B






「(ディバインストリ…ッ)」
「(おぃいいいいーーーっ!!!!気持ちはわかるけど頼むから落ち着け暴れんの禁止ーっ!!)」


未だに手放していなかったモップ片手にとうとう扉ごと破壊して止めに入ろうとしたのだけど、寸でのところでゼロスに止められてしまって仕方なく一旦深呼吸するしかなかった。心臓に悪いわ〜、とほっと息を吐いて言うゼロスに、しかし僕としては何を呑気なことを、と怒りたくて仕方なかったりもする。お互いに無言のままもう一度中を覗き込めば中の2人の方は全く止まる気がしないのだ。
ユーリの頭が見えてルーク様の頭があって、予備用の新品のソファの上に座ったままことに及んでいるのだから一度ぐらいぶん殴ってやっても罰は当たらないと思う。ユーリの右手はルーク様の胸を執拗に嬲っていて、胸を押さえていたらしいサラシがぐしゃぐしゃになって床に置かれていた。いやいやと首を横に振るルーク様がもっと全力で嫌がっていたらすぐさま止めに入るのだが、どう判断していいのか分からない以上どうしていいのか僕にはわからない。
身分差などその他諸々を考えるのならば僕はユーリを止めなければならない筈だった。
でもなんだかルーク様も本当に嫌がっているわけではなさそうだし、むしろここで踏み込んだ方がかなり気の毒なことになるんじゃなかろうか…と思ったら最後、僕にはどうしようもできないことになってしまった。耳まで真っ赤になったルーク様は必死に何かに耐えるように口を手で押さえている。やっぱりユーリの行動は犯罪なんじゃなかろうか…と思って改めてユーリの左手を目で追ってみて、気付いた。
指がすでに3本入っていた。
……………は?



「ふ、ぅっ、ぁ、あ…っ」
「なあ、ルーク。声我慢するならさ、その代わりにこれも、取っていいか?」
「ひぅっ、あっ!だめ!絶対に、それだけはだめぇ…!」
「なら、声聞かせろよ、ルーク」
「−−−っ!!」


先程まで胸を揉んでいた右手で今度はルーク様の喉を擦って言ったユーリの意図するところは全くわからなかったが、僕らとは性別の違うルーク様が、いくら服で隠しているとは言えど喉仏のような膨らみを持っていることに、流石に察しはついた。女性であることを隠しているのなら、声もどうにかしなければ簡単にばれてしまうだろう。おそらく声を変えることの出来る細工を喉に装着していて、それを取るぞ、ととんでもないとこに指を突っ込みながらユーリはそう言ったのだ。が、単にルーク様を好きに啼かせたいのだと僕は分かってしまった。
と言うか、頼むからそれ以上のことはやめてくれよおい親友…ッ!!!!


「もうぐじゅぐじゅに解けてるみたいだなぁ、ルーク」
「んぁああっ!も、もうやめ…ろっ!だめっ、ユーリぃ…っ」
「なにがダメなんだ?」
「ゆび……っ!おねがっ…も、もう…っ!!」
「なにが欲しいのかちゃんと言えよ、ルーク。言わないと俺も分からないぞ?」


この状態でなんてことを言わせる気なんだ君は、と思うと同時になんかもう僕の親友は居なくなってしまったんじゃないかな、とも思った。そうだユーリは星になったなんだろう、きっと。あそこに居るのはただの変態だ。僕の親友が変態なわけがない。彼はもうとっくに死んでしまったんだと思いながら現実逃避をしていたのだけど、続いたルーク様の言葉に僕こそが死にたくなった。


「……して、ほし…ぃ」
「んー?」
「ユーリにっ…、愛して、欲しい…っ!」


ユーリがすき。愛してる。
だからユーリにも愛されたい。
それだけしか願わない、と。顔を真っ赤にして必死になってそう言ったルーク様の言葉に、とりあえず隣で見ていたゼロスが耳まで赤くして茹蛸状態になって撃沈し、うっかり僕自身も同じように撃沈するところだった。
違う、ルーク様。多分ユーリが言わせたかったのは、そういうことじゃない。
だけど結果的にとんでもない告白を聞いてしまったようなもので、僕もゼロスほどではないが顔を赤くしてしまった自信の方があった。これは不味い、と素直にそう思える。そして同時に、これは本当に恥ずかしいとも思った。ユーリじゃなくったって同じことを思うに決まっている。可愛すぎるだろう、ルーク様。



