疲れた彼女に甘いホットケーキを
「ただいまー」
ドアが開く音に続いて聞こえてきた声に、バスケ雑誌を閉じる。
玄関の方に目を向ければ、ふらりと現れる柚葉。危なっかしい足取りでこっちに来たかと思えば、どさりとソファに倒れ込む。頭が俺の膝の上に落ちた。
「おかえり」
柚葉の髪をさらりと撫でながら言えば「んー…」と気の抜けた返事が返ってくる。
「おつかれ」
「うん、アリガトー」
やっぱり声に元気がない。顔色も、疲れがたまっているのかあまり良くない。つーか、悪い。俺も部活で疲れてるけど、やっぱり働いてる柚葉の疲れの方が大きい。こんな小さい体で遅くまでずっと働いてんだもんな。
ふぅ、と息をつく柚葉に何かしてやりたい。けどなぁ、疲れを取ってやるなんてできねぇし…俺ができることなんか精々料理位しかねぇ。料理っつっても何を作ればいいんだ?疲れてる時に食べたくなるモンって何だ?わっかんねぇ…!
「あー、何か欲しいモンっつーか、食いたいモン、あるか?」
「……甘いモノ」
少し間をあけて返ってきた答え。甘いものか。よし!
「了解。ちょっと待ってろ」
柚葉の頭を少しどかして、キッチンへ向かう。棚から材料を取り出して、作り始める。
―――十数分後―――
「おー、なんかいい匂いするー」
起き上った柚葉の前にハチミツたっぷりのホットケーキを置く。
「おぉー、大我くんナイス」
いただきます、と手を合わせてホットケーキを口に運ぶ。
「おいしー。大我、ありがと」
「おう。…あんま無理すんなよ」
「善処しまーす」
はふはふと幸せそうにホットケーキを味わってる柚葉は本当に分かってるんだか。
疲れた彼女に甘いホットケーキを
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