幸せにピリオド.
「じゃぁ、俺帰るぜ」
「うん。ありがとう、毎日来てくれて」
「気にすんなって!…じゃあな」
少し顔を赤くしながら私の額に口付けて、病室を出た。
いつもと変わらない、穏やかな日常。
―――――…
「残念ですが…緋山さんの余命は、あと半年です」
酷く神妙な顔をした担当医にそう告げられたのが、およそ今から半年前。
その言葉通り、日に日に死を近く感じるようになっていたここ3カ月。
翔の辛そうな顔を毎日の様に見るようになったこの2カ月。
身体の自由が利きにくくなったのが、1週間前。
そして今日、いよいよ限界が来たらしかった。
医師の焦った声も、慌ただしく響く足音も、機械音も、全部遠く聞こえる。
あぁ、さっきまで翔と他愛もない話をして、笑っていたのに。
この幸せな時間がもう少しだけでも続いて欲しいと、願ったところなのに。
「…っ」
幸せな時間を終わらせるのは、他でもない私自身だと気づいて、涙がこぼれる。
「っ柚葉!!」
大きな足音が聞こえて、泣きそうな声と共に、手を強く握りしめられた。
「しょ、う…」
自分でも驚くほど小さな声が出た。
もう、本当に時間がないのだと悟る。
終わる前に伝えなきゃ。
「ね、ぇ」
「なんだっ!?」
「わ、たしね、しあわせ…だった、よ」
「っ!!」
「ありがと、だいす…き」
あぁ、もうダメ。
沈んでいく意識の中で翔の名前を呼んだ。
幸せにピリオド.(うったのは、私)
――――
意味わからんですね。
すみません。
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