vs腐男子


平野は泣きそうになりながら、それでも涙を流したりせず、帰っていった。
俺はというと………放心状態。
だって俺は、二人が、上手くいくこと以外考えてなかった。

その場でぼーっとしていると沢村がこっちを向いた。
バチッと目が合う。

…っ!?
やっべえ!
覗いてたってバレたかも。
とりあえず俺は直ぐ様逃走した。
明日学校に行けば沢村はいるし、逃げたって意味は無いのかもしれないけど、必死に走った。

ここまで来れば大丈夫だろうと、壁に手を付いて息を整えていると、

「おい」

声がかけられた。

恐る恐る振り返ると、そこには沢村の姿。
また逃げようとすると、沢村の長い脚を引っかけられて転んだ。

「ぃってー…」

クラスメイトとは言え、接点もないし、沢村をこんな近くで見るのははじめてだ。
平野とか女子がキャーキャー言うだけある。
美形の称号は間違っていないようだ。

「覗きか。いい趣味してるなあ?」
「……」

何も言えずにいると、沢村が俺の股間を踏んだ。

「ぁ゛い゛ぃ゛っ…い゛っでえ…」
「何とか言えよ」
「ごめ゛、っな、さあ゛っ…ぐぁ゛」

沢村が蔑むように俺を見る。
見下されてる分、威圧感を感じた。

「お前も俺が好きなのか?どいつもこいつも男同士で気持ち悪い。お前もケツにチンポ突っ込んで欲しいのかよ?」

ふざけるな。
俺はノンケだ。
確かに腐男子だけど自分のことになると話は別だ。
俺は女の子が好きなんだ。
女の子しか興味ない。
男を好きになったことなんか一度もない。
もちろん沢村のことだって好きじゃない。
それに平野をふったことで、むしろ嫌いになった。

それも、股間の痛みで何も言えない。

「あ゛、ぅ゛う゛…」

言い返さない俺に、苛ついたのか、沢村はさらに足に力を入れた。

「う゛ぅ゛ーーっ!」

それはもう潰れても構わないと言ってるみたいに。
俺は踞って痛みに耐えた。
痛い。痛くて動けない。
でも抵抗しないと潰される。
でも動けない。

ひどい。ひどいぞ沢村。
お前はモテるからいくらでも相手がいるかもしれないが、俺は童貞なんだ。
お前が今踏んでるもの、まだ一度も使ったことがないんだぞ。
一度も使わずに潰されるなんてごめんだ。

それに沢村、お前は俺から生き甲斐を奪ったんだ。
美形×平凡。
俺の活力源。
王道カップル。

俺の、俺の…

「活力ぅう!!」
「おいこらっ、てめっ…!」

怒りと悔しさを原動力に俺は沢村の太股に噛みついた。
噛み千切るつもりで。
慌てて沢村が俺から足を退けるのを見計らって、俺を踏んでいた片足を持ち、力の限り持ち上げた。

「ちょ、くそっ…!」

沢村はバランスを崩し、尻餅をついた。
俺は急いで立ち上がる。

「何だって?俺が沢村のチンポ突っ込まれたいだ?ふざけんな自意識過剰野郎!俺はお前なんかこれっぽっちも好きじゃねえ!俺はただ腐男子で平野の恋を陰ながら応援してただけだ!俺の活力返せーーーっ!!!」

一気に捲し立てる俺を沢村はぽかーんと見つめる。
アホ面さえもかっこいいなんて死ねばいい。

言いたいこと言った俺は、沢村を置いて帰ることにした。

もう頭を切り替えよう。
ああ、あのサイト小説更新してないかなあ。
早く癒してもらおう。

痛む股間を労りながら俺は帰路についた。





おわり

―――――
これはひどいw
短編リク溜まってるのにこんなの更新してごめんなさい(/--)/
息抜きにテンション高い話が書きたかったんです(^O^)
気が向いたら続き書きます(´ω`)










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