SSS | ナノ


「治」
「おん」
「俺なまえちゃんの後ろの席やんか」
「なまえって誰や」
「授業中なまえちゃんのブラ線透けて見えてんねん」
「知らんわ」
「まあ聞けや」
「……」
「ブラ線透けとったら俺が授業に集中できへんやろ」
「知らんし」
「そこでや。こう……教えてあげたいんやけど」
「いや透けてるてそのまま伝えたればええやんか」
「俺が言うたらセクハラんなる」
「恥かかせる前に言うてあげえや」
「それに伝えたらもう見れへんやろ」
「あほなんか?」
「でもなまえちゃんの透けブラ今後も他の男に見られんのも嫌やああああ」
「結局なまえってなんなん」
「俺の前の席の子やゆーとるやろ」
「好きなん」
「……」
「好きなんか」
「好きやない」
「好きやん」
「気になるだけや」
「それはもう好きやん」


「おー月曜からご機嫌やな」
「別に〜」
「ええことあったん」
「なんも〜」
「……購買の三十個限定カツサンドでも買うたん?」
「いんや〜」
「なまえちゃん?」
「あ? みょうじさんやろ」
「いや苗字知らんし」
「おまえになまえちゃんのこと教える義理なんかないわ」
「みょうじさん弁当小さいん?」
「いやもうほんまな、こんな、こんなちっちゃい弁当箱にこんなちょっぴりの米とおかず入ってんねん」
「教えるんかい」
「三時間目の最後らへんなぁ、なまえちゃんのお腹鳴ってな、その瞬間若干俯くんがほんまにカッッワ……」
「語るやん」
「もう俺のポリッツ全部あげたろかと思たわ」
「あげたん?」
「あげるわけないやろ餌付けかなんかかと思われるわ」
「なんやクソボケ腹立つわほんま」
「お¨ん!?」
「餌付けから始めたらええやろが!」
「キモがられたら終わりやぞ分かっとんのか!」
「侑にしては随分奥手やん」
「あほか俺は元々奥手や」
「ほんまウソツキやなクソ」
「ほなもう行くわ」
「早っ」
「次移動教室やねん。教室の鍵閉めなあかん」
「あー、日直なん。だから朝早かったんや」
「や、週番」
「みょうじさんと?」
「そや!」
「いやめっちゃご機嫌やん!」
「ご機嫌やない!」


「きのう体育あってん」
「おー」
「バレーやったんやけど」
「相手ボコボコやろ」
「まあな。ちゅうことは日誌の『今日一日を振り返って』に書くネタが体育のことになるんは明白やん」
「なんやまたなまえちゃんか」
「みょうじさんや言うとるやろ」
「みょうじさんがなんなん」
「体育の時間バレーやったし絶対日誌に俺のこと書いてあると思て」
「おまえのその思考回路ほんまに尊敬するわ」
「手は抜いても点は入れたし、体育の時間の宮くんがかっこよかったですー! って書いてあると思たんよ」
「おん」
「書いとらんかった……」
「そらそうやろ」
「全校集会んときの校長の話がすごくためになったとか書いてあるの見たら俺がどう思うかとか考えへんのかな」
「逆になんでおまえがどう思うかを考えてもらえると思ったんかがわからん」
「あんだけ女子の声援受けて目立ちまくってんのに少しも触れないとかおかしいやんか。端っこに座って男子の試合見てたんやで!」
「別の奴見てたんとちゃうん」
「はあああああ!?」
「喧しいわアホ」


「今日斜め前の奴が教科書忘れてなまえちゃんに教科書見せてもらっとってっ……ンアアアア¨!」
「知らんし」
「俺は後ろの席やから一生なまえちゃんに教科書見せてもらえへん!」
「でも前からプリント回ってくるやろ」
「そうやな」
「納得するんかい」


「なまえちゃん今日もブラ透けとってん……」
「まだ言うてないんか! 早よ言うたれや! 可哀想やろ」
「言うた……」
「遅いねん」
「本人に伝えるとアレやから……なまえちゃんの友達に言うて教えてあげたんやけど……」
「なんで直接言わへんねん。らしくないなぁ」
「恥ずいやん」
「恥ずかしい思いしとったんは向こうのほうやろ」
「なまえちゃん……俺のこと軽蔑しとるんかな……今日の日誌もフツーやったし」
「フツーやない日誌てなんや」
「なんか視線も冷たかった気ぃする!」
「気のせいやろ。薄々気づいとるかもしれんけど向こうはおまえにそんな興味ないで」
「はァ!? 俺はあの宮ツインズの宮侑やで!」
「背ェ高くて喧しくてスポーツやっとる男が苦手な子もおるやろ」
「なんや、なまえちゃんがチビで声小さくてオタクみたいなんが好きな女子や言いたいんか!」
「……」
「……」
「……」
「……嫌や……!」
「本気やん」
「割と本気やった……」
「これを機に話しかけたれや」
「言うて今日水曜やし週番あと二日しかあらへん」
「金曜祝日やけど」
「ファ」


「終わってまう! 木曜終わってまう!」
「あと半日あるやん」
「結局今週なまえちゃんと一回も喋ってへん、いや一回くらい喋ったか?」
「あれやで、日誌は任せてもええけどちゃんとお礼言うんやで」
「それくらい言うわ小学生ちゃうねんぞええ加減にせえよ」
「言いにくいんちゃう」
「まあな」
「さりげなくや。さりげなく、『なまえちゃん、ありがとなー』くらい丁寧に言うとええで」
「分かっとる!」
「ほんでみょうじさんは彼氏おるんか?」
「……知らん」
「おったら災難やな」
「おおおおるわけないやろそんな話聞いたこともないで」
「おまえに言うわけないやん」
「ア……ア……」
「おい菓子クズ落とすなや」
「俺ふられたかもしれへんてこと?」
「告白もしてへんやんか」
「なまえちゃん幼馴染みおんねん」
「おん」
「おまえのクラスの水泳部の男らしい」
「あーおるな、一人、水泳部」
「そいつになまえちゃんと付き合ってるか聞いてくれん?」
「なんでや!」
「頼む! かったいプリン買うたるから!」
「ケーキ屋のなら許したる」
「任せろや」
「あー彼女おるらしいな」
「ハァー!?」
「メッセの返事早いねんアイツ」
「彼女ってなまえちゃんか!?」
「いやそれは知らん」
「聞けや」
「俺がみょうじさんのこと好きみたいやろが!」
「なんやおまえもなまえちゃんのこと好きなんか!!」
「いや顔も知らん」


「おまえ前の席の子のブラ線に興奮しとったただのクソ野郎やんか」
「ちゃうねん俺はなまえちゃんのことほんまに好きなんや」
「ほーー好きな子ズリネタにすんねや」
「……しとらんし。しこってへんし」
「しこっとったやん」
「しこってへん!」
「あー!? くっさいねんせめてビニールかなんかに入れてからほかせや!!」
「しこってへんゆうとるやろ!!」

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