先輩



部活を見る…と言っても
特に部活の決まっていない私は、とりあえず校内をまわる事にした。


それにしても…どの部も新入部員を求めているようで、数歩進むと部活勧誘、また数歩進むと部活勧誘…といった具合で、なかなか先に進めない。

こうも色々と部活があると見てまわるのも大変そうだ…なんて思いながらじわじわと進んでいく…

と、一人の女子生徒が目に入った。


この部活勧誘の波を、いとも簡単にすり抜ける彼女は先輩だろうと思われる。
凛とした美しさのある人で、思わず見蕩れてしまった。

彼女は特に部活勧誘をするわけでもなく、すたすたと歩いて行ってしまう…。


「(あの人と同じ部活に入りたい)」


自然にそう思った。


そして、私の足は無意識に彼女の向かった方へと進んでいた。

必死に人の間をくぐり抜け、見失わないように追いかける。


やっと追い付き、目の前に彼女の姿、


「あっあのっ!」


私の呼び止めに気が付き振り返る姿もやはり綺麗だ。

彼女は顔に疑問を浮かべ、私を見る。


「えっと…一年の滝沢琴紀です」

「清水潔子よ、何か用?」


彼女…清水先輩は不思議そうに聞いてきた、
いきなり話し掛けたのだから仕方ないだろう。


「あの、私…部活が決まっていないんです…それで…よければ清水先輩の入っている部活を見学させてもらえませんかっ」


勇気を振り絞ってそう伝えた…
すると清水先輩は少し考える様にして、


「それじゃあ…明日の放課後、第二体育館に来て」


と、言ってくれた。


「はい!よろしくお願いします!」

「それじゃあ明日」


歩いていく清水先輩を見送り、はっと我に返る…そういえば


「何部か聞いてない!」




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