ゴミ箱 | ナノ


 わたしではないどこかの誰か、ダンデに愛されたい誰か、わたしの居場所をあげるから、ダンデをよろしくお願いします。
 もう、いやになりました。ダンデのことではありません。なまえであることがいやになりました。
 そもそもわたしは元から居ない人、存在しない人だから、今更そこに誰が入っても問題ないと思います。わたしはダンデの横にいるのに疲れました。だから、なまえを差し上げます。あなたに、なまえをお譲りしたいです。
 ダンデはなまえのことが好きです。きっと恐らくわたしではなく、なまえのことが好きなので、このなまえというものを、あなたに差し上げます。
 あなたはダンデのことが好きなのでしょう。
 わたしはなまえであることに疲れました。だから、なまえの中に、わたしではない誰かが入れば良いと思いました。
 誰かがわたしの代わりをするのではなく、誰かがなまえにならないといけない。今まではわたしがなまえでしたが、もう、なまえであることが嫌になりました。
 だから、ダンデのことが好きなあなたが、なまえになるべきだと思います。
 どうですか。
 
 ダンデはなまえのことが好きです。なまえのことが好きすぎておかしくなってしまうくらいには、なまえのことが好きな筈です。ダンデは常になまえの側にいようとします。他の男性がなまえに話しかけたり、見たりすると、まず軽く威嚇をします。それからすごく冷たい視線を送った後、なまえの肩を抱いて、自分の背中に隠そうとします。
 わたしが話したいと思う人には決まって、それをします。わたしがなまえである限り、わたしは自分の好きなように行動することができません。
 お願いします、あなたがなまえになってください。
 だめですか。
 そうですか。



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