泊まって行くのはよくあることだ。私が暇だからとか臨也が暇だからとか…とにかくよくわからない理由。下着は一組だけ臨也の家に置いてある。ただ、服はないから寝巻きは彼のを適当に借りたり…。 「乾燥、スイッチオン。」 夜に自分の着ていたワンピースを洗濯にかけ乾燥にかける。二日連続同じ服なのも慣れた。まあ、臨也に言えば買ってくれるんだろうけど。私は別に彼女じゃないし。だから泊まるけどいかがわしい行為はしない。もうそんなやんちゃした時期は終わりました。多分、お互いに。もう高校時代みたいに華の〜、とか言ってらんないし。気付けばもう23歳。あーやだやだ。このとしになると色々気をつかう。肌とか肌とか。バストアップのマッサージはなんかもう一回臨也にばれて恥ずかしくてやめた。肌…と言っても貯金してたまにエステ行ったり。あとは自宅。私、意外と露出の高い服多いし。今日の服だって、ワンピース意外なんにも着てないし…(カーディガンを除いて)。いや、下着は着用していますが。 キッチンに戻ると臨也がテレビを見ていた。 「お風呂入って来たら?」 「俺は後でいいよ。」 じゃあ、借りるねと一つ言葉をかけお風呂に向かった。 ♀♂ 朝、目が覚めると見慣れた景色じゃなかった。臨也の家だ。私の家はもっと可愛い。むくりと体を起こすと隣に家主はいなかった。 「……。」 ふう、と欠伸に近い息を吐くといそいそと置かれていた昨日のワンピースを着る。 「…おはよ。」 「おはよう。よく寝てたから起こさなかったけど、」 時間を見るとすでにお昼だった。うわー、と少し自分に失望しながら頭をかいていると背中を押された。 「ご飯できてるよ。」 臨也は昔から賢い。の、割に勉強をする姿を見ない。因みに私はしてもできない人間だった。夏休みが補習で潰れたあの日を私は忘れない。 「うまい、」 だから、というべきなのか。料理はうまい。私、必要ですか?とたまに聞きたくなる。 「はい、」 「あぁ、ありがと。」 ご飯中であるにもかかさず渡された封筒。私は中にあるものが何か知っている。 早速取り出すと諭吉さん数人とご対面。それはそそくさと鞄にしまった。 「ごめんね、毎月毎月…。」 「君の働きに見合った額を出してるだけだよ。」 金持ちめ。 「今日は池袋に行く。足、よろしくね。」 成る程、それで泊まって行けってね。そんなことだろうとは思っていたさ。 「了解。どこまで行けばいいの?」 「とりあえず藤緒の家。ぶらぶらすることになるけど藤緒も一緒においで。楽しいよ。」 臨也の楽しいにはあまり信用性がない。まあ、こんな奴だからな。 「んー…夜には由美子ちゃんと飲みに行く約束してるから自分で帰ってね。」 「わかってるよ。」 ごちそうさまと言うと臨也はカチャリと音をたてながら食器を洗い場まで運んで行った。私も急いでご飯を口につめた。 0822 戻る *前 | 次# |