釣り合いなんて



「ねぇ、どう思う神童君…」

「どうと言われてもなぁ…」


私と机を合わせて座る神童君は眉尻を下げて苦笑する。


「私だって…できるだけ可愛くなろうとはしてるんだよ?」

「ああ、知ってるよ」

「だけど…だけど、彼が綺麗すぎて」

「はは…」


笑い事じゃないのだ、私にとっては深刻な問題。

私の彼氏…
霧野蘭丸は美しすぎる。

キラキラとした桃色の髪、キリッとした目に長い睫…
初めて見たときは女の子かと思ったくらいに綺麗。
しかし、その見た目と裏腹に男気に溢れる彼。

私はそんな彼が大好きなのだ…


「なんでそんなに気にしてるの、有間は霧野の事好きなんだろ?」

「あっ、当たり前だよ!」

「じゃあそんなに気にする事ないんじゃないか?」


神童君は優しく笑ってそう言ってくれたけど…


「あの、何ていうか…私なんかでいいのかなって…思って」

「……有間」

「霧野君の事を好きな子はたくさんいると思うし!私なんかより可愛くって霧野君と釣り合う子が…」


私がそこまで言うとガラッと開く教室のドア…

そして、そこに立つのは霧野君…


「美緒っ…ごめんな」

「霧野君!?」


私は霧野君にぎゅっと抱きしめられてしまった。
霧野君の肩越しに見える神童君が困った様に笑っている…


「霧野…お前出て来ちゃ駄目だろ?」

「だって…」


まったく今の状況が飲み込めない…
私が混乱していると神童君が説明してくれた。


どうやら霧野君は自分でなく神童君に相談を持ち掛けた私が気になり、廊下で私達の会話を聞いていたらしい…


「俺は止めたんだけど…霧野は変なところで頑固だからなぁ」

「頑固で悪かったな」


神童君は笑っているけど、私は恥ずかしくてたまらない…

すると、霧野君はそんな私に気が付いたのか


「ごめん…悪いとは思ったんだけど…す、好きな奴が違う男と教室で二人きりとか…いくら神童でも堪えられなかった」


そんな事を心配してくれてたんだ…


「私の方こそ…ごめんね」

「美緒…」


「あっ…じゃあ俺、先に部活行ってるな、霧野遅れるなよ」

「ああ、わかってる…悪かった」


神童君は手を振ると行ってしまった。


「美緒…俺、お前があんなこと思ってるなんて知らなかった…」

「ごめん…」

「いや、俺の方こそ…不安にさせて悪かった」

「そんなこと…」

「だけどっ!俺は自分に釣り合う子とか…美緒以外にいないと思ってるから!」

「えっ…?」

「俺は…美緒が好き、だから…釣り合わないとか言わないで」

「霧野君…ありがとう」


私がそう言うと霧野君は優しい笑顔を返してくれた。
そして指で頬をかきながら


「本当は俺だって心配なんだ…こんな見た目だから、美緒にはかっこよく見られたいし」


と、言って照れた様に笑う。


「霧野君は十分かっこいいよ」

「美緒も心配しなくても可愛い」


そう言い合うとなんだか可笑しくて二人で笑いあった。



釣り合う、釣り合わないじゃないんだ…

こんなに好きなんだから、こんなに幸せなんだから…

最初から心配なんていらなかったんだ。



ごめんね、ありがとう






大好き。





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