犬猫の如く、だと金髪の人は彼らに言った。きつい言葉なのにそれすら様になっていた。私は一歩下げた足をどうにもすることができずその場でじっとしていた。 「それから……、これは忠告だ。ただの人間を鬼に作り変えるのはやめておけ。」 ………鬼に、作り変える? なんて不思議な言葉だろう。 「おまえには関係ねえ。」 「おう。白昼堂々と女を襲うような、下衆の言い訳なんざ聞く耳持たねえな。」 言った土方さんと原田さんを彼は嘲笑うように言った。 「愚かな…俺はお前らに情けをかけ、わざわざ忠告してやってるんだぞ?」 ……待って。彼らの言い分ではここで鬼を作っているとでもいうの? 「ここはオレらの領分だ!ご託を並べてないで、とっとと帰れっての!」 「くくっ、弱い犬ほどよく吠えるな。」 その後彼は千鶴ちゃんを見た。彼女は少しうろたえ、周りは構える。 「千鶴、綱道はこちら側にいる。意味はわかるな?お前の父は幕府を見限ったと言うことだ。」 「え……?」 彼はうっすら笑って言った。 「お前がここにいる意味はなんだ?よくよく考えることだ。」 意味、か。 ゆらり、彼は影のような緩やかな動きでその場を去って行った。 「おに、」 口だけ形を作り、私は違う道で勝手場まで戻った。 わかってしまった。 ここは、私の知る彼らとは違う。そして、私はとんでもない場所に身を置いているのだと。 0628 戻る |