「いでえっ」

井上に助けを求めたら加賀見に頭を叩かれた。
なんだよ、こんな恥ずかしい格好のままいたいわけないだろ。
つうか放せよ。

井上が放せと加賀見をパカパカ叩いてる。
俺には当たらないように配慮してくれてるけど加賀見のガードは固い。
…やり返してないだけましな気がする。

「ん゛ー!手応えゼロ!」

そうなんだよ、加賀見って絶対おかしいよな。

「あ、暁なにやってんの?」

遅れてやって来た三上が驚いた顔をする。
あたりまえだ。
俺はなんでこんなことになってるんだ。

「三上助けて」
「うし」

三上は屈伸を二回したかと思うとこっちに走ってきた。
すると加賀見は舌打ちして立ち上がり、オレを放り投げた。

うわ!

そんな俺を井上がキャッチ。

「わっ」

俺を助けてくれた三上は走って勢いをつけ、踏み込み、跳んで加賀見にドロップキックをお見舞いする。
おぉ、すげえ!

そのキックした両足を加賀見は掌で受けとめる。
ずず、と加賀見の靴の底が鳴り、足が後ろに引いた。
それでも加賀見の足は踏ん張り、手で三上の足を掴み、そのまま回転させた。
それに合わせて三上の体が回転して、空中でうつ伏せに状態になって、そのままの形で受け身になった。

「三上ありがとう!」
「おー俺王子だからなー悪者はやっつける宿命なんだよ。よし暁、誓いのキスでもすっか」
「しねえよ」

加賀見って誰から見ても悪者なんだな。

「アキちゃん!みかんちゃんすごかったね!」
「だな!」
「アキちゃんいえーい!」
「井上いえーい!」

なぜか俺と井上でハイタッチをして、盛り上がる。

「あ、井上ありがとう。痛くねえ?」

改めて受けとめてくれたお礼をする。
俺の下敷きになったんだからな。
怪我ないか?

「痛くないよお!それよりっ…それよりアキちゃんから俺の胸に飛び込んでくれるなんてぇえー!」
「うわ、ちょ、ん」

俺の頬にちゅっ、ちゅっとキスしてくる。

三上は立ち上がって、膝を払った。

「俺、スクリュー式しかしたことねえわ」
「つーかお前俺の手だけで受けとめられるとか、質落ちたんじゃねえの?」
「なにぃ!?そんなこと言ったら龍だって受けとめなくても避けられただろ!」
「お前のために受けてやったんだよ」
「それは嘘だ!」

二人がよくわからない会話をするなか、井上のキスの嵐からとりあえず口は守る。

「暁ちゃん…っ!ついに、ついに俺たち両想いにぃぃいい…!」
「ひぃ…!」

加賀見の次はお前か!

「いい井上!ご飯…!ご飯食べなきゃ!」
「俺はアキちゃんが食べたいなあー」

なにワケわからんことを…!

「のわぁあ!?」

加賀見にひょいと持ち上げられる。
俺だって成人男性だ。
そんな軽々持ち上げられるほど軽くないはずだ。
こいつ、ほんと何なんだ。

そのまま座った加賀見の膝に下ろされる。
…振り出しに戻ったぞ。

もういいや。
時間ねえしこのまま飯食おう。

「アキちゃーん!駄目だよ諦めちゃー!悪魔を野放しにしちゃ駄目だよー!」
「うん、俺もそう思うけどまた同じこと繰り返すのもめんどくさいし、俺が我慢すればいいし」
「我慢するのはアキちゃんだけじゃ無いんだよぅ…」

コンビニ弁当の蓋を開け、おかずを箸で持ち上げると加賀見の首が伸びてきておかずが加賀見の口に入っていった。

ああ゛ー!

「ちょお何してんだよ!?俺のおかず!」
「うるせえ。今日俺飯無いんだよ。だからよこせ」
「ふざけんな!金やるから今すぐ買ってこい」

俺の昼飯が奪われ続けるなか、不機嫌そうな井上と三上。

「みかんちゃん、あれ想像以上にむかつくね」
「だな」
「明日は俺の膝に乗ってもらおう」
「いや、明日は俺だ」
「だめ!明日は俺!」





―――――
井上くんとみかんちゃんに暁ちゃんと龍くんの関係がバレてお昼に龍くんが暁ちゃんを膝の上に乗せて見せつける的なリクエストだったんですが、バラす予定はまだないのでこういう形をとらせてもらいました。
気に入らなかったらごめんなさい。

ちなみにスクリュー式というのはドロップキックの種類で、キック後に体をうつ伏せにして受け身になることを言います(確かそんな感じ)
みかんちゃんはプロレス(というか格闘技)好きですが、龍くんもまあまあ知ってます。
龍くんは格闘技も好きですがスポーツ見る方が好きです。
暁ちゃんはプロレスはよくわからないけどボクシングが好きでみかんちゃんとの会話に上がったりします。
スポーツなら野球好きです。
中学では野球部でした(今後出てくることはないだろう設定)
そんで井上くんは格闘技よりスポーツより何より暁ちゃんが好きです。←






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