ひっかかった


「えぇ…でも」

「大丈夫だって!兵太夫、撫子には甘いから!」

「そんなこと…」


後ろから聞こえてくるコソコソした団蔵と撫子の話し声…
とりあえず、聞こえないふりをして様子見。
にしても、おもいっきり聞こえてるし、聞こえないふりだって気が付かないのか……。


「ほらっ!やっちゃえ!」

「でもっ…兵ちゃん怒るよ」

「撫子なら怒らない!俺なら殺られる!!」

「………頑張る」

「あっ…今ので決心付いちゃった…?」

「行ってきます…!」


どうやら撫子が何かをしてくるらしい…
まぁ、たしかに団蔵なら遠慮無く殺るけど
撫子なら…まぁ、ある程度までは許す。


「ねっ、ねぇ兵ちゃん?」


棒読みで肩を叩かれる…

肩を叩くという事はどうせ"あれ"だろう。
あえて手を置かれていない肩越しに振り返る。


「なに?」

「あっ…」

「どうしたのさ?」


失敗したことで撫子の目が泳ぐ。
必死に次の言葉を探しているのだろう…

可愛いな。


「あっ…えっと」

「ほっぺ」

「え!?」

「突こうとしたんでしょ?」


まだ肩にのったままの撫子の手を指差して言うとさっと手を引っ込めて


「わかってたの!?」


と、驚いているような顔…思わず笑ってしまった。


「わっ笑わないでよ〜!!」

「だって気付くもなにも…お前等の声、丸聞こえだったし」

「嘘…」

「ほんとほんと」

「うわぁ…恥ずかしい…」

「はははっ」

「笑わないでってば!!…しょうがないじゃない」


撫子が少し俯き、呟いた。


「なにが?」

「兵ちゃんのほっぺ触りたくて…これしか方法がなかったの…」

「なんだそれ」

「だっだって…」


あまりに変な理由にまた、笑ってしまった…。

少し考えた後、あるいたずらが頭に浮かんだ。


「撫子、僕のほっぺ触る?」

「え…?」

「触るの?触らないの?」

「さっ触る!!いいの!?」

「うん、はい」


そういって頬を差し出すと撫子の手が近づく…

その手を掴み、撫子の体をぐいと引き寄せ、口吸いをする。

すると撫子は、始めは呆けていたが、はっと気が付くと真っ赤になり口をぱくぱくとさせる。


その姿がとても可愛らしい。



「ひっかかった」

「へっ兵ちゃんのばかぁ!!!」




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