空を見上げた1 | ナノ
平和をうたった

朝から重苦しい話し合いが続いていた。目撃者はその場で斬り殺すのがよくあることなのだが今回は目撃者を連れて帰ってまったから……。私は主に命令され、独自で先に探していたのだが……。あの子の雰囲気とでも言おうか。体にぴりっとくるような……。まあ、結果始末の仕事は西条さんたちの仕事なので譲ったのだが。彼女が気絶したときには思わず気配を出してしまった。そのあとは土方さんにため息をつかれるわで最悪だった。
男装をした少女。これまた臭いが完璧な女だ。


やるなら完璧、が私のもっとーだ。女性特有の目が出ないように髪を伸ばしたり私は小さく努力をしている。まあ、この時代髪の短い女なんてそういないのでこれだけで私はきしゃな男に見える。


「さ、入って。」


先ほど結局少女がいないとどうにもならないじゃないかという結論に至り井上さんが呼びに行ったのだが、帰って来た。私は閉じていた瞼を開ける。


少女は小さく縮こまっていた。


「おはよう。昨日はよく眠れた?」


「……あ、」


そんな彼女に沖田さんが声をかけた。彼女はそれだけで少しほっとした顔をした。この中で危険なのは双狐の二人か彼だというのに…。


「……寝心地は、あんまり良くなかったです。」


彼女はぽつりと、だけど沖田さんをしっかり見ながら呟くように言った。


「ふうん……。そうなんだ?」


沖田さんはにやにや笑って彼女を見た。彼女はそれを一歩ひくように見た。


「さっき僕が声をかけたときには、君、全然起きてくれなかったけど……?」


彼女は頬を赤くそめながら複雑な顔をした。


だがこれは、完璧なる嘘だ。沖田さんはきちんと朝から出席していた。そんな二人を見た斎藤さんは呆れたような息を吐いてから言った。


「……からかわれているだけだ。総司は、おまえの部屋になんか行っちゃいない。」


「もう少し、君の反応見たかったんだけどな。……一君も酷いよね、勝手にバラすなんてさ。」


沖田さんが何がそうなのかはよくわからないが得意げに言った。


「……酷いのは斎藤さんじゃなくて沖田さんのほうだと思いますけど。」


私は彼女の言葉に盛大に頷きたくなった。


「……おい、てめえら。無駄口ばっか叩いてんじゃねぇよ。」


今まで大人しく聞いていた局長、副長に目線がいく。


「でさ、土方さん。……そいつが目撃者?」


斜め前にいた平助が唐突に口を挟んだ。その声に反応し彼女が主と永倉さん、平助を見る。主人の横にいた私も彼女の視線に入っているのだろう。彼女はこの三人の幹部を見て意外という顔をした。私も入っているのかもしれないが。


「ちっちゃいし細っこいなあ……。まだガキじゃん、こいつ。」


平助が彼女を上から下まで眺め言った。


「おまえがガキとか言うなよ、平助。」


主が小さくと笑いながら言った。それに永倉さんも神妙な顔で同意する。


「だな。世間様から見りゃ、おまえもこいつも似たようなもんだろうよ。」


すると永倉さんと主を見た彼女と流れてきに目線が合ったので小さく微笑むと何処か安心した様子になった。


「うるさいなあ、おじさん二人は黙ってなよ。」


「ふざけんなよ、このお坊ちゃまが!俺らにそんな口きいて良いと思ってんのか?」


「平助におじさん呼ばわりされるほど年食ってねえよ。……新八はともかく、俺はな。」


「てめえ……。裏切るのか、左之。」
口には出さないが、はっきり言おう。どこの不良だ。これだから三馬鹿と誰かに言われるんだ。


「へへーん。新八っつぁん、図星されて怒るって大人げねえよなあ。な、慧!」


「そうですね。それより永倉さん、きちんと座ってください。先程から気になって仕方ありません。貴方も、座ってください。」


「お、おう……」


「あ、はい。」


筋肉質な腕を叩きながら言うと痛かったのが摩りながら胡座をかいた。冗談のような会話が続いたが彼女への好奇と、また、敵意の視線が外れることはなかった。

彼女は私に従い床に腰を下ろすとうつむいてしまった。



***



それから結局、局長である近藤さんが話を切り出した。そんな中、何も見ていないと言う彼女は永倉さんと平助の小さな誘導尋問にひっかかってしまう。それからは殺すだ殺さないだ物騒な会話が続いた。

結果、平助が小さく遠回しに秘密を漏らしてしまい、彼女は斎藤さんに連れられ部屋を出た。つまりは、保留。だがそれは彼女を守るため。そして、それと同時におとなしくしていた双狐の二人も出ていってしまった。多分、彼女の監視だろう。
土方さんも彼ら二人を許したわけだし。


「……はあ…。」


平助が重苦しくため息を吐いた。


「言っちまったもんは仕方ねえだろ。」


永倉さんが慰め、はたまた追い撃ちをかけるように言った。


「でも、まあ、うん。悪いことしたよな……。」


二人がそんな会話をしているなか小さく主に耳打ちする。


「気付きました?」


「ん?まあな。」


おそらく気付いている者は多いだろう。彼が彼女であることを。ただ、目の前の二人は絶対と断言できるくらい気付いていない。


周りが喋るなか耳を澄ますと少女の独り言が聞こえた。狐の聴覚を舐めてもらっては困る。


「主、彼女の部屋へ。」


「は!?おいっ!」


主が声を荒げたが私は彼女の部屋へと忍術を使い、移動する。


「んんっ!!」


部屋につくと彼女がちょうど襖を開けようとしていたところ。そんな彼女の口を後ろから塞ぎ座らせる。彼女がちらりと私を見るとまた目を見開いた。


「っ!」


勢いなんなのか、思いっきり指を噛まれた。

「離してくださいっ!私、ここで死ぬわけにはいかないんです!」


彼女は私の手の中でもがく。


喋らなければいいものを…!


ばん!と、襖が開き、西条さんと瑠璃崎さんが入って来る。彼女はそれにまた怯えたようだった。


「慧!」


続いて部屋に入って来たのは主人を先頭に幹部。彼女は絶望を含んだ顔になる。


「わ、私……ここで死ぬには……。」


逃げようとしたのだ。ここで、首が飛ぶかもしれない。彼女の思いが流れてくるようだった。


「落ち着いて。」


彼女の拘束をとき、体を支える。


「大丈夫、誰も貴方を本気で殺したいなんて人間はいません。」


気休めだが、これでいい。気休めだなんて彼女はわかるはずだから。


「さあ、貴方の話を聞かせて?」


この言い方、まるで今はいない故郷の子供たちに言っているようだった。





20101208



な、長い!初っ端から失礼しました。そして主人公たち影が薄い!原作は難しいです……。
皆様に愛される企画連載になるよう頑張っていきます。
……私、個人的な感想ですが。我が家の主人公の慧がなんだかこちらのほうが性格緩い気がします。

………あばばばば。やるときやる子なんですよ…!この子、強いんだから!!(殴)夢主、つか我が子溺愛っす。まあ、武士の皆さんとは分野が違うんでね、はい。

さあ、ふうちゃんの続きが楽しみだな。

一つ謝罪すると、千鶴ちゃんのキャラ崩壊さーせんしたっ!(土下座)


雪子


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