「ひあっ、あぁああぁっ!!」



わざわざ向き合えるように体勢を変えてまでしてルーク様の中に性器を挿入したユーリに、「あっ」と思った時には既に遅くてもう今さら止められる気もなくなっていた。ああ、ユーリの理性がぷっつり切れたんだな、これは。と思っていれば隣で撃沈していた筈のゼロスがルーク様の嬌声に顔を上げてしまったようで、卒倒しない代わりに今度は赤面したまま状態異常で石化を起こしている。手持ちにパナシーアボトルは無いし、キュアは唱えることが出来ても僕はリカバーは唱えることが出来ないのでとりあえず放置しておくことに決めた。と言うか僕自身もどうしていいのか分からず赤面して状態異常と大して変わらないと思う。
ルーク様の腰を掴んで好き勝手に揺さぶるユーリは多分今邪魔をしたらそれこそエステリーゼ様でも殺気を向けるような気がした。
……何を考えているんだフレン・シーフォ。エステリーゼ様なら喜んで見守っていそうだなんて、誰に謝ればいいのか分かったものじゃないぞ。


「おくっ、おくにあたって…っ」
「こうされるのが、お前も好きなんだろ?いくらでも、してやるよっ!」
「ふぁ、あっ、ぁ、すきぃ…っ!ゆーり、すき…!ゆーり、ゆーりぃっ…!!」
「−−−ッ!!」


だから多分じゃなくて絶対にユーリの意図するところと違う返答しかしてないです、ルーク様。と思わず思ってしまうぐらい、先ほどからユーリのセクハラが全て不発に終わっていてこれはこれでなんだかな、とつい呑気なことを考えてしまっていた。自力で石化から立ち直ったのか今度はゼロスが混乱してしどろもどろになってかなり挙動不審なのだが、喚かないだけマシかとやっぱり放置しようかと思う。
ユーリにしがみ付くように腕を回すルーク様は何度も何度もユーリのことを好きだと言っていて、気のせいでも見間違いでもなんでもなければそんなルーク様にユーリも顔を真っ赤にしているようにも見えて、気付かれないように激しくルーク様の中を何度も突き上げるのがなんだかこっちも恥ずかしかった。
荒く息を繰り返すルーク様が、譫言のようにユーリの名を呼び、自らも腰を動かしている。
ぐちゅぐちゅと響く音と時々限界近くまで引き抜いてから奥まで突き上げるせいか、ユーリの性器がルーク様の中から出てくるところと再び膣内へと挿入される瞬間とを見て今度こそ本当にゼロスが撃沈した。と言うか顔を真っ赤にしてダッシュで逃げようとして、床に寝転がっているレイヴンさんを引っ掛けて勢いよく廊下に激突しに行った。ぴくぴくと潰されたばかりの虫のように痙攣していることから、多分今度は状態異常どころか戦闘不能になったのだろう。半分ほど巻き込んで下敷きになったレイヴンさんも。
それはつまりこの似た者同士な屍2体を僕が片付けろと言うことかそーかそーいうことのなのか。


「ひぁあああぁああーーーッ!!」
「……っ!」


廊下に横たわる戦闘不能2人を前にさてどうしようかと考えていれば、中からルーク様の嬌声が一際大きく聞こえて、思わず振り返って見てしまえばびくびくと体を震わせたルーク様の腰を掴んでいたユーリが動きを止め、息を吐いていたところだった。「…いっぱい、出てる…」とユーリの体にしな垂れかかるようにして、ぼんやりと呟くように言ったルーク様の言葉に慌てて倉庫内から視線を退かして、落ち着くべく深呼吸を繰り返す。
とりあえず不可抗力とは言えこれはもうのぞきと大差ないだろうことは流石に重く受け止めなければならないことだと思った。どこから考えていいのか未だによくわかっていないのだが、とにもかくにも今まで男性だと思っていたルーク様は本当は女性だったわけで。


………ん?女性?






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