知ってる
私の太ももに頭を乗せる翔一。所謂膝枕と呼ばれているものを体験している。なんか、ちょっと重い…かも。そんな私をよそに翔一は満足げにゴロゴロ寝返りを打ちまくっている。なーんかな。翔一だけ楽しむなんてずるい。私もなんか楽しみたい。髪でも弄ってやろうかな。
「うわー、翔ちゃん髪さらっさら」
「それ聞き飽きたわ」
わしゃわしゃと翔一の頭をなでる。さらりと指を通りぬける髪に、少し嫉妬。男のクセに、私より指通りいいんじゃないの、コレ。
「いーなー」
「それも何回目や」
翔一は淡白な返事しか返さない。うーん、これは…
「ね、怒ってる?」
「何がや」
「私が若松君と喋ってたの」
「……」
「あの後から翔一冷たい」
「…近すぎやねん」
「うん、ごめん」
「…あんまワシ以外の男に近づくな」
「ん、わかった」
「…ほなええ」
…やっぱり。さっきから態度が冷たいのは昨日のアレのせいか。若松君が怪我したから手当てしようと近ずいただけなのに。
「翔ちゃんって、独占欲強いよね」
「知っとる」
「翔一、」
「何や?」
「、大好き」
「それも知っとる」
「なに、それ(笑)」
「…ワシも好きやで」
「知ってマース」
「愛しとる」
「ふふ、うん。知ってる」
知ってる(翔一/柚葉のこと、全部)
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