空を見上げた1 | ナノ
特別なんて思わない方がいい


風呂から出て、広間へ向かう廊下を歩いていたときのことだ。突然目の前に日向が現れた。そして、静かな殺気と共にこちらを睨んでいる。


「なんのつもりだ?」


「な、にが、双狐ですか!!」


大人しい日向が小さくでも、声を荒げたのははじめてのことだ。催促、さきほどの任務のことでいらだっているのだろうか?


「それはあんなことをしたことについてか?」


「そう、ですよ。」


呆れた。この人殺しの集団に置いてまだ情を持っていたのかと。試衛館の時代から何かとこういうことには敏感だと言う事は知っていたが…。


「今更、なにを言ってやがる?お前は何しに此処に来た?あの時、試衛館の時からこうなっていくことを知っててあの男に付いてきたんじゃねぇのか?」


ギリっと音がするくらい手を握り締める日向を見て笑った。


「生半端な覚悟で此処にいるなら出て行け。何を間違えているのかはしらねぇけど。此処じゃ自分は特別だなんて思わない方が良い。例えお前が"何"であろうと、な。」


日向の隣を擦り抜けて、俺は一つ舌打ちをした。そして広間への道を辿って歩いた。




***





「俺が四国屋で彼方が池田屋ですか?」


近藤さんからの提案に俺は言葉が詰まった。出来れば俺は近藤さんが行く池田屋の方へ行きたかったからだ。どうせ、原田がいると言う事は日向もいるということだからだ。


「なんとか頼まれてくれないか?」


生憎、俺はそんな近藤さんの頼みを断るほどの意思は持ち合わせていないらしい。


「近藤さんが、そこまで言うなら…。」


「あぁ!ありがとうな!!」


がしがしと頭を撫でられて久しぶりに穏やかな笑みが零れた。それに土方さんや総司も笑っている。だが、これから行うことは討ち入りだ。気を緩めるわけには行かない。


「彼方、」


「なんやの、そないな顔して。」


「絶対に守れ。そうじゃなきゃ、俺はお前の首をはねるからな。」


「怖い怖い。」


分かってると言いたげに苦笑をする彼方に自然と口角が上がった。






20110106



新選組に対しては厳しいのが刹です!!討ち入りはどうなるんでしょうかね。(わくわく)次、よろしくお願いします。






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