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#ダンデ夢本「鼎」のおまけというか番外編みたいな話群です(まだ終わってないのにもう書いてる)
#Twitterのまとめ、時系列もめちゃくちゃ
#会話文もあります





(鼎/現行進捗サンプル1)
「なまえ、優勝した、優勝したぞ! 師匠を倒した! リーグで、優勝したぞ!」

 庭の花に如雨露で水をやっているなまえの姿が見える。オレはその背中に向かって大声で叫んだ。視界の端で他に何者も居ないことを確認して、笑みがこぼれる。
 振り向いてくれた彼女の目の前に駆け込むも、うまく声は出ない。息を整えるために待ってくれと手のひらを見せる。耐えきれずに顔を上げた頃、なまえは、地面にきちんと如雨露を置いて、涼しい表情でじっとこちらを見つめていた。肩を上下させて汗を垂らしているオレとは真逆だ。
 何か言え、息が詰まる、苦しい、死にそうだ。それでも、伝えたいことがあるのだろう。

「お……、オレ、が、ガラルの、新しい、チャンピオンだ!」

 興奮でうまく言葉が出てこない。なまえはオレの話を聞く体勢を整えてくれたのに、オレの胸はまだ、ばくばくとうるさくて仕方がない。「おめでとう」変わらない表情のまま祝ってくれている、いや、これはなまえも嬉しく思ってくれている筈なんだ、オレには分かる、だって、昔から一緒だったから。
 そうだ、伝えなければ。ずっとずっと、いつ言おうか決めかねていたこと。心を揺らさないために、胸の中で燻らせながらも燃やし続けていた、赤。

「リーグで優勝したら、好きな子に告白するって決めてたんだ!」

 高らかに宣言する。内に秘めたる想いこそオレの動力源にはならなかったが、今は、それを叶えるためだけに動いている。太陽の光は眩く、なまえは手の甲で目元に降り注ぐ日光を遮ろうとしていた。
 なまえはゆるく微笑んだような顔をして、言う。

「そう。がんばって」

 少しばかり、吹いた風が冷たくなった気がした。

「応援してる」

 そして今度こそ、無垢で、純粋な、心からの気持ちを表した、微笑であったと思う。
 そのときに、やっと気付いたのだ。彼女はオレのことなど眼中にないのだと。オレが一人で舞い上がっていただけなのだと、気づいてしまった。
 いけない、軌道修正をしなければ。まだ間に合う。高鳴っていた筈の胸が、ただの激しい動悸となる。間違えるな、選択を間違えるな。間違えなかったからこそ、おまえはガラルのトップに躍り出た。間違えるな、常に正しい選択を。

「なまえ、」
「うん」
「好きだ。ずっと好きだった!」

 頬があつい。火照ったままの身体が更に体温を上げる。
 何も恐れることはない筈だ。己を鼓舞し、自分の気持ちを正直に伝える。勢いに身を任せたのではない。いつか、きっかけさえあれば、必ず伝えたかったこと。ずっとずっと伝えたかった想いを、今、ぶつける。
 言えた。言えたぞ。オレは言えた、なまえに自分の気持ちを伝えたのだ。ずっと前からそうしようと思っていてやめていたそれを、やっと口にできた。次はどうする。思考を巡らせるが、頭の中は既にめちゃくちゃだ。
 胸の裏は炎のように熱い。それなのに、彼女の視線は冷えている。いつものことだ、いつもの、こと?

「言えたね」
「あ、ああ」
「その調子でがんばって」
「……は、」

 何だ。何が起こっている、オレは君に想いを伝えた筈なのに。
 オレの熱い頬を、鋭く尖った風が無遠慮に殴りつける。沸騰した頭の奥が揺れる、少しだけ不思議そうな顔のなまえが静かにこちらを見つめてくる。
 肝が冷えた。違う、オレが好きなのは君だ。違うんだ、告白するための練習台に君を選んだのではない。撤回するための舌は動かず、喉が震える。世界が揺れる、滲む、脈動する。なまえがまた笑う。胸がどきりと跳ねた。

