応援
「ふぅ…」
今日は一日練習試合の予定で、さっき前半戦を消化した。
試合に出れることはすごく嬉しいけど、やっぱり疲れるもんは疲れる。
スマホ片手に、汗で濡れて肌に張り付いてくるユニフォームに若干の気持ち悪さを感じながら会場の出口へ向かう。
「あ、夜久!おつかれ―!」
「おー」
話通り、そこには緋山がいた。
「ふふっ!応援しに来てあげたよん!」
腰に手を当てて偉そうな態度でそういう緋山。
「ウレシーけど言い方が腹立つ」
「アハ、ゴメーンね?」
全く悪びれる様子も見せずに謝ってくる。
「で?何か用か?」
「あー、そうそう!差し入れ、持ってきたんだよねー」
そう言って差し出された大き目の紙袋を礼を言って受け取る。
「どーいたしまして」と笑うの顔に少し脈が速くなる。
そんな俺に気づかずに「午後もあるんだよね?」と聞いてくる緋山に生返事を返す。
「んじゃ、また応援しなきゃだね」
「あぁ、頼むよ」
「まっかせといて!」
ニッっとした笑顔に俺も笑顔を返す。
「夜久、がんばってね」
ぽんと肩に置かれた手から緋山の体温が伝わる。
きっと緋山は意識してないんだろうけど、お互いの顔がすぐ近くにあって。
声をかける瞬間にフワリと甘めの香りが鼻孔を掠めた。
心臓がすごい速さで鐘を打ち始める。
「…頑張ろう」
あっという間に遠ざかってしまった後ろ姿にそう呟いた。
応援(夜久、絶好調だな)
(何かあったんっすか?)
(まぁ、な)
[
back]