通りゃんせ | ナノ




「………なに。」


目が点とはこのことだと思う。いつの間にか寝ていたのか自分は明るい日差しに目を覚ました。そしたら目に映るのは木目の板。つまり天井。またしても理解不能。警戒しながら辺りを見るとそこは和室のとある一室。お世辞にも綺麗というわけではないがまあ、普通。もそもそと薄い布団を畳みはじめる。やっぱりマナーとしては必要だ。

どうすればいいんだろう。

またしても呑気な考えである。

キョロキョロと周りを見るが、別段変わったことなんて何もない。ピョンピョンとあっちこっちで遊んでいる髪の毛を手で撫で付けて恐る恐る襖を開ける。

かちゃかちゃと音が鳴る辺り人はいるらしい。

「あのー…」

少し襖から顔を出して声を出すとぱたぱたと駆けてくる音がした。

「目が覚めたのね。」

女性は笑った。話を聞けばここは八木さんという方のお宅で新選組の藤堂さんという人が私を拾って連れて来たらしい。

「…新選組、ですか。」

「ええ。」

江戸末期…幕末というやつですか。八木さん宅の奥さんは私のこの江戸末期にはありえない服装に疑問を抱き警戒していたらしいが私と話して安心したようだ。ま、普通だし多分。とりあえず軽い自己紹介をした。

どうやら新選組は女人禁制らしく拾ったはいいが私を屯所に置くわけにはいかなかったとか。ただ、異国の服装の私。不法入国だなんだと色々問題があるかもしれないし、なんか無駄にボロボロだったから拾ったとかなんとか。いや、藤堂さんは無駄にとは言ってないらしいけど。そうか…制服もズボンも異国のものか。…そういえば新選組についてはあまり習わなかったけど幕末って結構勉強したし新選組の知識は雑学とかで結構あるよね。沖田総司はひらめ顔だがすんげー美形で三段突きだとか。副長の土方歳三は鬼副長で俳句がどーたらこーたら。局長は名前だけでよくしらない。でも新選組っていったら局中法度てきなのがさ…。これを犯したもの切腹!みたいな。あーやだやだ。

「新選組の方が貴方の話を聞きたいんですって。嫌なら私から言うわよ?まだ体調がよくないって。」

嫌ならで理由が体調。この人…やるな。

「…とりあえず、行きます。」


体、つか腰が怠いけど。あの男共め…見つけたらぶった切る。多分。…へたれでチキンな私にはひっぱたけたらいいぐらいか。生意気言ってごめんなさい。


「じゃあもうお昼だからご飯だけでも食べて行きなさい。それに服装も可笑しいし…私のお下がりでよければ着せてあげるから着て行きなさい。」


八木さん宅の奥さんは素敵だ。

よっ、江戸の女…!
いや、新選組屯所って言ったら京都か。この時代では京…?


とりあえず家に帰りたい。てか神様は八木さん宅の奥さんだろ。




0206

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