1年1組
待ちに待った入学式!
今日から私は烏野高校に通うんだ…
そう思うと少し緊張してしまうけれど、それと同じくらい楽しみで…
それに、同じ中学からの生徒も少なくはない、仲の良い子も数人は一緒だ。
やはり組割りは気になるのだか…
玄関前に張り出された組割りの表には既に人だかりが出来ていて見ることが出来そうにない。
しかし、あれを見なければクラスに移動出来ない!!
と、いうことで…私が意を決して人だかりに割り込もうとすると
「うぇ…もういっぱいいる…見れないじゃん!」
という声、振り向くとそこにいたのは私と同じく新入生であろう男の子だった。
オレンジに近い茶色の無造作な髪とくりっとした大きい目が印象的な子だ。
すると、その子も気が付いたようで私に
「あ、あの…新入生…ですよね…?」
と、聞いてきた。
「うっ、うん!そうだよ」
と、私がそう答えると彼はほっとしたのか「よかった…」なんて呟いた。
「組割りの表…まだ見れてないよね?」
「あぁ、うん…まだ」
「やっぱり?」
そこで途切れる会話…
少し気まずい…
「あのさ…あれ、見てこようか?突っ立ってても教室行けないし…」
「え…?」
「あの…だから、君の分も」
「えっ、えぇ!?悪いよ、そんな!自分で見に行けるよ!」
「だって…俺が来るまで見れてなかったのって、自分で行けなかったからじゃないの?君、ああゆうの苦手そうじゃん」
「えぇ…うぅ」
図星だ。
その通り、私はああいう人だかりというか…人の多い所が苦手なのだ、あまりに的確だったので、つい言葉がつまってしまった…。
「でしょ?見てきてあげるからさ」
「で…でも」
それでも、初対面の人にお願いするのは気が引ける…
「いいって!このまんま見に行けなくて2人共遅刻…って方が困るじゃん!!」
「……う…うん」
「よし!名前は?」
「えと…滝沢琴紀です…ありがとう」
「滝沢…か、じゃあ見てくるから!」
そう言って、さほど大きくもない身体で人だかりに入ってしまった…
そういえば彼の名前は聞いてない…帰ってきたらお礼して聞こう。
5分くらい過ぎて、彼はやっと帰ってきた。
「俺も滝沢さんも1組!一緒だ!」
「ほんとに!…あっ、ありがとう!なんかごめんね」
「なんで謝るんだよ、俺が見てくるって言ったんだからさ」
「う、うん…あっ!そうだ名前!!」
「…?あぁ、俺の?」
「うん、さっき聞く前に行っちゃったから…」
「あっそっか!俺は日向翔陽」
「日向君…か…よろしくね」
「こちらこそ!これからクラスメイトだもんな…よろしく」
「さてと…教室行こうかっ」
「そうだなっ!」
そうして私達は教室に向かった。
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