかける。 「山崎君は本当に優しいよな。」 「そんなの一部にだけですよ…。」 同じように笑った山崎君に、俺も幾分か落ち着けた。 2010/11/12 頑張った!いつも頼りっぱなしだから、自分で頑張ってみました!! なんか、刹って結構一途だなぁって痛感しました← 自分のキャラなのに色々と難しいな。。。 繋いでくれると嬉しいです! 執筆者⇒芹 戻る |