「応援してるよ」

 チャンピオン。
 なまえはそう続け、白紙の肩書きに向かって柔らかく微笑んだ。



(鼎/現行進捗サンプル2)
 オレよりもずっと背の高いサーナイトは、いつものように身体を揺らめかせることすらせずに、暗夜の中、凛然と立ち尽くしていた。強かな態度でオレのことを見下ろしたかと思うと、小さく舌打ちをする。そして、その細い腰をいっぱいに曲げて、静かに、少しずつ顔を近づけてきた。家の壁にその身を打ち付けている風が、意識の遠くのほうで嘶いている。今夜は嵐だ。だからだろうか、こんなにも肌が冷えるのは。こんなにも、心臓の音が鳴りやまないのは。
 鋭く燃える緋色の眼光が、俺の瞳を深く貫いた。そして、頭の中に何か、澄んだものが流れ込んでくる。

「(――退けよ、ガキ)」

 ぞくりとした。
 そして、美しいと思った。
 はっとするほどきれいだ。なんて研ぎすまされた敵意なんだろう。瞳孔がキュウと細く、縦長になって、オレを視線一つで刺し殺そうとしてくる。純粋で無垢な、それこそ熱く燃え上がるような――闘争の果てに見出される、純度の高い殺意。

「サーナイト」

 彼の白い頬を震えた両手で包み込む。灼熱の炎がオレを見据える。「(触るなよ、)」すごい、すごい! 瞬きひとつ惜しい、猛る、奮い立てられる! バトルをしないポケモンでも、これほどまでに感情の牙を研ぐことが出来るのか。いとおしさすら感じる、すばらしい、こうなれば、オレも同じくらいの強い情念を彼にぶつけてやらねば気が済まない!
 瞼を上げる。綽々と輝く紅い視線を、ふたつの瞳で捕まえる。「サーナイト」いいぞ、そのままだ。怯むな、動揺をするな。オレはおまえに話しかけているんだぞ。「はは、」口角が上がる。視界が狭まることは、無かった。

「オレも、おまえと同じくらい。なまえのことを大切に思ってるんだ。すごく、すごく……ずっと前から……」

――殺意が、途絶えた。
 あれ程までに煌めいていたガーネットのひかりが、消えた。サーナイトは即座にオレの手をはたき落とし、素早く飛び退いて距離をとった。「(なんだ、なんなんだ、おまえ)」彼は息を切らせて、他のポケモンのように少し吠えてみせた。この、心の中に直に伝わってくるものはテレパシーか。声でもなく、文字情報でもない、オレ以外の者の考えがポッと湧く、不思議な感覚だ。「(本気で言ってんのか?)」本気だ、オレはいつだって、何者にも本気で挑んでいる!

「(気持ち悪いんだよ、)」

 闇夜を掻いて飛んできたのは、冷えた感情の刃だった。眼光よりも先に、それはオレの胸の真ん中を貫いた。



↓ここからあんまり上記関係ない



「さっきアニキの部屋からなまえの名前が聞こえてきたからアニキの部屋になまえが遊びに来てるんだと思ってたぞ!」
「行ってない」
「そうなのか? 電話してたのか?」
「してない」
「?」



「別の地方のポニータやギャロップは、フェアリータイプじゃなくて、ほのおタイプなんだって……」
「そうらしいな、地域によってタイプが変わるポケモンというのは面白いな!」
「……」
「なまえ?」
「…………見てみたい……」



「今後この家には君一人だろう? もし君に乱暴を働こうとする男が現れたらどうする? 君一人なんか簡単にねじ伏せられるんだぞ、逃げるところもない、助けも呼べない、君の善意は君が傷つく可能性を高めるだけだ」
「……ダンデはわたしに乱暴したいの?」
「そういう話ではない!」
「ダンデがしないなら、他の人もしないと思う」
「君のそういうところにつけこむ輩もいる」
「わたしは、これからもいろんなトレーナーに会いたいし、傷ついたポケモンを元気にしたいし、それに、悪い人が来ても、追い返せるから平気だよ」
「だから…」
「今、追い返してみせようか」
「……」
「ダンデが悪い人じゃないのは知ってるけど、悪い人になるなら、もう、家には入れない。ハロンタウンに行っても、挨拶しない。もう会わない」
「いいぞ。それで君の考えが変わるなら。最悪の事態に陥ったとき、君という存在がどうなるか、オレが教えてやる」
「……」
「今この家にはオレとなまえしかいない。君のおばあさんも、君を守ってくれるポケモンもいないんだ。ああ、オレを家に入れたことは、おばあさんにこっぴどく叱られるだろうな。だって君一人しかいないところに、知人だからという理由でオレを家にあげたんだ。オレもあれほど注意したのに。オレを信じてくれるのは嬉しい。けれど、同時に、凄く怖いよ。他の人に対しても、そういうことをするんじゃないかって……」
「……何が困るの? 人に親切にすることは、そんなにいけないこと? ダンデだって、ワイルドエリアに行ったら、ポケモンが一緒に居ても、死ぬかもしれないんだよ。そうやって低いほうの可能性を信じるなんて、ダンデらしくない。チャンピオンらしくない。変なの」
「オレは君が心配なだけだ」
「心配しないで」
「……なんでそんなこと言うんだ、」



