ぱたん、と厠の扉を閉める。よかった。生理きた。とりあえず八木さんに嘘をつらつら並べて対処法を教えて貰った。 「…よかった、」 18で彼氏でもない相手と妊娠とか笑えない。あ、でも昔は婚期ははやかったんだよね。だから子沢山か…。 「……、」 いつもなら嫌なこの生理痛も腰の重みも嬉しかった。が、そんなのも今のうちだけだった。私はもともと生理痛が酷いほうですぐに貧血になる。お腹の下がずきずきしてお腹がむかむかして気分が悪い。酷いときには頭も痛くなる。腰を屈めると戻すのも億劫。体育は出てはいたけどとりあえず明らかに顔色が悪いから、と先生にとめられることもしばしば。酷いときには病院で薬を貰うくらい。 「………。」 今日はひたすら布団で過ごすことにした。昼餉は作った。朝に洗濯物はした。掃除はとりあえず今日はいい。夕方まで寝る。布団に頭まで埋めるように潜ると私はすぐに眠気に襲われた。もしかしたら実はこの環境に疲れていたのかもしれない。慣れたつもりだったんだけど……たまにはゆっくりしろってことかな。ああ、帰りたいな。 *** 遠くで声がした。体が揺れる。ああ、私揺れてる。 「…なに、」 寝起きのがっさがさな声を出し、揺らされている手をひっぱたく。 その手の持ち主を見る。 「さ、斎藤さん…。」 ぽろりと漏れた名前。彼は白い手を驚いたように見つめながら私を見た。 「ご、ごめんなさい!」 腰の不快感も気にせずに起き上がる。 「って、嘘!夜!?」 ぼっさぼさの髪を撫でながら一人ぎゃーぎゃー騒ぐ。 「…すみません。ご飯もう食べてますよね。ほんと、すみません。」 「いや、構わない。体調が悪いなら何故言わない。」 斎藤さんは真面目な人だという印象が強い。私が厨房にたたないくらいでご飯がつくれないわけがない。それに今までは私なしでやってきたわけだし。 「すみません。ただの貧血なんで。」 「よくあるのか?」 こてん、と首を傾げる彼はそこらの女の子よりなんかきゅんとくる。 「まあ、」 生理、というか月経ですとは言えない! 「そうか。とにかく今日と明日はゆっくりしていろ。」 「え、でも…。」 「副長がそうおっしゃっていた。」 「あ、土方さんが…。」 命令だ、とか言われたらどうしようと思った。 「あんたの夕食は一応とってあるが…どうする?」 「じゃあいただきます。」 彼は すぐに持って来る と言い静かに部屋を出た。 「…夕方までに起きるつもりだったのに。」 どうやら私の体は正直者らしい。 その後斎藤さんが持って来た料理は美味しくぺろりといただきました。 0217 戻る |