私は竜士くんの背中を見るのが好きだ。

それはとても大きくて頼れる背中。

だから私は、竜士くんの後ろを歩くのが好きだ。



「なして隣に来ぇへんねや」



彼はあまり好みではないようだけど、それでも私は彼の後ろを歩くのが好きだ。

そのことを彼に伝えてみたこともあるけど、



「わけわからんやっちゃな」



と一言で片付けられてしまった。

それでも私は彼の後ろを歩くのが好きだ。

後ろを歩いていると、竜士くんはちょこちょこ後ろを確認してくる

その心配そうな視線も好きだけど、やっぱり私は彼の背中を見るのが好きだ。


喧嘩してしまったときに、試しに立ち止まってみたこともある。

話し掛けても返事が返ってこないから、私が止まっても1人で歩いていってしまうと思った。

予想どおり彼は止まらずに歩いていってしまった

私はちょっと悲しくてその場で俯いていた。

しばらくして頭を持ち上げると、少し離れたところで竜士くんが背中を向けて立っていた。

やっぱり私は彼の背中を見るのが好きだ。


「わぶっ!」

「ぼけーっとしてるからやドアホ」

「ごめん」


この竜士くんの背中への気持ちがどうしたら竜士くんに伝わるか考えていたら転んでしまった。

とりあえず走って追い付き、いつものように彼の後ろを歩きだす

すると、竜士くんが突然身体ごと私を振り返った。

「背中見えない」

って言ったら、

「手に、乗り換えへんか」

って言われたので、手を繋いだ。

歩きにくいので、仕方なく隣に並びました。




提出:クレスト


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