※暁ちゃんのテンションが高い
下手したらうざ(ry
陸くんもちょっと出ます(clapお礼読んでから読むのをオススメします)






2月13日


俺は棚を漁り、紙袋を探していた。
紙袋で大丈夫か?段ボールの方がいいのか?
顔が勝手ににやけてしまう。
さぞ気持ち悪いだろうが今の俺には関係ない。
明日が楽しみで楽しみで眠れそうにない。

「ふんふんふーんー」

下手くそな鼻唄を歌う俺を、加賀見はものすごく怪訝な目で見、すぐにかわいそうなものを見る目に変えた。

「きもい」
「何とでも言え」

今日の俺のタフさを思い知ったか!
自信満々の表情を浮かべると加賀見は視線をテレビに戻した。
勝った…!

明日は俺の日だ。
俺のためにあるような日だ。
バレンタイン。
男と言うだけでチョコレートがもらえる。
俺の愛するチョコレート。
男に生まれてよかった。

アメリカだと逆に男から女にプレゼントすると聞いた。
いや、そもそもチョコじゃないんだっけか。
日本に生まれてよかった。

教師というのは中々生徒に気を使ってもらえるらしく、去年はかなりの数のチョコレートをもらった。
義理堅いな、みんな。
今年もたくさんもらえるといいなあ。
ホワイトデーはめんどくさいが。

母ちゃんも姉ちゃんも俺のために毎年わざわざ送ってくれる。
それに…

ヴヴヴヴー!

テーブルにあるケータイが呼び出しを知らせる。
バイブレーションがテーブルにぶつかり少しうるさい。
着信だったからすぐに出た。

陸だ。
そうだ陸も毎年チョコをくれる。

『暁ー!明日だなあ!』
「陸ぅー!」
『チョコ明日学校寄るからわた』
「ちょ、…てめー!」

いつのまに近づいてきたのか、加賀見は通話中にも関わらず、ケータイを奪い、通話を切って、ケータイを壁に投げた。

ガンッ。

とケータイが鳴いた。

「くそっ、ふざけんな!」

すぐにケータイに駆け寄り、安否の確認をした。
…どうやら無事らしい。

さっきまで普通だったのに何なんだ。
どこで機嫌悪くなったんだ、加賀見様は。
俺か?俺が珍しくテンション高かったからか?
俺ごときが調子に乗るなって?

…ごもっともな気がしたから、ケータイに関しては何も言わず、さっき探し出した紙袋を加賀見に差し出した。

「…なんだよ」
「お前明日いっぱいチョコもらうだろ?それ入れる袋だ」

どうだ。
たまには俺も気が利くだろ?

「チョコなんて受け取らねえよ」
「何ぃ!?」
「俺甘いもん食わねえし」
「んなことは知ってんだよ!お前が貰ったチョコを俺が食うんだ!」
「は?めんどくせえ。つーかあれあんだろ」

あれとは俺が買ったチョコの山だ。
女の子だらけのバレンタインコーナーに行き、全種類買ってきた!
そりゃあ恥ずかしいけど毎年やってたら慣れた。
もちろんチョコは自分用。
俺が全部食べる。
バレンタインは普段は売って無いチョコが売ってていいなあ。
そのためにコツコツ貯金したんだ。

「あれはあれだ!」
「うるせ」

もう話は終わりだと言わんばかりに聞く耳を持ってくれなくなったから、加賀見の空の鞄にこっそり紙袋を忍ばせておいた。

あー、明日が楽しみだ!
明日のことで頭がいっぱいだった俺は陸と通話中だったことをすっかり忘れていた。
ごめんな陸。

謝罪のメールを送ろうと数時間後にケータイを開くと、凄い不在着信の量だった。

急いでごめんなさいメールをした。

―――――
from:陸
sub:re:陸ごめん
暁ぃぃぃいいい!心配したぞ心配したぞぉぉぉおおお!!途中で切れたしかけ直しても出ないし何かあったのかとかと思った誘拐されたのかと思った怖かったでも俺が泣いてちゃダメだと思ったもう少し連絡が遅かったら警察に電話するとこだった!ぱぱは寿命が縮んだ無事で良かったほんとによかった俺の娘が無事でほんとによかったああああ!!






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