加賀見は床にあるトリュフの箱を取り、一個、二個、とさっき同様に入れてきた。

「ひっ、やだぁ…!ぁあ、…やめ、ん、…ぁっ」
「何個かわかるか?」
「ん゛ぁあっ…あ、あっ、…っふ、ぅぁ、ひっ…!」

チョコレートの数を確認するように、かき混ぜてくる。
ぐちゅぐちゅという音が恥ずかしくて泣きそう。
もうやだ。

「ひっ、ふぇ、あぁっ、…んっ、んーっ、…」

溶けかけたチョコレートが前立腺に当たると、身体に電気が走ったみたいな感覚がする。

「なーにがやだだよ。しっかり勃たしてんじゃねえか」

不本意にも勃ち上がった性器を握られて腰がピクリと浮く。
チョコはこんなことに使うものじゃない。
匂いはチョコで、幸せな気持ちになれるのに、使い方がおかしい。

「んっ、ひ、ふ…っちょこっ、たべ、たかっ…たの、ぁいっ、に…!」

目から溢れる涙は、チョコが食べれなかったせいか、生理的なものなのか、よくわからない。

「そうか、下だけじゃ足りねえか。…なら、上からも食わしてやる」
「あ、…ぁっん、っ…ん、ゃ、ああ」

中のチョコを掬い取るように内壁を一周させ、その指を俺の前に差し出した。
見上げると、食えよと鏡の目は言っている。

やだ、無理だ。
差し出された指に首を振ると、加賀見は心底楽しそうな顔を浮かべ、俺の唇に指を当てた。
ふわっとチョコレートのいい匂い。
これがただのチョコレートなら喜んで食べるのに。
固く閉ざした唇に指がぐいぐい押し当てられる。
耐えられなくなった唇は指を迎え入れてしまう。
涙の量がぶわって増えた。
だってこの指とチョコ、俺のケツに入ってたんだろ?
ありえない。

「ん゛ん…ぐ、んっ…ふ、」

歯を食いしばってそれ以上の進入を阻む。
それでも指は奥へと進んで舌に絡んでくる。
引っ込めようとすると指で挟まれてしまう。
チョコが舌に広がる。
悲しいことに美味しい。

「美味い?」

指の動きを止めてそう言うから、答えてやった。

「ん、まっじぃ、よ…!」

ふーん、って言って口から指を抜いてくれたから、ほっとしてたら、膝を床につけられて、四つん這いにされた。
と言っても手はつけないから尻だけ上げた状態だ。
性器を後孔にあてがわれたかと思うと、内壁を割り開いて入ってくる。

「あ゛ぅんっ…ん゛、んー、…ふあ゛ぁ…!」

下半身に目をやると、先走りをぼたぼた垂らす自分の性器と、床に溶けてどろどろになったチョコレート。
恥ずかしくてすぐに目を反らした。

「ひ、あぁ゛っ、ぁ、あ、…ん、やあ、あ…!」

ずずずと内壁を擦りながら出ていき、一気に突かれる。
快感に身を任せてしまいそうになるのを必死に我慢した。




*****

「……」
「なっ、なんだよ、お前が甘いの嫌いなの知ってたから、わざわざ甘くないの選んだんだぞ!…貰ってくれても…いいんじゃねえの…」

せっかく俺が用意してやったチョコを差し出してるのに、貰ってくれる気配がない。
なんか、…傷つくぞ。

「お前の方が食いたいんじゃねえの?」
「ま、まあそうじゃないとは言い切れねえけど……」
「けど?」
「………けど…加賀見いっぱい貰うだろうから……ちょっと、俺も、って……」

いっぱい貰ったら俺のこと忘れちゃうんじゃないかとか、心配になったとは……恥ずかしくて言えない。
今も十分恥ずかしいけど。

俺があげたチョコを食べた加賀見は甘いじゃねえかよって俺を蹴った。
人の好意を…何て奴だ。



一時間後、加賀見の鞄からチョコを発見した。
全部断ったはずなのに、勝手に入れやがってって舌打ちした加賀見は無視して、チョコは俺が美味しくいただいた。





―――――
オチがない…。
ホワイトデーも過ぎたのにバレンタイン企画してますね…orz






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