「違うよー!アキちゃんの大好きなチョコレート!」

目を見開いて抱えた箱を見つめた後、これチョコなのか?と確認するように暁は呟いた。

「そうだよー!アキちゃん嬉しい?」
「嬉しい!」

至極幸せそうな顔をして、井上ありがとう!と連呼している。
花でも飛ばす勢いだ。

前が見えないのかフラフラしながら車に向かうと、井上がチョコを取り上げて代わりに運んでいる。
車に詰んだ後、井上がぎゅうっと暁に抱き着いた。
いつもなら離れろ!とか恥ずかしそうにするくせに、よほどチョコが嬉しかったのか、暁も抱き締め返す。
おい、こら離れろ。

「っ…!アキちゃんついに俺達両想いだねえ!」
「うん!ありがとう!」
「念のためにチョコに惚れ薬入れといたんだけど必要無かったね!」
「うん!ありがとう!」
「あああー俺はこんなかわいいお嫁さん貰えて幸せだ!」
「うん!ありがとう!」

ちょ、暁、井上の話ちゃんと聞け。
チョコが嬉しかったのはわかったから。
あとそのチョコ食うな。
危ないから。

井上と暁を引き剥がして、校内に向かう。
井上がぶーぶー言ってるが気にしない。

下駄箱に着き、開けようとすると何か熱い視線を感じた。
暁が俺の手元をじーっと見つめている。

「…暁はあっちじゃねえの?」

職員用の下駄箱は生徒用とは別だ。
何でこっちにいるんだ?

「俺な!三上ならあれが見れると思うんだ!」
「…あれ?」

あれって何だ?

「あの下駄箱開けた瞬間、チョコが雪崩のやつ!」
「いや、見れねえよ」

漫画の見すぎだ。
教室に行った後も、椅子引くときは気をつけろ!チョコの雪崩が待ってるぞ!とかなんとか。
いい加減それから離れろ。


龍はというとチョコくれる女の子完全無視。
女の子たちに思わず同情してしまった。
だから、龍がトイレに行っている間に鞄にチョコを入れている女の子のことは、見なかったことにした。




おわり
―――――




ここから先はおまけのおまけ
陸+暁



暁が学校終わった頃に、自宅に会いに行った。

昨日はいきなり電話切れて焦った!
本当に焦った!誘拐だと思った!
正直誘拐したくなる気持ちも分からなくはない。
だって俺の娘だし。
何回も泣きそうになって警察に電話するか悩んだ。

「陸わざわざありがとう」
「何言ってんだよー」

わしゃわしゃ頭を撫でてやると、何すんだよって言いつつも、嫌がる素振りは見えない。

「学校でチョコもらった?」
「いっぱいもらったー!」
「本命はねえの?」
「ねえだろーなー」

そうか?
暁が気づいてないだけなんじゃ…。

チョコを出して渡してやると、わあって嬉しそうにして受け取った。
チョコでこんな幸せそうになれるなんてお手軽だなー。
毎日でもあげたい。

「陸のチョコ美味しいんだよなー」
「今年は作れなかったんだけどさ」

去年はチョコケーキ作った。
去年すげえ喜んでくれたから今年も作りたかったんだけど仕事が忙しくて時間がなかった。

夢のために仕事は蔑ろに出来ない。
俺の夢は美人な嫁さんもらって、嫁さんと娘(暁)を養うことだ。
暁に弟か妹もつくってやりたい。

「ホワイトデー何欲しい?」
「暁が元気でいるならそれでよし!」
「…なに父ちゃんみたいなこと言ってんだよ…」

父ちゃんみたいじゃなくて俺は父ちゃんだ!





ほんとにおわり
―――――
これはひどいw
文才欲しいwww





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