「オレは君のポケモンにも嫉妬するし、君の友達にも嫉妬するし、君が居ないと不安でたまらなくてこうやって酒を浴びては泣く最悪な男だ、醜い男だ、今日も君が外に出てまた帰ってきてくれて、本当に嬉しい、奇跡が起こったみたいに嬉しい…」
「わたし、自分の家に帰ってきただけだよ」
「君の家がオレの家なのが、何よりも嬉しい…」
「くるしい」
「集まりはたのしかったか?」
「うん、ダンデの話をしたよ」
「オレの話?」
「うん。みんな、わたしが結婚したの知ってたから…みんな、心配してたんだって。ダンデ、バトルしかしないでしょって。そんなことな」
「オレはつよいぞ、すごく、まだ強い」
「うん、だから、バトルタワーに」
「あそこの負けは負けじゃない、いや、でも負けは負けだが、違うんだ」
「篭って、帰ってこな」
「もう負けないから」
「いんじゃないかって」
「また帰ってきてくれ…」
「ダンデも帰ってきてね」
「うん…うん」
「寝ようね」
「うん…」
「おふろいってくるね」
「うん…」



「素人質問で恐縮なのですがなんでオーナーは方向音痴なのにロトムをゲットしないんですか? ナビしてもらえばいいのに」
「率直過ぎてびっくりしたぞ オレの携帯電話が古すぎてロトムに気に入ってもらえないんだ」
「かわいそう うわ…」
「うわとか言わないでくれ 傷つく」
「えっいやだってそれポケギア」
「ラジオカードも差してるからちゃんと速報も聞けるぞ!」
「ラジオカード!?!、?」
「ポケナビは機能が多くてうまく使えないし、どのロトムも『ダッサ!』って行ってどこかへ行ってしまうんだ」
「いや今の子達ポケモンウォッチからですよ。ポケッチならロトムも気に入ってくれるのでは?」
「ポケッチはSwitch lightでは実装できない」
「いやまあうんそうかもしれませんがポケギアはやばいですよ壊れたらどこが直してくれるんですか」
「まだ壊れてないし、なまえもときどきちょっと怪訝そうな顔をするだけだから、まだ大丈夫だ」
「何も大丈夫じゃないと思うんですけど」



「…ダンデのポケモンはみんな、ちょっとこわいね」
「そうか? ギルガルドなんかかっこいいぞ、バトル中にフォルムが変わるんだ」
「…DVDとかある?」
「…!!! あ、ある! ある! さがしてくる!」
「そっちは玄関だよ」
「!!!」
「防衛戦では、先鋒はずっとギルガルドなんだね」
「ああ!」
「…なんで相手のポケモンが使う技がわかるの?」
「わからないぞ!」
「?」
「ただ予測してるだけだ。可能性が高い方を予想したり……その……言い方が悪いんだが、この盤面で相手が一番嫌がることをしたり……」
「へえ」
「この試合は対面勝ちと急所で2タテ出来ているな」
「ギルガルド、色がダンデみたい、」
「!!」
「かわいいね」
「かわいい!!?」
「かわいい」
「オレは…!?」
「ダンデ」
「いやそうではなく」
「ダンデとギルガルドの、色の組み合わせがかわいいね」
「(それでもかっこいいとしか言われたことがなくて困惑している)」
「ギルガルドの生態の本読んだことあるんだけど、おうさまのポケモンなんだね」
「そうだな」」
「ダンデは、ギルガルドに、王様として認められたんだね」
「いや」
「?」
「ヒトツキの頃から育ててたから、ただ成長して進化しただけだ」
「…そういうのじゃなくて」
「? 間違えて柄に触った時は大変だったんだぜ」
「…」
「なんだなんだ」
「…ギルガルド、というか、ヒトツキは、ちょっと怖い話があるから、わたしはすこし、苦手、なんだけど」
「そうなのか? 怖くないぞ、確かにゴーストタイプだが…ギルガルドをオレだと思って接してくれ」
「…今の技なに?」
「キングシールドだ!」
「……」
「どうした?」
「あのね、むかし、カロス地方にパルファム宮殿っていうお城があってね……」

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