「沖田さん…、」 「ああ、君か。」 沖田さんはにっこり笑った。 「朝早いですね。」 「僕がいつも遅い、みたいなのはやめてくれる?寝ぼすけは平助だけでいいよ。」 ふふ、と思わず笑いをもらしてしまった。 「けほ、」 「…大丈夫ですか?」 「大丈夫なはずなんだけど…近藤さんが心配するから診察受けてくるよ。」 「それがいいですよ。」 沖田さんが苦笑した。 「子供じゃないんです。大人しく受けてくださいね。」 「ん〜…じゃあご褒美は何貰おうかな。」 「まったく、ほら…。お待たせしてるんですから!」 私は彼の背中を押した。彼は苦笑しながら手をひらひらと振った。 私はそっ、と手を下ろす。 終わる。 世界は、変わる。 彼の世界も、変わる。 労咳…、か。 人知れずため息を吐いた。 * * * 少し後、新選組に制札を警護せよと命令が届いたらしく通常巡察以外の組が、交代で見張りにあたるらしい。 「ったく、誰だよ制礼ひっこぬいたのは…。」 軽く徹夜な尾崎くんは欠伸をした。一日目は何も起こらなかったらしい。 「…そりゃあ、まあ。そんなの恨みがある奴らでしょ。」 「いや、わかるけどな…。」 わかるけどー、と呻く彼に思わず苦笑してしまう。 「しゃきっとしなさいな。」 「はーい。」 「今日は休憩時間与えられたんでしょ?私なんかと喋ってないで休みなさい。」 「そうさせてもらう。じゃ、またな。」 彼は欠伸をしながら歩いて行った。呑気だなあ。 でも、っとに制礼ひっこ抜いたりばきばきに折られたり…そりゃあ幕府からしたら気持ちいいことなんてないだろうな。 一波乱な予感。 梓はため息を吐いた。 0723 尾崎くんは永倉さんの隊ってこと。 戻る |