通りゃんせ | ナノ



あの日から一週間。狭くはあるが私は一室を与えられ、女中として働いている。と言ったって私なんて近藤さんがよくしてくれたからここに居られるわけで。未だ警戒は晴れない。が、皆さんそれなりに接してくれる。藤堂平助さんは、歳が近いしよくお話する。皆さんの名前を聞くと何処かで聞いたことのあるような名前で ほほう となった。とりあえず名乗る前に名前を言うへまはなかった。


そんな私は始めは平隊士の方から奇異やそれ意外の眼差しでも見られたりはしたが仲良くなった人もいる。そしてこの生活の大変さを思い知る。


洗濯はその日に着たものを毎日するわけではないが大変である。量も半端ないし。平隊士さんと仲良くやっております。食事も朝食はこちらの時代では朝餉、夕飯は夕飯だったり夕餉だったり。昼食は食べるけど間食に近いみたい。ご飯はうちの親が二人して働いていたから作るのは得意である。ただ、冷蔵庫とかがないから夏場は腐ったり虫とか大変だろうな、と思った。火もおこすのが大変。まあ、平隊士さんや幹部の方と仲良くやっております。
裁縫とかは昔から靴下を縫ったりしてたから普通だ。こないだ沢山回ってきてビックリした。やはり男と女の違いである。



昔の人の食卓は教育テレビとか学校のビデオで見たことがあったはず。めざし三匹に沢庵。それから米。




そして今日も今日でちくちくと縫い合わせていく。この一週間で大変だったのはやはり着物。珍しいし、着方も大変。八木さんにいただいた着物でいつも現代で夏祭りに着ていた浴衣を記憶の中で照らし合わせながら着ている。今日は初めてすんなり着れた。人間慣れだと感じるね。



「でー、きた。」


ぽん、と膝におき針を直す。縫ったそれをぱたぱたとはたき外に出る。外は快晴。雨は降らないだろう。私は外に縫ったそれを日干しにする。日光消毒だ。


ただこの生活で驚かされたことはやはり沢山あるが、一番は現代人の正確な知識の多さである。怪我のことなら保体とかで習うし…勉強も授業で。あまり役に立たないけど。だが私はこの時代の文字が書けないのだ。もともとお習字は得意じゃなかったし。



ため息を吐いて私は未だ痛む腰を押さえる。多分打ったのかな。いや、でもあれ初体験…だったし。よくわかんない。もっと友達の話聞いとけばよかったな。惚気は嫌ー、とか言うんじゃなかった。てかさ、思うんだ。思うのよ。この時代に避妊って字はあるのか?そして避妊の何かがあったとしてもあの浪士たちがそれを使ったか?答えは絶対に否だ。



「つわりって四ヶ月くらいだっけ…。あれ、どうだっけ。」


……。


「とりあえず、生理がきたらいいんだけど。」


そんなことを言いながら快晴を見た。心は不安だらけだ。


「……少し、寝ようかな。」


部屋に戻るとごろんと横になる。少し開いた押し入れには制服やその他がつまった鞄がある。この時代に現代のようにまともな下着はない。私はとりあえず現代のものは使いたくはない。だが下着だけは譲れない。




「…帰り、たい。」


小さく呟く言葉は私の弱みだ。



とりあえず、神様は何処。





0211


現実主義で生々しくいこうじゃないか。というより前話にいなきゃいけなかったはずの山南さんがいなかったカオス。

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