最大の恋敵



ねぇ、サッカーって貴方にとっての何かしら?

なぜ…貴方は、サッカーなんかに夢中なの?

貴方からサッカーを取り上げるために私は来たのよ?

時を越えてね…



「サッカーを取り戻してみせるんだ!!」


「大切なモノを取り戻す!!」



御託はやめて下さる?

大切なモノ?

反吐が出る。










モニターに映る人物を見て少女は顔をしかめる。

モニターには特徴的な髪型の少年が映っていた。


「松風天馬…」


少女が呟く。

モニター越しに聞こえる声は明るく、楽しそうなものだった。

しかし、その映像が終わると…

少女のチームにボロボロに負けた少年、松風天馬とそのチームメイト。



『サッカーを…守るんだっ…!!!』



ボロボロなのに、負けたのに、それなのに…

諦めなど微塵もないという様な松風天馬の瞳。


それが少女には気にくわなかった…

少女の眉間のシワが深くなる。


「なぜ?」


少女はモニターに問う、答えが返ってくることは無いと知っていながら…。

そんなにサッカーが大切か?
どうしてそんなにも、それの為に必死になれるのか…

日々、疑問は膨張していくばかりで解決の糸口を見せることはなかった。


その疑問に答えることができるのは、モニター越しでない、正真正銘の松風天馬だけだ…



「松風天馬…早く貴方に会いたいわ」



少女は松風天馬を求める。

理由は2つ

1つは、それが疑問の解決に繋がる、そしたらこの悶々とした日々から抜け出せる…そう信じて。



もう1つは…
少女自身、気が付いてはいないが…淡く芽吹き始めた恋心だろう。





少女は知らぬうちに惹かれていたのだ…松風天馬の真っ直ぐ過ぎる瞳に。

だからこそ
サッカーに情熱を注ぐ姿が憎くてしょうがない…

そう、それは一種の嫉妬。





「うふふっ…次に天馬に会った時はサッカーにサヨナラしちゃうんだから」


恍惚とした笑みを浮かべモニターの電源を落とす…

真っ暗になった部屋から出て、
少女は特訓に戻った…



彼女にとって最大の恋敵、サッカーを抹消するために……。




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