震えが止まらなかった ズキンッ、ズキンッと心臓が脈を打つ。今、目の前のこの男は何をした? 「気持ちが悪いか?」 「何、をした。」 ニヤリと口角を上げる男が憎い。頭を鈍器で殴られたような感覚に視界が霞む。 「少し血を分けてやっただけだ。」 「血…?」 自分の腕を見れば傷が出来ている部分に確かに自分の物では無い血がべったりとついている。 「お前は貴重だ。それとともに俺が宿願を果たす為の鍵になるかもしれん。」 「どういう意味だ。」 膝をつくほどに力の入らない体に鞭打って、俺は刀を構えた。 「止めておけ、今のお前ではまだ未熟だ。早くその力に慣れていくことだな。…それに、」 貴様の元には敵とも言える者がいるみたいだしな、とそう男は言った。それをいみすることは分からないが、だが確実に何かしらのことが起こるということだろうと言うことは推測できた。 「…!?」 外が見える場所から逃げようとする男に悪あがきも承知で身に付けていた面を投げつける。…がそれは簡単に避けられカランっと下に落ちた。 「……女か。」 「ッ!」 視界から消えた男に舌打ちを漏らして、途切れそうな意識を必死に繋いだ。 「!…総司ッ」 振り返って総司の隣へと膝をついて、肩を貸してやった。 「僕は、僕はまだ戦えるっ!」 悲鳴をあげる体を無視して、総司を立たせて下へと足を動かした。 *** 「刹!総司!?」 負傷している総司を先に彼方に預けて、俺は土方さんの元へと走った。そして、土方さんがいた場所のとなりには雪村。 「西条さん!!すぐに手当てを!!」 「いい、それより少し外してくれ。」 断りを入れて雪村には外してもらった。そして土方さんに向き直り、気になったことをたずねてみた。 「土方さん、俺に何か隠していませんか?」 土方さんは始め、少し驚いたような表情を作ったがすぐに消えて何事も無いように違う方向に視線を向けた。 「何も、隠してねぇよ。何故、そんなことを聞く?」 「少し気になった。ただそれだけです。…あと、日向は何処にいますか?」 「…。あいつならおそらく平助のところだ。額を割られたみたいだからな。」 「額を?」 「あぁ、針鉢も見事に粉砕されてやがった。」 滅多に人の心配などしないが、死ぬのだろうかとふと感じた。土方さんに背を向けて藤堂がいるのであろう場所へと向かった。 しばらく歩いて、横たわる藤堂を見つけた。 「死んだ?」 ぴくりと瞼が動いて、薄く開いた。 「…死んで、ねぇ、よ。」 「残念。」 皮肉気に笑って、手を貸して立たせてやった。 「へぇ、刹から手を貸すなんて珍しいね。」 藤堂の隣で横たわっている総司が笑う。 「ただの気まぐれだ。それより、体の方は大丈夫なのか?」 沖田の隣に腰掛けて頬についている血を指で拭ってから、刹は沖田を見た。 「大丈夫だよ。それより刹は?あの男に何かされたんじゃないの?」 「……。」 脳裏を過ぎる光景を思い出し、何かを疑うような気分になった。 「何かされたの?」 「…さぁ、」 俺にもわからねぇよ。苦笑いを溢すと、そっかと総司が笑った。そして、この事件で新選組は一目おかれる存在となった。それは俺達、双狐も例外では無い。そして、俺はこの事件を切欠にこれから起こるであろう大きな事件に何か自分の身の危険を感じ始めていた。 20110107 どうしよう。アニメを頼りに書いたら酷いことになりました。雪子さんに申し訳ないです。 変な場所で切っちゃいましたが、よろしくお願いします>< 本当にごめんなさい!! 芹 - 17 -
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