手紙でね
恐縮した様に手を挙げる圭助が口にしたのは意外な場所だった。
「失礼しまーす」
「はいは〜い」
声をかけると中からなんとも間の抜けた声が帰ってくる
小松田さんだ。
「ねぇ、本当にここでよかったの?」
小松田さんに聞こえないよう、そっと圭助に耳打ちする、と、圭助はきょとんとして
「なんで?」
と、質問を質問で返してきた。
「なんでって…だってここ、ただの事務室だよ」
「だって…」
「圭助にはよく小松田さんの事を手紙で話してたんだもんねー!」
圭助の言葉を遮る様にして喜三太が答えた、
「ねー!小松田さんってとってもいい人で面白いって喜三太がよく手紙で…」
「なるほど…」
そういうことか…と、一人納得する。
たしかに、小松田さんは面白いし、いい人だ…というか、喜三太と圭助の手紙のやり取りがどんな内容かちょっとだけ気になる…。
すると、圭助は少し話しがあるから、と言って一人中へ入っていった。
少し経つと圭助は小松田さんだけでなく吉野先生達にも挨拶を済ませたようで中から出てきた。
「ゴメン、待たせちゃって」
「いいのいいの〜…次は……」
「圭助、どっか行きたい所ある?」
「いや、わかんないや」
頬を掻きながら言う圭助を見て、喜三太が思い付いた様に言う。
「あっ!金吾金吾っ食堂にしようよ〜!」
「あー、なるほど…いいかも」
食堂なら、忍術学園の自慢だ、圭助も明日から使うことになるし、たしかに説明しておいた方がいい。
「じゃあ行こっか」
「うん、よろしく!」
僕らは、食堂向かう事にして歩きだした。
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