目指すは君の隣!
息を潜めて、陰に身を隠す。注意深く前を見据える。一瞬も気を抜くな。目を光らせて、ターゲットが来たその時―――
「おはようございますっ!!緑間先輩ィィィ!!」
―――不意を突かれたその一瞬のうちにターゲットの腰に飛びつき、しっかりホールド。そしてそのままターゲットの唇n
バシッ
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「痛ッ!?」
「朝からうるさいのだよ!」
…今日も残念なことに緑間先輩の唇はいただけないのであった。でも私はめげない!明日はもっと確実な方法で…!必ず…!!
「おはよーさん、柚葉ちゃん」
「あ、おはようございます。高尾先輩」
緑間先輩の肩からひょっこり顔を出す高尾先輩。うっ、羨ましい…!なんて羨ましい!あの、私の大好きな緑間先輩のあんな近くに…!飛び掛かりそうになるのを、必死で抑える。そう、なんといったって彼は”協力者”なのだから。
「今日も元気だなー(笑)」
「はい!それが私の取り柄ですから!そしてあきらめないのも私の取り柄です!なので、私は今日も言いますよ!緑間先輩、好きです!!」
「しつこいのだよ!」
「今週の土曜日、デートに行きましょう!映画のチケット、ちゃんと二枚ありますから!」「人の話を聞け!そして行かないのだよ」「なんでですか!?」「…部活があるのだよ」「ウソです!」「本当のことなのだよ」「ウソです!バスケ部のスケジュールは全部把握してますから、わかります!」「できるわけが…「高尾先輩に全部聞いてます!」
「高尾!!」
「えー、だってどうしても知りたいって言うからさー。っていうか、真ちゃん行かないんだったら、代わりにオレ行ってきてもいい?デート
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」
「なっ…!」
へ?私高尾先輩とデート行くんですか!?驚いているのは緑間先輩も同じようで、少し目を見開いている。
「で?オレ行ってきてい―の?」
高尾先輩が私の手からチケットを一枚取り上げて、ヒラヒラと振る。
「…っ!」
「真ちゃん?」
バッ!
「し、しょうがないから行ってやらんこともないのだよ」
そんな事を言いながら高尾先輩からチケットを奪ってさっさと教室に向かう先輩にちょっとフリーズ。これってデートしてくれるってことですか…!?
3秒後、私の喜びの声が廊下に響き渡った。
目指すは君の隣!
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