命を灯す炎 彼方がいなくなってから、当ても無く屋敷をうろつき回る。 ふと見つけたのは、総司の部屋。特に用はないが、話し相手にでもなって貰おうと部屋の主に声を掛けた。 「…総司、今いいか」 「刹…?そんな所にいないで、入ってきたら?」 総司に許可を貰い勝手に襖を開けて入る。他人だったらいれないんだろうな、なんて考えながら本人の近くに座った 「声を掛けなくても入って良いって言ってるのに。お堅いよね。」 「仕方ないだろ。昔は幼かったから許されたんだ。年端も言ってやってるとあの人に叱られる」 「近藤さんは礼儀には厳しいからね。」 そうしてお互い笑った。俺と彼方は近藤さんに命を貰い、同時に生きることの大切さを教えてくれた。それは一生を尽くしても返せないくらいの恩だ。だが、そう言った意味では総司も同じだ。孤児だった彼方や俺はほとんど総司と育った。所詮、幼馴染という奴だろうか。それでも俺達三人は切っても切れない絆がある。以前、総司や彼方にそれを明かせば二人も笑って頷いていたのを覚えている。 「ねぇ、刹はあの子の事どう思う?」 「どう思うも何も気に喰わない。総司も一緒なんじゃないのか?」 「そうかもね。でも、」 俺達は歪な笑みを浮かべた。 「「あの人の邪魔をするならば、殺るしかないよね/よな。」」 夕暮れ時、ひぐらしが泣き始める いつしか暗くなり始めた空に俺はある一つの気配を掴んだ。 「一君、そこで何をしてるんだ?」 暗闇に紛れていた者が姿を現す。漆黒を思わせる着流しに横縛りの髪を見つけ声を掛ける。 「刹か、また気配に敏感になったな。」 寡黙な一君は仲が良い奴の一人だ。剣客としての太刀筋に惚れたと言うべきだろうか。ただただ志を強く持つ彼を俺は武士だと思った、見掛け倒しじゃない本物の……武士。 「おかげ様でな。一君は遠出の帰りと言った所かな…?」 「あぁ、……それより忍が此処に来たと言うのは本当か?」 「……本当だよ。俺は気に喰わないけどね。」 「お前は過去に囚われすぎだ。少し視野を広げてみろ。見たところ苛付いているようだからな。」 「……縄張りを侵されるのは生憎、生に合わないからな。俺はこの後彼方と裏の仕事だから、俺が居ない間に会いに行ってみれば?――またな。」 手をひらりと振って、後ろを向く。彼方がニヤリと笑っていた。 「さぁ、行こか。」 受け取った狐の面が怪しく歪む。 「そうだな。」 (すべてはあの人の為…。) 静かな夜に紛れて、誰かが見ていた。 2010/11/08 不完全燃焼!! 意味がわからねぇ、こんなの繋げてくれるのか? いや、繋げて欲しい!! 刹は元々眼と鼻は人間よりは良いからね。 まだ中身は内緒。 もう少し慧ちゃんとの絡み頑張りたいな(汗 執筆者⇒芹 戻る |